ガチャ

志乃「あけましておめでとう。とりあえずワイン」

楓「あら、志乃さん」

早苗「遅刻だぞー！」

志乃「山梨は大雪で電車が止まったのよ、はいお土産」

幸子「おや！志乃さんもお土産ですか！」

志乃「ええ。ハイどうぞ」

楓「これは…信玄餅ですね」

志乃「そうよ。山梨といったらこれよね。武田信玄が出陣前に食べてたらしいわよ」

美優「黄粉と黒蜜をお餅にかけて食べる和菓子ですね」

友紀「やったあ！！これテレビで見たことあるけど食べたことなかったんだよねー！」

幸子「あー」

瑞樹「？？幸子ちゃんどうかした」

美優「あっ、幸子ちゃんの持っているそれって…」

楓「……信玄餅ですね」

友紀「まさかのダブり！？」

幸子「だってしょうがないじゃないですか！山梨のお土産といったらこれぐらいしかありませんよ！？」

瑞樹「まあまあ。よくあることだから気にしないで」

幸子「ぐぬぬ…、カワイイこのボクがインパクトで負けるなんて」

志乃「……いえ、幸子ちゃんお手柄だわ」

飲んべいず「！？」

幸子「へ？あっ志乃さんのは桔梗信玄餅ですか」

志乃「そうよ。そして幸子ちゃんのは金精軒の信玄餅ね」

友紀「なになに？ききょーや？きんせーけん？」

楓「よくみると包み紙が違いますね」

瑞樹「違う会社の信玄餅ということかしら？」

幸子「フフーン！じゃあボクがこの信玄餅と桔梗信玄餅について解説しますよ！！」

美優「お願いしますね」

幸子「まず山梨お土産としてよく見る方の信玄餅は桔梗屋が出している『桔梗信玄餅』ですね！」

瑞樹「赤い包装紙を紫の紐で縛ってある方ね」がさがさ

楓「中はビニールでお豆腐のパックの小さいやつが包まれてるわね」

幸子「包装紙の色は何種類かありますが全部桔梗のマークが入っていますね！」

楓「これはどうやって食べるのかしら？」

幸子「こうやってビニールを剥がして…」がさがさ

楓「このビニールは捨てちゃって」ぽいっ

幸子「ああっと捨てちゃダメですよ！！」

楓「あら？そうなの？」

志乃「訓練された山梨県民じゃなかったらビニール無しで信玄餅を食べるのは難しいわよ」

幸子「さて、ビニールを剥がして中のお豆腐パックみたいなのとお寿司についてくる醤油入れみたいなのを出しますね」

楓「なんだか色々ついていますね」

幸子「じゃあビニールを下に敷いて豆腐パックを開けます」ぱかっ

美優「あっ丁度醤油入れがあったところがへこんでますね」

幸子「次にそのへこんでいるところに醤油入れの中身を入れましょう！」

瑞樹「この中身は？」

幸子「黒蜜ですね！醤油入れの中の黒蜜全部注げると思いますよ！」

友紀「はーい！っとと」ぷちゅ

楓「だいぶぎりぎりな感じですね」

幸子「はい！じゃあ付属の爪楊枝をもって」すちゃ

瑞樹「もって？」

幸子「豪快に混ぜます！」ぐるぐる！

友紀「おおう！大胆！」

志乃「黄粉の中にお餅が入っているから底の方から上に持ち上げる様に混ぜるのがコツよ」てきぱき

美優「はい…あっ」ぱさっ

楓「黄粉がこぼれちゃいますね」くるっ

友紀「そのためのビニールね」かちゃかちゃ

幸子「黄粉と黒蜜がお餅に絡んだら完成ですよ！」

瑞樹「以外とこぼさずに混ぜるの難しいわね」

友紀「いつもアレな志乃さんが黄粉全くこぼしてない！」

志乃「山梨県民は黄粉こぼさずに信玄餅を食べれないと小学校に入れないのよ」

友紀「まじ？」

幸子「嘘はやめてください志乃さん」

瑞樹「ああやっぱり嘘か」

幸子「小学校卒業出来ないの間違いですよ」

友紀「そっち！？」

志乃「まあそんなどうでもいいことは置いといて食べましょう。混ぜたてが一番おいしいわ」

楓「はーい」

友紀「頂きまーす！」ぱくっ

美優「あっ…これは美味しいですね」

楓「最初黒蜜かけたときはすごい甘い味になると思ったけど、黄粉と絡んで上品な味になっていますね」

友紀「……」

幸子「おや？どうかしましたか？」

友紀「いや、これおいしいんだけどね、何かテレビで見た食べ方と違うなーって」

志乃「ああ、そういうこと」

美優「どういうことですか？」

幸子「フフーン！じゃあ次はこっちの金精軒の『信玄餅』を食べましょう！」

楓「……？赤い包装紙に白い紐」

瑞樹「見た目はそっくりね」がさがさ

楓「中から出てきたのも…」

友紀「またビニールに包まれた豆腐パック！？」

楓「幸子ちゃんこれパクｒ――」

幸子「パクリじゃないですよ」

友紀「でも――」

志乃「パクリじゃないわ」

友紀「アッハイ」

幸子「さて、こっちの信玄餅は同じように包み紙を開きまして」

美優「また黒蜜をかけて食べるのでしょうか」

幸子「豆腐パックの中身をビニールの上にぶちまけます！」ばさっ！

楓「えっ！？」

志乃「別にぶちまけるほど豪快にやらなくてもいいわよ。あと黒蜜はちゃんと避けておくのよ」

楓「はい。出しました」

幸子「じゃあその上に黒蜜をかけて下さい！」たらっ

美優「なるほど…。こうすればさっきの食べ方より黄粉を気にせず食べれるのですね」

幸子「いえいえ！これからが本番ですよ！ビニールをつまんで黄粉がこぼれないようにして」

幸子「振ります！」シェイク！

美優「ちょっと幸子ちゃん！食べ物で遊んじゃダメよ！」

志乃「残念だけど、これちゃんとHPにも書いてある食べ方だから」

友紀「マジ！？」

志乃「まあ振るんじゃなくて揉むほうが正解なんだけれど」もみもみ

楓「それはそれでなんだか抵抗がありますね」

友紀「私がテレビで見たのもこれだったよー！」

幸子「ハイ！出来ました！」

美優「あら？こっちのほうが黄粉がまんべんなくついていますね」

幸子「見た目的にあまりよろしくないかもしれないですけれどこっちの食べ方も美味しいですよ！」

友紀「わーい！頂きます！」ぱくっ

楓「こっちの方が黄粉と黒蜜がなじんでしっとりとした味ですね」

友紀「こっちもおいしー！！」

瑞樹「おいしいわ、でも…」

美優「やはりパクリでは？」

幸子「フフーン！これには河口湖よりも深い事情があるのですよ！」

瑞樹「申し訳程度の山梨要素」

志乃「さて、いわゆる信玄餅を最初に売り出したのは1968年の桔梗屋と言われているわ」

志乃「その当時山梨の銘菓といえるものがほとんどなかった中で、桔梗屋の信玄餅は和菓子コンクールで賞を取るほど有名になったのよ」

友紀「おお！」

幸子「ところが桔梗屋が『信玄餅』という名前を使って大々的に売り出そうとしたときに問題が発生したのです！」

友紀「問題？」

志乃「なんと『信玄餅』という名前を別の会社が商標登録していたのよ」

美優「それってもしかして」

幸子「その通り！金精軒が商標権を取っていました！」

志乃「ちなみに金精軒が信玄餅を売り出したのは1972年。桔梗屋の4年後ね」

友紀「えー？それひどくない？」

志乃「まあ色々あったんだけれど解説するのがめんどくさいからあとは各自ググってね」

幸子「という訳で桔梗屋は信玄餅改め『桔梗信玄餅』を売り出したのです！」

志乃「よって『信玄餅』を作ったのは桔梗屋だけど『信玄餅』の名前で売っているのは金精軒というめんどくさい状況になったのよ」

美優「なるほど…」

楓「やっぱりパクリ…」

志乃「まあ結局先行で名前が売れていた分、桔梗屋の信玄餅が圧倒的に売れていてお土産屋にあるのは大体桔梗屋ね」

美優「あぁ…よかった、のでしょうか？」

幸子「ところが最近話題になっている『水信玄餅』というのがあります！」

友紀「あー！スライムみたいなやつだ！」

幸子「夏の土日で現地限定！賞味期限30分！食べるのに一時間待ちで午前中には完売してしまうといわれる幻のスイーツですね！」

美優「そんなに貴重なスイーツが…」

幸子「これを売り出しているのが金精軒なんですよ！これは完全オリジナルですね！」

志乃「正直、信玄餅は桔梗屋が圧倒的シェアだった中で金精軒が盛り返した感があるわね」

志乃「金精軒は味にこだわる分、保存が効かなかったり生産量が少ない弱点を逆に利用したといったところかしら」

楓「へぇー。あれ？では桔梗屋の信玄餅は実は美味しくないのですか？」

幸子「そんなことはない、はずですよ？」

志乃「まあ、桔梗屋は工場に行くと信玄餅詰め放題をやっているくらいだし…」

瑞樹「詰め放題？」

志乃「220円で小ぶりなビニールいっぱいに信玄餅を詰めれるアウトレットがあるのよ。上手い人なら18個ぐらいは詰めれるわ」

幸子「市販の信玄餅は15個入りで2200円くらいですから10分の1の値段ですよ！」

友紀「すごっ！！」

楓「……」

幸子「？どうしたんですか？」

楓「…さっきから桔梗屋と金精軒を食べ比べてるのだけど」もぐもぐ

楓「……違いがわからないわ」

瑞樹「まさか！？」もぐっ

友紀「えっと、金精軒の方が品質にこだわってるんでしょ？」もぐもぐっ

瑞樹・友紀「……」

瑞樹「ここここっちが金精軒？」

友紀「いやいやいや、こっちじゃないの？？」

幸子「……」

志乃「……」

瑞樹「すいませんっ！」ズサー

友紀「違いが判りません！！」ズサー

志乃「…まあいいわ」

友紀「えっ！？いいの？」

幸子「だってそもそも県民も違いなんてよくわからｎ


おわり☆

おまけ☆


ガチャ

早苗「おっつかれ！お土産買ってきたよー！」

鈴帆「ウチも買ってきたばい！」

友紀「おっ！なになにー？」がさがさ

美優「……白い包みに豆腐パックと黒蜜」

早苗「出陣餅よ！上杉謙信が出陣前に食べてたらしいわ！」

楓「……こっちの鈴帆ちゃんのは」

瑞樹「白いつつみに豆腐パックに黒蜜……」

鈴帆「筑紫もちや！黒田官兵衛が好きやったたい！」

楓・瑞樹・美優・友紀「「「「……やっぱりパクリなんじゃ…」」」」

幸子「一番古いのは信玄餅ですからね！！」


みんなも美味しいから信玄餅食べるんだゾ☆食べろよ？


おしまい！

信玄餅マスターの人なら桔梗屋と金精軒の味の違いがわかるらしいです。ぼくにはとてもできない

前の山梨SS↓
志乃「助けて幸子ちゃん」
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