心「えー☆　ちょっとくらいいいじゃーん☆」

ちひろ「駄目です。忙しいです」

心「漫画読むのが？」

ちひろ「ちょ、今いいとこなんでホント邪魔しないでください」

心「構えよー☆　かーまーえーよー☆」

ちひろ「うっざ……」

心「泣くぞ、おい☆」

ちひろ「と言うかなんなんですか！　あなた！　いきなり人の家に来たかと思えば構えって！」

心「だって暇なんだもーん♪」

ちひろ「私はですねぇ……！　やっともらえた休みなんですよ……！？」

心「お、奇遇～☆　はぁとも休みだぞ☆」

ちひろ「知ってますよ、誰がスケジュール管理してると思ってるんですか」

心「ちひろちゃんとプロデューサー！」

ちひろ「わかってるじゃないですか」

ちひろ「と言うわけです。帰って」

心「あ、ご飯作るから冷蔵庫開けるねー☆」

ちひろ「話を聞けぇ！」

心「ってなんもないな……☆　ドリンク以外」

ちひろ「仕方ないです。ここ最近ずっと忙しかったんで基本的に外食かコンビニばかりでしたし」

心「そんなんじゃ栄養偏るぞー☆」

ちひろ「スタドリがあれば大丈夫なんですよ。知りませんでした？」

心「んなわけないだろ☆」

心「と言うわけで、スーパー行くぞ☆」

ちひろ「えぇー……寝たい……」

心「そこは漫画読みたいじゃないのか☆」

◆

ちひろ「で、どうするんですか？」

心「んー、何かリクエストある？」

ちひろ「正直、食べられればなんでも」

心「張り合いないな☆」

ちひろ「心さんが作るなら大抵は大丈夫でしょうし」

ちひろ「それに、まぁ……たまには誰かの手料理も食べたいですし」

心「うんうん……☆　そうかそうか……」

心「じゃあ蕎麦でも茹でよっか☆　めんつゆはあったし♪」

ちひろ「……それを手料理と言い張るならスウィーティー女子力（笑）になりますよ」

心「冗談に決まってんだろ☆」

心「でも、あれじゃん？　とろろ蕎麦食べたくない？」

ちひろ「食べたいですね」

心「じゃあお昼は山芋買ってとろろ蕎麦にしよう♪」

ちひろ「別に私が読んでた漫画に合わせなくてもいいんですよ」

心「合わせてないから大丈夫☆」

心「そ・れ・に～♪　オシャレなご飯は昨日、美優ちゃんと楓ちゃんと食べて来たから☆」

ちひろ「お仕事帰りにですか？」

心「そ☆　なんか……こう……すごいオシャレだった。楓ちゃんとはぁと、思わず立ち尽くすくらいオシャレな店だった」

ちひろ「美優さんセレクトだとそうなりますよね。心さんも楓さんもどっちかと言うと大衆居酒屋でしょうし」

心「もうマジでビビったよね。はぁとの場違い感と言ったらそれはもう」

ちひろ「いつもの服で行ったんですか？」

心「んにゃ。あれは目立つからね☆　変装用の地味目なやつ」

ちひろ「じゃあ大丈夫ですよ。若干挙動不審な田舎者にしか見えてないです」

心「てめ☆」

ちひろ「あ、山芋ありましたよ。さっさと買って帰りましょ」

心「あ、待って。ついでに晩御飯の買い物もしてくから☆」

ちひろ「……まさか夜まで居るつもりですか」

心「いいだろ☆　今日は発泡酒飲みたい気分なの♪」

ちひろ「発泡酒なら菜々さんの家行ってくださいよ！」

心「まぁまぁ☆　たまにはいいじゃん☆」

ちひろ「せっかくの休みなのに……」

心「一人でごろごろして漫画読んでるだけだろ☆　どーせ☆」

ちひろ「ふんっ……」

心「さ、じゃあレジ行って帰るぞ☆」

ちひろ「はいはい……」

◆

心「うおぉぉ……！　かゆい……！　かゆいぞちひろちゃんっ……！」

ちひろ「山芋は手がかぶれますからねー」

ちひろ「お蕎麦これくらいでいいですか？」

心「うん☆　さんきゅ☆」

ちひろ「では……」

ちひろ、心「「いただきます」」

心「あー……うっめ……やっぱ日本人はこういうの食うべきだわ」

ちひろ「呪文料理とか正直味覚が混乱するだけですよね」

心「わかる。なんたらかんたらのどうたらこうたらとか言われてもさっぱり☆」

ちひろ「私も何がなんやらさっぱりなんですけど。何一つとして情報がありませんよ、それ」

心「仕方ないだろ☆　覚えられるか、あんなもん☆」

ちひろ「そんなんで食レポとか大丈夫なんですか？」

心「大丈夫☆　はぁとには魔法の言葉『スウィーティー☆』があるから♪」

ちひろ「『スウィーティー☆』って本当に便利な言葉ですよねー」

心「ちひろちゃんも使って良いんだぞ☆　使えよ☆」

ちひろ「はいはい、スウィーティースウィーティー」

心「投げやりだな、オイ☆」

ちひろ「今食べてるのお蕎麦ですからねー。スウィーティーではないですし」

心「あ、じゃあ蕎麦食べ終わったらこっち食べよっか♪」

ちひろ「？　なんですか、それ」

心「はぁとの手作りクッキー☆」

ちひろ「あ、遠慮します」

心「クッキー砕いて蕎麦にかけてやろうか」

ちひろ「やめてください」

心「もぉ～☆　なんでだよ☆　食べてよ☆　食えよ☆」

ちひろ「冗談ですから、あとでちゃんと頂きますから」

心「絶対だぞ～☆」

心「あ、はぁともうちょっと食べたいから茹でるけど、ちひろちゃん要る？」

ちひろ「そうですね。お願いします」

◆

心「ふんふんふーん♪」

ちひろ（……さて。お皿洗い終わって戻ってきたら、うちに来た理由を問い質そうかしら）

ちひろ（大方の予想はついてるけど……）

ちひろ「優しいなぁ……心さんは……」

心「んー？　呼んだー？」

ちひろ「呼んでませーん！」

心「んなことないだろ☆　ちゃんとはぁとの名前聞こえたぞ☆」

ちひろ「うわ、なんですかその地獄耳……」

心「このやろう☆」

ちひろ「で？」

心「ん？」

ちひろ「なんで来たんですか」

心「何でって……暇だったからだぞ☆」

ちひろ「本当は？」

心「本当はって、言われても☆」

ちひろ「ほ・ん・と・う・は？」

心「……落ち込んでるかなって」

ちひろ「やっぱりですか……。大丈夫ですよ。ちょっとしたミスです」

ちひろ（昨日……私のミスでちょっと大きめのイベントのお仕事が一つ飛んだ）

ちひろ（出演するはずだったアイドルのみんなも、プロデューサーさんも「気にしないで」と言ってはくれたけど……やっぱり気にしてしまう）

ちひろ「……こういうミスもたまにはあります。落ち込んでなんかないですよ」

心「はぁとの前では強がらなくてもいいんだぞ……☆」

ちひろ「大丈夫ですよ……。ちゃんと明日までには切り替えますから」

心「えいっ☆」

ちひろ「むぐっ！」

ちひろ「何すんですか！」

心「はぁと特性クッキー、お味はいかが？」

ちひろ「美味しいですけど……」

心「だよね～☆　かな子ちゃんの指導は完璧だった☆」

心「失敗して、落ち込んでる時は甘い物食べて忘れちゃうのが良いんだぞ☆」

ちひろ「だから、落ち込んでなんか……！」

心「はいはい。次々食え食え☆」

ちひろ「ちょっ……！　まっ……！」

心「遠慮すんな～☆」

ちひろ「やめてください！　パサパサする！　パサパサしてるから！」

心「クッキーなんてそんなもんだろ☆」

ちひろ「かな子ちゃんのクッキーならここまでパサパサしませんよ」

心「んだとコラ☆」

ちひろ「ほら、心さんも」

心「んぐ……むぐむぐ……」

心「パッサパサする……」

ちひろ「でしょう？」

ちひろ「……教えてもらったってどうやってですか？」

ちひろ「普段、心さんお菓子作りなんてしないんですよね。このクッキー見る限り」

心「あちゃー☆　バレたか☆」

心「朝からかな子ちゃんに電話してさー、作り方教えてもらったんだけどさ……☆」

心「ごめんね☆　失敗しちゃった☆」

ちひろ「まったくあなたは……」

心「え？」

ちひろ「これ、くれるんですよね」

心「え、でもパサパサするし……」

ちひろ「私は一度貰ったものは返しませんよ。がめついですから」

心「自分で言うのか☆」

ちひろ「いいんですー！」

ちひろ「それに……大丈夫です。ちゃんと美味しいです」

ちひろ「とってもスウィーティー☆で美味しいです」

心「ちひろちゃん……！」

ちひろ「あ、でも、コーヒー淹れてください。パサパサします」

心「てめぇ☆」

ちひろ（はぁ……まったく。こんなに心配してくれなくても良いのに）

ちひろ（そりゃ……落ち込んだけど……一人でもなんとか出来たのになぁ……）

心「ちひろちゃーん？　コーヒーどこー？」

ちひろ「えー？　どっかにありませんー？」

心「ないぞー☆」

ちひろ「じゃあちょっとひとっ走りコンビニ行ってきてください」

心「おい、パシリか☆　おい☆」

ちひろ「私は落ち込んでるので、優しくしてください」

心「このやろう☆」

心「じゃあ、一緒に行こ☆」

ちひろ「えぇ……」

心「ま、いーじゃんいーじゃん☆」

心「ほら、手、繋いで一緒に、ね☆」

ちひろ「はぁ……わかりましたよ」

ちひろ「じゃあ行きましょうか」

心「うん☆」

ちひろ「たまには……こういうスウィーティーなお休みも悪くない、かな……」

心「なんか言ったー？」

ちひろ「なんにもでーす」

End

以上です。

この二人、小鳥さんと舞さん並みに組み合わせてると動かしやすい。
書きやすくて丁度良いので、くだらないお話書くには最適かもしれない……。

では、お読み頂ければ幸いです。依頼出してきます

乙
お酒の人かな？