1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:02:58.928 :aL/Qm9o600505.net
-メロンパンフェス会場前-
タプリス(天界のお父さん、お母さん)
タプリス(今日、わたしは、悪魔である胡桃沢さんという先輩と)
タプリス(メロンパンフェスというものに来ています)
タプリス(全国各地から、30種類以上の超有名メロンパンが大集結)
タプリス(まさに、メロンパン好きによる、メロンパン好きのための)
タプリス(国内最大級のメロンパンの祭典です)
タプリス(大型連休に加えて、晴天にも恵まれ)
タプリス(会場は多くの人で賑わっています)
タプリス(ですが……)
タプリス「どうして、こんな長蛇の列に並ばないといけないんですか!」
サターニャ「……いいから、黙って待ちなさい」
-メロンパンフェス会場前-
タプリス(天界のお父さん、お母さん)
タプリス(今日、わたしは、悪魔である胡桃沢さんという先輩と)
タプリス(メロンパンフェスというものに来ています)
タプリス(全国各地から、30種類以上の超有名メロンパンが大集結)
タプリス(まさに、メロンパン好きによる、メロンパン好きのための)
タプリス(国内最大級のメロンパンの祭典です)
タプリス(大型連休に加えて、晴天にも恵まれ)
タプリス(会場は多くの人で賑わっています)
タプリス(ですが……)
タプリス「どうして、こんな長蛇の列に並ばないといけないんですか!」
サターニャ「……いいから、黙って待ちなさい」
2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:03:24.523 :JFSaNdC600505.net
支援
支援
3:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:06:53.806 :aL/Qm9o600505.net
タプリス「それに、メロンパン買うだけなら一人でもよかったのでは」
サターニャ「ここは購入数制限があって、一人三つまでしか買えないのよ」
サターニャ「あんたがいれば、少しでも多くのメロンパンを味わえるでしょ」
タプリス「で、でしたら、みなさんも誘えば、もっと買えたのに……」
サターニャ「……何言ってるの、ここは戦場よ」
サターニャ「ぞろぞろと大人数で歩くことなんて、できるわけないじゃない」
サターニャ「遊びでやってんじゃないのよ」
タプリス「いやいやいや……」
係員「まもなく、開場致します!」
サターニャ「それじゃあ行くわ、タプリス」
タプリス「えっ、あ、はい」
タプリス(す、すごい人ですね、押し潰されそう)
サターニャ「私から離れるんじゃないわよ、ほら、手」
タプリス「……あ、ありがとうございます」
サターニャ「……」
タプリス「……」
タプリス(こういう時だけ、頼もしいというか、先輩っぽいというか)
タプリス(……なんだかずるいです)
タプリス「それに、メロンパン買うだけなら一人でもよかったのでは」
サターニャ「ここは購入数制限があって、一人三つまでしか買えないのよ」
サターニャ「あんたがいれば、少しでも多くのメロンパンを味わえるでしょ」
タプリス「で、でしたら、みなさんも誘えば、もっと買えたのに……」
サターニャ「……何言ってるの、ここは戦場よ」
サターニャ「ぞろぞろと大人数で歩くことなんて、できるわけないじゃない」
サターニャ「遊びでやってんじゃないのよ」
タプリス「いやいやいや……」
係員「まもなく、開場致します!」
サターニャ「それじゃあ行くわ、タプリス」
タプリス「えっ、あ、はい」
タプリス(す、すごい人ですね、押し潰されそう)
サターニャ「私から離れるんじゃないわよ、ほら、手」
タプリス「……あ、ありがとうございます」
サターニャ「……」
タプリス「……」
タプリス(こういう時だけ、頼もしいというか、先輩っぽいというか)
タプリス(……なんだかずるいです)
4:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:09:03.928 :aL/Qm9o600505.net
-メロンパンフェス会場内-
タプリス「すごい……いろんなメロンパンがありますね」
タプリス「りんごメロンパンに、オレンジメロンパンって」
タプリス「もう、よくわかりませんね。美味しそうですけど」
サターニャ「素晴らしいラインナップだわ」
タプリス「カレーメロンパンってのも、ありますよ」
タプリス「でもこれ……、いわゆるカレーパンですよね」
サターニャ「いえ、ちゃんと生地はメロンパンになっているのだから」
サターニャ「れっきとしたメロンパンよ」
タプリス「へ、へぇ……」
サターニャ「私はもう、三つ決めたわ。あんたは?」
タプリス「え? あ、ちょっと待ってください、すぐ決めますから!」
-メロンパンフェス会場内-
タプリス「すごい……いろんなメロンパンがありますね」
タプリス「りんごメロンパンに、オレンジメロンパンって」
タプリス「もう、よくわかりませんね。美味しそうですけど」
サターニャ「素晴らしいラインナップだわ」
タプリス「カレーメロンパンってのも、ありますよ」
タプリス「でもこれ……、いわゆるカレーパンですよね」
サターニャ「いえ、ちゃんと生地はメロンパンになっているのだから」
サターニャ「れっきとしたメロンパンよ」
タプリス「へ、へぇ……」
サターニャ「私はもう、三つ決めたわ。あんたは?」
タプリス「え? あ、ちょっと待ってください、すぐ決めますから!」
5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:11:04.981 :aL/Qm9o600505.net
-メロンパンフェス会場 外-
タプリス「いただきます」パクッ
タプリス「ん~、美味しいです!」
サターニャ「外はカリッと香ばしく、中はふんわりさっぱりした食感」
サターニャ「奇をてらった商品も悪くないけれど」
サターニャ「やっぱり、普通のが最高ね。一番、違いがよく分かるわ」
タプリス「普段、『おいしい』と『すごくおいしい』の二種類しか言わないのに」
タプリス「メロンパンだけ、本気すぎませんか」
-メロンパンフェス会場 外-
タプリス「いただきます」パクッ
タプリス「ん~、美味しいです!」
サターニャ「外はカリッと香ばしく、中はふんわりさっぱりした食感」
サターニャ「奇をてらった商品も悪くないけれど」
サターニャ「やっぱり、普通のが最高ね。一番、違いがよく分かるわ」
タプリス「普段、『おいしい』と『すごくおいしい』の二種類しか言わないのに」
タプリス「メロンパンだけ、本気すぎませんか」
6:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:11:09.045 :XtGpxkxu00505.net
支援
支援
7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:13:08.761 :aL/Qm9o600505.net
サターニャ「……決めたわ」
タプリス「え、何をですか?」
サターニャ「私も、ここにメロンパンを出品する!」
タプリス「な、なに言ってるんですか、無理に決まってますよ!」
サターニャ「ここまでのメロンパン通、かつ」
サターニャ「大悪魔である私に、不可能はないわ!」
タプリス「いやいやいや……、全国の選りすぐりの品が集まってるんですよ?」
サターニャ「そうと決まれば、さっそく帰って、調理開始よ」
サターニャ「フェスは明日までだから、急がないといけないわ」タタタッ
タプリス「あ、ちょっと胡桃沢先輩! 待ってください!」
サターニャ「……決めたわ」
タプリス「え、何をですか?」
サターニャ「私も、ここにメロンパンを出品する!」
タプリス「な、なに言ってるんですか、無理に決まってますよ!」
サターニャ「ここまでのメロンパン通、かつ」
サターニャ「大悪魔である私に、不可能はないわ!」
タプリス「いやいやいや……、全国の選りすぐりの品が集まってるんですよ?」
サターニャ「そうと決まれば、さっそく帰って、調理開始よ」
サターニャ「フェスは明日までだから、急がないといけないわ」タタタッ
タプリス「あ、ちょっと胡桃沢先輩! 待ってください!」
8:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:15:00.814 :aL/Qm9o600505.net
-サターニャの家-
タプリス「ところで胡桃沢先輩、パン作りの経験はあるんですか?」
サターニャ「ふふっ、正直、作ったことはないわ」
タプリス「えぇ……」
サターニャ「でも一応、お菓子作りは小さい頃からずっと見てきたから」
サターニャ「おおよその流れは全て、頭に入っているし」
タプリス「あ、先輩の実家って洋菓子店でしたっけ」
サターニャ「まあ、期待してなさい。最高のメロンパンを作り出してみせるわ」
タプリス(ふ、不安しかないです……)
-サターニャの家-
タプリス「ところで胡桃沢先輩、パン作りの経験はあるんですか?」
サターニャ「ふふっ、正直、作ったことはないわ」
タプリス「えぇ……」
サターニャ「でも一応、お菓子作りは小さい頃からずっと見てきたから」
サターニャ「おおよその流れは全て、頭に入っているし」
タプリス「あ、先輩の実家って洋菓子店でしたっけ」
サターニャ「まあ、期待してなさい。最高のメロンパンを作り出してみせるわ」
タプリス(ふ、不安しかないです……)
9:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:16:14.729 :aL/Qm9o600505.net
-次の日の朝 サターニャの家-
サターニャ「ぜぇ……ぜぇ……、完成よ」
タプリス「ふにゃ……え、完成したんです? というか、徹夜ですか!?」
サターニャ「これよ!」バンッ
タプリス「……先輩」
サターニャ「なによ。あまりの出来に、言葉もないのかしら」
タプリス「なんといいますか、パンっていうより」
タプリス「でっかい、おせんべいみたいになってますけど……」
サターニャ「これだから素人は……とにかく、これを今から持っていくわ!」
タプリス「ちょ、待ってくださいって! もうっ!」
-次の日の朝 サターニャの家-
サターニャ「ぜぇ……ぜぇ……、完成よ」
タプリス「ふにゃ……え、完成したんです? というか、徹夜ですか!?」
サターニャ「これよ!」バンッ
タプリス「……先輩」
サターニャ「なによ。あまりの出来に、言葉もないのかしら」
タプリス「なんといいますか、パンっていうより」
タプリス「でっかい、おせんべいみたいになってますけど……」
サターニャ「これだから素人は……とにかく、これを今から持っていくわ!」
タプリス「ちょ、待ってくださいって! もうっ!」
10:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:16:34.060 :XtGpxkxu00505.net
ほ
ほ
11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:16:47.968 :XtGpxkxu00505.net
ほ
ほ
12:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:17:07.783 :XtGpxkxu00505.net
ほ
ほ
13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:17:39.642 :aL/Qm9o600505.net
-メロンパンフェス会場内-
運営委員「そういうのは、お断りしていますので……」
サターニャ「なんでよ! 私の最高傑作よ!」
運営委員「これが……ですか?」
サターニャ「み、見た目はちょっと悪いかもしれないけど」
サターニャ「食べたら美味しいんだから! ちょっと食べてみてよ!」
タプリス「胡桃沢先輩、あまり無茶を言うのは……」
運営委員「わかりました、それではいただきますね」
-メロンパンフェス会場内-
運営委員「そういうのは、お断りしていますので……」
サターニャ「なんでよ! 私の最高傑作よ!」
運営委員「これが……ですか?」
サターニャ「み、見た目はちょっと悪いかもしれないけど」
サターニャ「食べたら美味しいんだから! ちょっと食べてみてよ!」
タプリス「胡桃沢先輩、あまり無茶を言うのは……」
運営委員「わかりました、それではいただきますね」
14:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:20:54.390 :aL/Qm9o600505.net
タプリス「え、食べてもらえるんですか。あ、ありがとうございます!」
運営委員「……」モグモグ
サターニャ「……」ゴクリ
運営委員「あなた、メロンパンが大好きと言っていましたよね?」
サターニャ「え? ええ、もちろんよ」
運営委員「これを自分で食べてみましたか?」
サターニャ「……」
サターニャ「まだ、食べてない」
タプリス「えぇっ! 味見してないんですか!?」
運営委員「では、今食べてみてください」
サターニャ「……わ、わかったわ」パクッ
サターニャ「……」モグモグ
サターニャ「……ッ」
運営委員「私がこれから何を言おうとしているか、わかりましたか?」
サターニャ「……」
タプリス「胡桃沢先輩……?」
サターニャ「……邪魔をして悪かったわね」
サターニャ「帰るわよ、タプリス」
タプリス「えっ、先輩? ちょ、待ってください!」
タプリス「え、食べてもらえるんですか。あ、ありがとうございます!」
運営委員「……」モグモグ
サターニャ「……」ゴクリ
運営委員「あなた、メロンパンが大好きと言っていましたよね?」
サターニャ「え? ええ、もちろんよ」
運営委員「これを自分で食べてみましたか?」
サターニャ「……」
サターニャ「まだ、食べてない」
タプリス「えぇっ! 味見してないんですか!?」
運営委員「では、今食べてみてください」
サターニャ「……わ、わかったわ」パクッ
サターニャ「……」モグモグ
サターニャ「……ッ」
運営委員「私がこれから何を言おうとしているか、わかりましたか?」
サターニャ「……」
タプリス「胡桃沢先輩……?」
サターニャ「……邪魔をして悪かったわね」
サターニャ「帰るわよ、タプリス」
タプリス「えっ、先輩? ちょ、待ってください!」
15:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:24:11.697 :aL/Qm9o600505.net
-サターニャの家-
サターニャ「……」
タプリス(胡桃沢先輩……余程ショックだったんでしょうか)
タプリス「先輩、そんなに落ち込まないでください」
タプリス「しょうがないです、全国トップレベルのパン職人さんたちが」
タプリス「腕をふるっている本気のメロンパンたちなんですから」
タプリス「わたしたちのような素人が、勝てる相手では……」
サターニャ「……勝つ?」
タプリス「えっ」
サターニャ「そうよ、それよ! 最初から比べる必要なんてなかったんだわ!」
タプリス「先輩?」
サターニャ「ふふっ、あのメロンパンたちに勝つとか負けるとか」
サターニャ「どうでもいいことなのよ!」
タプリス「は、はぁ……」
サターニャ「決めたわ! 私は必ず作ってみせる!」
サターニャ「全てを超越した絶対的なメロンパン……」
サターニャ「その名も、超絶メロンパンを!!」
-サターニャの家-
サターニャ「……」
タプリス(胡桃沢先輩……余程ショックだったんでしょうか)
タプリス「先輩、そんなに落ち込まないでください」
タプリス「しょうがないです、全国トップレベルのパン職人さんたちが」
タプリス「腕をふるっている本気のメロンパンたちなんですから」
タプリス「わたしたちのような素人が、勝てる相手では……」
サターニャ「……勝つ?」
タプリス「えっ」
サターニャ「そうよ、それよ! 最初から比べる必要なんてなかったんだわ!」
タプリス「先輩?」
サターニャ「ふふっ、あのメロンパンたちに勝つとか負けるとか」
サターニャ「どうでもいいことなのよ!」
タプリス「は、はぁ……」
サターニャ「決めたわ! 私は必ず作ってみせる!」
サターニャ「全てを超越した絶対的なメロンパン……」
サターニャ「その名も、超絶メロンパンを!!」
16:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:26:53.194 :aL/Qm9o600505.net
タプリス「なんか、食べたら失神しそうなメロンパンですね……」
サターニャ「そう、あまりのおいしさにね」
タプリス「ほ、褒めたつもりじゃなかったんですけど……」
タプリス(でも、理由はともあれ、何か真っ当なこと一つに)
タプリス(打ち込んでいくのって、きっと良いことですよね……)
タプリス(それに胡桃沢先輩を、悪の道から遠ざけることもできそうです)
タプリス「わかりました! わたしにもお手伝いさせてください!」
サターニャ「えっ、いいの?」
タプリス「えぇ、一緒に頑張って作っていきましょう!」
サターニャ「わかったわ! 一緒に、絶頂メロンパンを完成させるわよ!」
タプリス「名前さっそく間違えてますって」
――
サターニャ「さて、それじゃあ作っていくわよ!」
タプリス「ちょっと待ってください! 考えなしに作っても……」
タプリス「また、おせんべいができるだけですよ!」
サターニャ「じゃあ、どうしろっていうのよ」
タプリス「ま、まずはレシピ通りに、普通のメロンパンを作るのが」
タプリス「よいかなぁと思うんですが」
サターニャ「私が作るのは、超絶メロンパンよ?」
サターニャ「普通のなんて作っても、仕方ないわ!」
タプリス「なんか、食べたら失神しそうなメロンパンですね……」
サターニャ「そう、あまりのおいしさにね」
タプリス「ほ、褒めたつもりじゃなかったんですけど……」
タプリス(でも、理由はともあれ、何か真っ当なこと一つに)
タプリス(打ち込んでいくのって、きっと良いことですよね……)
タプリス(それに胡桃沢先輩を、悪の道から遠ざけることもできそうです)
タプリス「わかりました! わたしにもお手伝いさせてください!」
サターニャ「えっ、いいの?」
タプリス「えぇ、一緒に頑張って作っていきましょう!」
サターニャ「わかったわ! 一緒に、絶頂メロンパンを完成させるわよ!」
タプリス「名前さっそく間違えてますって」
――
サターニャ「さて、それじゃあ作っていくわよ!」
タプリス「ちょっと待ってください! 考えなしに作っても……」
タプリス「また、おせんべいができるだけですよ!」
サターニャ「じゃあ、どうしろっていうのよ」
タプリス「ま、まずはレシピ通りに、普通のメロンパンを作るのが」
タプリス「よいかなぁと思うんですが」
サターニャ「私が作るのは、超絶メロンパンよ?」
サターニャ「普通のなんて作っても、仕方ないわ!」
17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:29:56.034 :aL/Qm9o600505.net
タプリス「いやいやいや……基本もわかってないのに」
タプリス「応用なんて、できるはずないじゃないですか」
タプリス「それに、先輩言ってましたよね」
タプリス「普通のが一番、違いがよく分かるって」
サターニャ「た、たしかに一理あるわね……」
タプリス「最初は、普通のメロンパンを、難なく作れるようになるまで」
タプリス「頑張ってみましょう!」
サターニャ「難なくって、どれくらいよ」
タプリス「こればかりは……何度も作ってみるしかないですよね」
サターニャ「まぁ、やるしかないわね。大悪魔の私に、二言はないわ!」
-数日後 サターニャの家-
サターニャ「これで、どうかしら」
タプリス「すごい! ちゃんとパンができてるじゃないですか!?」
サターニャ「それ、褒めてるの? それとも貶してるの?」
タプリス「褒めてますって! おせんべいからパンに進化ですよ!」
サターニャ「ふんっ、とにかく食べてみなさい!」
タプリス「は、はい。いただきます」パクッ
タプリス「……」モグモグ
サターニャ「ど、どうよ?」
タプリス「いやいやいや……基本もわかってないのに」
タプリス「応用なんて、できるはずないじゃないですか」
タプリス「それに、先輩言ってましたよね」
タプリス「普通のが一番、違いがよく分かるって」
サターニャ「た、たしかに一理あるわね……」
タプリス「最初は、普通のメロンパンを、難なく作れるようになるまで」
タプリス「頑張ってみましょう!」
サターニャ「難なくって、どれくらいよ」
タプリス「こればかりは……何度も作ってみるしかないですよね」
サターニャ「まぁ、やるしかないわね。大悪魔の私に、二言はないわ!」
-数日後 サターニャの家-
サターニャ「これで、どうかしら」
タプリス「すごい! ちゃんとパンができてるじゃないですか!?」
サターニャ「それ、褒めてるの? それとも貶してるの?」
タプリス「褒めてますって! おせんべいからパンに進化ですよ!」
サターニャ「ふんっ、とにかく食べてみなさい!」
タプリス「は、はい。いただきます」パクッ
タプリス「……」モグモグ
サターニャ「ど、どうよ?」
18:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:33:07.013 :aL/Qm9o600505.net
タプリス「お……」
サターニャ「お?」
タプリス「おいしいじゃないですか!」
サターニャ「ほ、本当? 嘘じゃないわよね?」
タプリス「嘘なんかついてどうするんですか、これはおいしいです」
サターニャ「ふっ、さすが私ね、わかってたわ。これで……」
サターニャ「超絶メロンパンの完成よ!」
タプリス「あ……」
サターニャ「どうしたのよ?」
タプリス「え、えっと……、たしかにおいしいことはおいしいんですが……」
サターニャ「何よ、はっきり言いなさい」
タプリス「あくまで手作りのおいしさっていうか、お店のものと比べると」
タプリス「どうしても劣っちゃうといいますか……」
サターニャ「そ、そう……」
タプリス「あ……で、でも! そう感じるのは、わたしだけかもしれませんし!」
タプリス「他のみなさんにも食べてもらいましょう!」
タプリス「お……」
サターニャ「お?」
タプリス「おいしいじゃないですか!」
サターニャ「ほ、本当? 嘘じゃないわよね?」
タプリス「嘘なんかついてどうするんですか、これはおいしいです」
サターニャ「ふっ、さすが私ね、わかってたわ。これで……」
サターニャ「超絶メロンパンの完成よ!」
タプリス「あ……」
サターニャ「どうしたのよ?」
タプリス「え、えっと……、たしかにおいしいことはおいしいんですが……」
サターニャ「何よ、はっきり言いなさい」
タプリス「あくまで手作りのおいしさっていうか、お店のものと比べると」
タプリス「どうしても劣っちゃうといいますか……」
サターニャ「そ、そう……」
タプリス「あ……で、でも! そう感じるのは、わたしだけかもしれませんし!」
タプリス「他のみなさんにも食べてもらいましょう!」
19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:35:40.698 :uyulzc0f00505.net
支援
支援
20:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:35:57.131 :aL/Qm9o600505.net
-ヴィーネの家-
ヴィーネ「意外とおいしい」
ガヴリール「意外とうまいな」
ラフィエル「意外と美味しいですね」
サターニャ「意外とって何よ、あんたたち! 失礼すぎるでしょ!」
ヴィーネ「いや、サターニャが料理するイメージなんてなかったし」
ヴィーネ「実際してないでしょ?」
サターニャ「それはそうだけど、メロンパンだけは別なのよ!」
ガヴリール「で、これをどうしたいんだ?」
サターニャ「なはっ、聞いて驚きなさい」
サターニャ「これを、超絶メロンパンとして世に広め、世界中に認識させるのよ!」
サターニャ「全てを超えた、絶対的なメロンパンであるとね!」
ガヴリール「で、これをどうしたいんだ?」
サターニャ「ちょ! 今言ったでしょうが!」
ガヴリール「すまん、あと二回くらい言ってくれ」
サターニャ「せめて次で聞く努力くらいしなさいよ!」
-ヴィーネの家-
ヴィーネ「意外とおいしい」
ガヴリール「意外とうまいな」
ラフィエル「意外と美味しいですね」
サターニャ「意外とって何よ、あんたたち! 失礼すぎるでしょ!」
ヴィーネ「いや、サターニャが料理するイメージなんてなかったし」
ヴィーネ「実際してないでしょ?」
サターニャ「それはそうだけど、メロンパンだけは別なのよ!」
ガヴリール「で、これをどうしたいんだ?」
サターニャ「なはっ、聞いて驚きなさい」
サターニャ「これを、超絶メロンパンとして世に広め、世界中に認識させるのよ!」
サターニャ「全てを超えた、絶対的なメロンパンであるとね!」
ガヴリール「で、これをどうしたいんだ?」
サターニャ「ちょ! 今言ったでしょうが!」
ガヴリール「すまん、あと二回くらい言ってくれ」
サターニャ「せめて次で聞く努力くらいしなさいよ!」
21:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:39:07.369 :aL/Qm9o600505.net
ヴィーネ「たしかに、おいしいとは思うけど……」
ヴィーネ「やっぱり手作りの域を超えられるかというと、厳しいわね」
タプリス「そ、そうですよね……」
サターニャ「何よ! みんなおいしいって言ってくれたじゃない!」
サターニャ「おいしければ絶対、みんな認めてくれるわよ!」
タプリス「胡桃沢先輩……」
ラフィエル「だったら、こういうのはどうでしょう」
サターニャ「な、何よ……」
ラフィエル「ガヴちゃんの働くエンジェル珈琲に、ですね」
ラフィエル「サターニャさんのメロンパンを置いてもらって」
ラフィエル「どれくらい売れるかを試してみるんです」
サターニャ「あ、あんたにしては、良い案じゃない!」
ガヴリール「おいおい、なに勝手に決めてんだよ」
ラフィエル「ガヴちゃん、ガヴちゃん」コソコソ
ラフィエル「お友達としては、時には厳しく、現実を教えてあげるのも」コソコソ
ラフィエル「必要だと思いますよ、それに……」コソコソ
ラフィエル「その方が面白いじゃないですか」コソコソ
ガヴリール「ああ、最後しか聞こえなかった」
ヴィーネ「たしかに、おいしいとは思うけど……」
ヴィーネ「やっぱり手作りの域を超えられるかというと、厳しいわね」
タプリス「そ、そうですよね……」
サターニャ「何よ! みんなおいしいって言ってくれたじゃない!」
サターニャ「おいしければ絶対、みんな認めてくれるわよ!」
タプリス「胡桃沢先輩……」
ラフィエル「だったら、こういうのはどうでしょう」
サターニャ「な、何よ……」
ラフィエル「ガヴちゃんの働くエンジェル珈琲に、ですね」
ラフィエル「サターニャさんのメロンパンを置いてもらって」
ラフィエル「どれくらい売れるかを試してみるんです」
サターニャ「あ、あんたにしては、良い案じゃない!」
ガヴリール「おいおい、なに勝手に決めてんだよ」
ラフィエル「ガヴちゃん、ガヴちゃん」コソコソ
ラフィエル「お友達としては、時には厳しく、現実を教えてあげるのも」コソコソ
ラフィエル「必要だと思いますよ、それに……」コソコソ
ラフィエル「その方が面白いじゃないですか」コソコソ
ガヴリール「ああ、最後しか聞こえなかった」
22:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:42:15.449 :aL/Qm9o600505.net
-数日後 エンジェル珈琲-
マスター「ええ、いいですよ」
ガヴリール「マ、マジすか……ド素人が作るパンっすよ?」
マスター「これで、私のコーヒーを飲んでくれるお客さんが」
マスター「一人でも増えれば、私は嬉しいからねぇ」
マスター「それに、現役女子高生が作るメロンパン、売れそうじゃないですか」
ガヴリール「あ、それは引くっす」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
タプリス「少し鳥肌が……」
ヴィーネ「そんな人じゃないと思ってたのに……」
マスター「ち、違うからね! 私はコーヒー、一筋だからね!」
サターニャ「あんたたち、置いてくれるって言ってんだから」
サターニャ「こんないい人に、文句言ってんじゃないわよ!」
マスター「く、胡桃沢くん……」ジーン
サターニャ「じゃあ、任せたわ! 値段は一個、1万円でお願いね!」
マスター「高すぎ、ですねぇぇぇぇっ!!」
-数日後 エンジェル珈琲-
マスター「ええ、いいですよ」
ガヴリール「マ、マジすか……ド素人が作るパンっすよ?」
マスター「これで、私のコーヒーを飲んでくれるお客さんが」
マスター「一人でも増えれば、私は嬉しいからねぇ」
マスター「それに、現役女子高生が作るメロンパン、売れそうじゃないですか」
ガヴリール「あ、それは引くっす」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
タプリス「少し鳥肌が……」
ヴィーネ「そんな人じゃないと思ってたのに……」
マスター「ち、違うからね! 私はコーヒー、一筋だからね!」
サターニャ「あんたたち、置いてくれるって言ってんだから」
サターニャ「こんないい人に、文句言ってんじゃないわよ!」
マスター「く、胡桃沢くん……」ジーン
サターニャ「じゃあ、任せたわ! 値段は一個、1万円でお願いね!」
マスター「高すぎ、ですねぇぇぇぇっ!!」
23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:44:56.296 :aL/Qm9o600505.net
-次の日 エンジェル珈琲-
サターニャ「はぁっ!? 一個も売れなかったですって!!」
ガヴリール「ああ。もちろん値段は、下げに下げて50円にしたんだが」
サターニャ「50円って、普通のメロンパンの半分以下じゃない!」
サターニャ「それなのに一個も売れなかったなんて……」
ガヴリール「まあ、この店に来る客が少ないってのもあるが」
マスター「……」グサッ
ガヴリール「現実はこんなもんだ」
サターニャ「そんな……」
マスター「胡桃沢くん、そんなに落ち込まないで」
マスター「私も食べさせてもらったけど、よく出来てて美味しかったよ」
サターニャ「ほ、本当!?」
マスター「ただ……」
サターニャ「ただ?」
マスター「お金を出して買ってもらえる、ってのは簡単なことじゃないんだ」
マスター「それこそ世の中、お金さえ出せば」
マスター「いくらでも安くて良い物が手に入るからね」
マスター「余程、何かに秀でていないと、難しいことなんだよ」
サターニャ「……」
タプリス「胡桃沢先輩……」
-次の日 エンジェル珈琲-
サターニャ「はぁっ!? 一個も売れなかったですって!!」
ガヴリール「ああ。もちろん値段は、下げに下げて50円にしたんだが」
サターニャ「50円って、普通のメロンパンの半分以下じゃない!」
サターニャ「それなのに一個も売れなかったなんて……」
ガヴリール「まあ、この店に来る客が少ないってのもあるが」
マスター「……」グサッ
ガヴリール「現実はこんなもんだ」
サターニャ「そんな……」
マスター「胡桃沢くん、そんなに落ち込まないで」
マスター「私も食べさせてもらったけど、よく出来てて美味しかったよ」
サターニャ「ほ、本当!?」
マスター「ただ……」
サターニャ「ただ?」
マスター「お金を出して買ってもらえる、ってのは簡単なことじゃないんだ」
マスター「それこそ世の中、お金さえ出せば」
マスター「いくらでも安くて良い物が手に入るからね」
マスター「余程、何かに秀でていないと、難しいことなんだよ」
サターニャ「……」
タプリス「胡桃沢先輩……」
24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:47:52.572 :aL/Qm9o600505.net
ガヴリール「まぁわかったなら、これで諦め――」
サターニャ「……嫌よ」
タプリス「えっ」
サターニャ「私は誓ったの! 全てを超えた、絶対的なメロンパンを作るって!」
サターニャ「あの、メロンパンフェス運営委員の鼻を明かしてやるんだって!」
タプリス「……」
サターニャ「ちょっとやって、売れなかったから、なに!?」
サターニャ「私が挑み続けている限り、私に負けはないのよ!!」
マスター「……ッ」
ガヴリール「言いたいことは、それだけか」
サターニャ「……ええ」
サターニャ「マスター、店で大声出して悪かったわね」
サターニャ「メロンパン……置いてくれて、ありがとう」
サターニャ「タプリス、行くわよ」
タプリス「あっ……」
マスター「ちょっと待って!」
ガヴリール「まぁわかったなら、これで諦め――」
サターニャ「……嫌よ」
タプリス「えっ」
サターニャ「私は誓ったの! 全てを超えた、絶対的なメロンパンを作るって!」
サターニャ「あの、メロンパンフェス運営委員の鼻を明かしてやるんだって!」
タプリス「……」
サターニャ「ちょっとやって、売れなかったから、なに!?」
サターニャ「私が挑み続けている限り、私に負けはないのよ!!」
マスター「……ッ」
ガヴリール「言いたいことは、それだけか」
サターニャ「……ええ」
サターニャ「マスター、店で大声出して悪かったわね」
サターニャ「メロンパン……置いてくれて、ありがとう」
サターニャ「タプリス、行くわよ」
タプリス「あっ……」
マスター「ちょっと待って!」
25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:51:16.853 :aL/Qm9o600505.net
サターニャ「何よ、まだ何かあるの」
マスター「私の知り合いにね、パン屋を営んでいる女性がいるんだけど」
マスター「前に人手が不足しているって、言っていたんだ」
マスター「も、もし、胡桃沢くんが良かったら」
マスター「そこで働いてみないか?」
サターニャ「えっ」
タプリス「く、胡桃沢先輩! そ、それってチャンスですよ!」
マスター「もちろん、君のやる気があれば、だけど」
サターニャ「どうして……そんなこと教えてくれるのよ」
マスター「さっきの、君の言葉を聞いてね」
マスター「なんか若い頃の自分を思い出したんだ」
マスター「ただ、がむしゃらに、コーヒー作りに没頭していた頃をね」
タプリス「マスターさん……」
マスター「まぁなんだ、しがない中年のお節介と思ってくれて構わないよ」
ガヴリール「……もう少し、この店の心配もした方が良いと思うけどな」
マスター「……」グサッ
マスター「そ、それで、どうするんだい?」
サターニャ「……そんなの、決まってるじゃない」
サターニャ「このサタニキア様が、そこで働いてあげるわ!!」
サターニャ「何よ、まだ何かあるの」
マスター「私の知り合いにね、パン屋を営んでいる女性がいるんだけど」
マスター「前に人手が不足しているって、言っていたんだ」
マスター「も、もし、胡桃沢くんが良かったら」
マスター「そこで働いてみないか?」
サターニャ「えっ」
タプリス「く、胡桃沢先輩! そ、それってチャンスですよ!」
マスター「もちろん、君のやる気があれば、だけど」
サターニャ「どうして……そんなこと教えてくれるのよ」
マスター「さっきの、君の言葉を聞いてね」
マスター「なんか若い頃の自分を思い出したんだ」
マスター「ただ、がむしゃらに、コーヒー作りに没頭していた頃をね」
タプリス「マスターさん……」
マスター「まぁなんだ、しがない中年のお節介と思ってくれて構わないよ」
ガヴリール「……もう少し、この店の心配もした方が良いと思うけどな」
マスター「……」グサッ
マスター「そ、それで、どうするんだい?」
サターニャ「……そんなの、決まってるじゃない」
サターニャ「このサタニキア様が、そこで働いてあげるわ!!」
26:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:53:54.783 :aL/Qm9o600505.net
タプリス(こうして、胡桃沢先輩のパン作りの修業の日々が始まりました)
タプリス(学校が終わると一目散に飛び出していって、パン屋へ通い)
タプリス(休日も返上して、働き続けました)
タプリス(最初に、パン屋の店長さんが女性と聞いた時は、少し安心したものですが)
タプリス(実は、男性も顔負けの豪快で勝ち気な方でして)
タプリス(しょっちゅう、胡桃沢先輩とは衝突して)
タプリス(口喧嘩を店中に響かせていたみたいです)
タプリス(それでも今まで続いているのを見ると)
タプリス(意外と馬が合うのかもしれません)
タプリス(そして、店の仕事の合間を見ては、メロンパンを作り続け)
タプリス(その結果に一喜一憂して、時には苦悩しながら、腕を磨いていきました)
タプリス(そう、胡桃沢先輩のメロンパンに対する熱い思いは)
タプリス(衰えることを知らなかったのです)
タプリス(そして……)
タプリス(数ヶ月の時が、流れました)
タプリス(こうして、胡桃沢先輩のパン作りの修業の日々が始まりました)
タプリス(学校が終わると一目散に飛び出していって、パン屋へ通い)
タプリス(休日も返上して、働き続けました)
タプリス(最初に、パン屋の店長さんが女性と聞いた時は、少し安心したものですが)
タプリス(実は、男性も顔負けの豪快で勝ち気な方でして)
タプリス(しょっちゅう、胡桃沢先輩とは衝突して)
タプリス(口喧嘩を店中に響かせていたみたいです)
タプリス(それでも今まで続いているのを見ると)
タプリス(意外と馬が合うのかもしれません)
タプリス(そして、店の仕事の合間を見ては、メロンパンを作り続け)
タプリス(その結果に一喜一憂して、時には苦悩しながら、腕を磨いていきました)
タプリス(そう、胡桃沢先輩のメロンパンに対する熱い思いは)
タプリス(衰えることを知らなかったのです)
タプリス(そして……)
タプリス(数ヶ月の時が、流れました)
27:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:57:04.209 :aL/Qm9o600505.net
-数ヶ月後 エンジェル珈琲-
ドンッ
サターニャ「これを、ここに置いてほしいの」
マスター「こ、これは……なんて綺麗なメロンパンなんだ」
サターニャ「……超絶メロンパン、328号よ」
マスター「た、食べてみてもいいかい?」
サターニャ「ええ、どうぞ」
マスター「……」パクッ
マスター「!!??」
マスター「な、なんだこの、メロンパンは!!」
マスター「カリッ、フワッ、モフッ!! それぞれの食感が、頭の中を反芻していく!!」
マスター「止まらない! 手と口が止まらない! 止めてはいけない!!」
マスター「私にはこのメロンパンを!! 食べる義務がある!!」
マスター「私は、このパンと、一緒にならなければ、ならないぃぃぃぃっ!!」
マスター「ぜぇ……ぜぇ……す、すごいよ、胡桃沢くん」
マスター「もちろん君の努力の賜物だとも思うが……」
マスター「これは天性の才能だよ! 君はメロンパンを作るために生まれてきたんだ!」
サターニャ「……当然ッ! 既に知っていたことだわッ!!」
-数ヶ月後 エンジェル珈琲-
ドンッ
サターニャ「これを、ここに置いてほしいの」
マスター「こ、これは……なんて綺麗なメロンパンなんだ」
サターニャ「……超絶メロンパン、328号よ」
マスター「た、食べてみてもいいかい?」
サターニャ「ええ、どうぞ」
マスター「……」パクッ
マスター「!!??」
マスター「な、なんだこの、メロンパンは!!」
マスター「カリッ、フワッ、モフッ!! それぞれの食感が、頭の中を反芻していく!!」
マスター「止まらない! 手と口が止まらない! 止めてはいけない!!」
マスター「私にはこのメロンパンを!! 食べる義務がある!!」
マスター「私は、このパンと、一緒にならなければ、ならないぃぃぃぃっ!!」
マスター「ぜぇ……ぜぇ……す、すごいよ、胡桃沢くん」
マスター「もちろん君の努力の賜物だとも思うが……」
マスター「これは天性の才能だよ! 君はメロンパンを作るために生まれてきたんだ!」
サターニャ「……当然ッ! 既に知っていたことだわッ!!」
28:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 21:59:58.751 :aL/Qm9o600505.net
-数週間後 エンジェル珈琲-
タッタッタッ
ガヴリール「らっしゃっせー」
タプリス「先輩! 次のお客さん来ています! 早くしてください!」
ガヴリール「……なんでこんな、クソ忙しくなるんだよ」
ヴィーネ「文句言わないの。私たちも手伝ってるでしょ!」
ラフィエル「それにしても、サターニャさんのメロンパンが」
ラフィエル「こんなにも人気が出るなんて、思わなかったですね」
ヴィーネ「さっき、県外ナンバーの車も来ていたわ」
ガヴリール「マジかよ、サターニャ最低だな」
マスター「こ、こんなに私のコーヒーを飲んでもらえるなんて」ウルウル
タプリス「マスターさん、マジ泣きしてます……」
ガヴリール「で、その元凶のあいつは、どこ行ったんだよ」
タプリス「なんかまだまだ、改善の余地があるとかで」
タプリス「実家の洋菓子店に、修行にいくって言ってました」
ガヴリール「もう、やりたい放題だな……」
-数週間後 エンジェル珈琲-
タッタッタッ
ガヴリール「らっしゃっせー」
タプリス「先輩! 次のお客さん来ています! 早くしてください!」
ガヴリール「……なんでこんな、クソ忙しくなるんだよ」
ヴィーネ「文句言わないの。私たちも手伝ってるでしょ!」
ラフィエル「それにしても、サターニャさんのメロンパンが」
ラフィエル「こんなにも人気が出るなんて、思わなかったですね」
ヴィーネ「さっき、県外ナンバーの車も来ていたわ」
ガヴリール「マジかよ、サターニャ最低だな」
マスター「こ、こんなに私のコーヒーを飲んでもらえるなんて」ウルウル
タプリス「マスターさん、マジ泣きしてます……」
ガヴリール「で、その元凶のあいつは、どこ行ったんだよ」
タプリス「なんかまだまだ、改善の余地があるとかで」
タプリス「実家の洋菓子店に、修行にいくって言ってました」
ガヴリール「もう、やりたい放題だな……」
29:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:03:04.986 :aL/Qm9o60.net
-さらに数ヶ月後 サターニャの家-
タプリス「聞きましたか、胡桃沢先輩!」
サターニャ「何をよ」
タプリス「今度、先輩のメロンパンが商品化されて、コンビニに置かれるそうです!」
サターニャ「そう、興味ないわ」
タプリス「えっ!? ど、どうしてです!?」
サターニャ「あんな機械で作った量産品なんて」
サターニャ「私のメロンパンだなんて言えないもの」
タプリス「で、でも。それでもっと有名になれば」
タプリス「先輩のメロンパンを食べてくれる人が増えますよ!」
サターニャ「……ま、そんなことよりも」
タプリス「ス、スルー!?」
サターニャ「これからは、原材料にもこだわっていきたいと思うのよ」
サターニャ「小麦はもちろんとして……」
サターニャ「現在の超絶メロンパンの隠し味になっているメロン果汁」
サターニャ「これらを、農家と連携して、一から栽培していこうと思ってるわ」
タプリス「そ、そこまで……するんですか……」
サターニャ「というわけで、しばらく家を空けるから」
タプリス「えぇっ、学校はどうするんです!?」
サターニャ「もう休学届は提出済よ、それじゃ次の大型連休に会いましょう」
タプリス「ちょ、胡桃沢先輩!? えぇぇぇっ!!」
-さらに数ヶ月後 サターニャの家-
タプリス「聞きましたか、胡桃沢先輩!」
サターニャ「何をよ」
タプリス「今度、先輩のメロンパンが商品化されて、コンビニに置かれるそうです!」
サターニャ「そう、興味ないわ」
タプリス「えっ!? ど、どうしてです!?」
サターニャ「あんな機械で作った量産品なんて」
サターニャ「私のメロンパンだなんて言えないもの」
タプリス「で、でも。それでもっと有名になれば」
タプリス「先輩のメロンパンを食べてくれる人が増えますよ!」
サターニャ「……ま、そんなことよりも」
タプリス「ス、スルー!?」
サターニャ「これからは、原材料にもこだわっていきたいと思うのよ」
サターニャ「小麦はもちろんとして……」
サターニャ「現在の超絶メロンパンの隠し味になっているメロン果汁」
サターニャ「これらを、農家と連携して、一から栽培していこうと思ってるわ」
タプリス「そ、そこまで……するんですか……」
サターニャ「というわけで、しばらく家を空けるから」
タプリス「えぇっ、学校はどうするんです!?」
サターニャ「もう休学届は提出済よ、それじゃ次の大型連休に会いましょう」
タプリス「ちょ、胡桃沢先輩!? えぇぇぇっ!!」
30:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:06:39.703 :aL/Qm9o60.net
タプリス(その後、胡桃沢先輩は本当に、舞天市を去ってしまい)
タプリス(日本各地の農家を転々としている、と聞いています)
タプリス(たまに電話をしたときに、喜々として成果を報告する先輩は)
タプリス(本当に無邪気で子供っぽくて)
タプリス(わたしも、ついつい笑みが溢れてしまいます)
タプリス(一方で、名物がなくなってしまったエンジェル珈琲は)
タプリス(また以前のように閑古鳥が鳴くようになり)
タプリス(マスターさんの体重は、減っていくばかりのようです)
タプリス(先輩のみなさんも、胡桃沢先輩がいなくなってしまって)
タプリス(ぽっかりと空いてしまった胸の穴を)
タプリス(特に話題にすることもなく、埋め合っていると聞いています)
タプリス(そうして、月日はどんどんと流れ……)
タプリス(運命の、メロンパンフェスの日がやって来たのです)
タプリス(その後、胡桃沢先輩は本当に、舞天市を去ってしまい)
タプリス(日本各地の農家を転々としている、と聞いています)
タプリス(たまに電話をしたときに、喜々として成果を報告する先輩は)
タプリス(本当に無邪気で子供っぽくて)
タプリス(わたしも、ついつい笑みが溢れてしまいます)
タプリス(一方で、名物がなくなってしまったエンジェル珈琲は)
タプリス(また以前のように閑古鳥が鳴くようになり)
タプリス(マスターさんの体重は、減っていくばかりのようです)
タプリス(先輩のみなさんも、胡桃沢先輩がいなくなってしまって)
タプリス(ぽっかりと空いてしまった胸の穴を)
タプリス(特に話題にすることもなく、埋め合っていると聞いています)
タプリス(そうして、月日はどんどんと流れ……)
タプリス(運命の、メロンパンフェスの日がやって来たのです)
31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:09:29.022 :aL/Qm9o60.net
-数ヶ月後 メロンパンフェス会場前-
タプリス「お久しぶりです、胡桃沢先輩」
サターニャ「ええ、久しぶり」
タプリス「なんだか、以前にも増して、健康的な感じになりましたね」
サターニャ「そう? そんな変わんないでしょ」
タプリス「そうですね。外見以外は、変わってないみたいで安心しました」
――
サターニャ「この一年、死に物狂いで作り続けてきて」
サターニャ「ついに……この日を迎えることができたわ」
タプリス「はい、長かったようで短かったような、そんな感じがします」
サターニャ「……ありがとね、タプリス」
タプリス「えっ、先輩?」
サターニャ「たぶん、あんたが最初に、私を手伝ってくれたおかげで」
サターニャ「ここまで来ることができた。だから、ありがとう」
タプリス「そ、そんな……わたしなんて何も……」
タプリス「全ては、先輩の行動による成果ですよ、だって……」
タプリス「わたしずっと、先輩のこと見てきましたから、わかるんです」
サターニャ「……そう。じゃあ今日、新たな1ページが刻まれる私の武勇伝を」
サターニャ「あんたにはこれから、広めてもらわないとね!」
タプリス「はいっ!」
サターニャ「それじゃ、行くわよ!!」
-数ヶ月後 メロンパンフェス会場前-
タプリス「お久しぶりです、胡桃沢先輩」
サターニャ「ええ、久しぶり」
タプリス「なんだか、以前にも増して、健康的な感じになりましたね」
サターニャ「そう? そんな変わんないでしょ」
タプリス「そうですね。外見以外は、変わってないみたいで安心しました」
――
サターニャ「この一年、死に物狂いで作り続けてきて」
サターニャ「ついに……この日を迎えることができたわ」
タプリス「はい、長かったようで短かったような、そんな感じがします」
サターニャ「……ありがとね、タプリス」
タプリス「えっ、先輩?」
サターニャ「たぶん、あんたが最初に、私を手伝ってくれたおかげで」
サターニャ「ここまで来ることができた。だから、ありがとう」
タプリス「そ、そんな……わたしなんて何も……」
タプリス「全ては、先輩の行動による成果ですよ、だって……」
タプリス「わたしずっと、先輩のこと見てきましたから、わかるんです」
サターニャ「……そう。じゃあ今日、新たな1ページが刻まれる私の武勇伝を」
サターニャ「あんたにはこれから、広めてもらわないとね!」
タプリス「はいっ!」
サターニャ「それじゃ、行くわよ!!」
32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:12:44.688 :aL/Qm9o60.net
運営委員「あなたはたしか……去年、持ち込みをしてきた方、ですね」
サターニャ「ふっ、覚えていてくれたみたいで光栄ね」
運営委員「まさか今年も……」
サターニャ「ええ、そのまさかよ」
運営委員「何度も言いますが、そういうのはお断りしていますので……」
サターニャ「これを食べても、同じ口が叩けるかしら」
ドンッ
運営委員「こ、これは……」
サターニャ「私を、去年の私と同じと思わないことね」
サターニャ「さぁ食べてみなさい! 私の最高傑作を!」
タプリス「わたしからもお願いします、食べてみてください……」
運営委員「……わかりました、それではいただきます」
サターニャ「……」
タプリス「……」ゴクリ
運営委員「……」パクッ
運営委員「……ッ」
運営委員「あなたはたしか……去年、持ち込みをしてきた方、ですね」
サターニャ「ふっ、覚えていてくれたみたいで光栄ね」
運営委員「まさか今年も……」
サターニャ「ええ、そのまさかよ」
運営委員「何度も言いますが、そういうのはお断りしていますので……」
サターニャ「これを食べても、同じ口が叩けるかしら」
ドンッ
運営委員「こ、これは……」
サターニャ「私を、去年の私と同じと思わないことね」
サターニャ「さぁ食べてみなさい! 私の最高傑作を!」
タプリス「わたしからもお願いします、食べてみてください……」
運営委員「……わかりました、それではいただきます」
サターニャ「……」
タプリス「……」ゴクリ
運営委員「……」パクッ
運営委員「……ッ」
33:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:16:01.540 :aL/Qm9o60.net
運営委員「口の中に入れた瞬間の、蕩けるような食感」
運営委員「そして広がる、芳醇な甘み」
運営委員「私が今まで食べてきた中で恐らく……ナンバー1です」
サターニャ「これでわかったでしょう、私の実力が」
運営委員「ええ、一年前の物とは……全くの別物ですね。美味しいです」
タプリス「やった! やりましたね、先輩っ!」
サターニャ「ふっ、当然よ!」
運営委員「ですがこれを……」
タプリス「えっ」
運営委員「このメロンパンフェスで、売ることはできません」
サターニャ「はぁっ!? ど、どうしてよ!?」
タプリス「納得できないです! 理由を教えてください!」
運営委員「だってこれ、パンじゃなくて……」
運営委員「ただのメロンじゃないですか」
サターニャ「しまったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
おしまい
運営委員「口の中に入れた瞬間の、蕩けるような食感」
運営委員「そして広がる、芳醇な甘み」
運営委員「私が今まで食べてきた中で恐らく……ナンバー1です」
サターニャ「これでわかったでしょう、私の実力が」
運営委員「ええ、一年前の物とは……全くの別物ですね。美味しいです」
タプリス「やった! やりましたね、先輩っ!」
サターニャ「ふっ、当然よ!」
運営委員「ですがこれを……」
タプリス「えっ」
運営委員「このメロンパンフェスで、売ることはできません」
サターニャ「はぁっ!? ど、どうしてよ!?」
タプリス「納得できないです! 理由を教えてください!」
運営委員「だってこれ、パンじゃなくて……」
運営委員「ただのメロンじゃないですか」
サターニャ「しまったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
おしまい
34:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:20:03.735 :JadSV1tOp.net
乙
乙
35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:21:04.263 :HB66c/zjp.net
タプちゃん気づけよ
36:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:21:38.434 :TD5JEqSG0.net
乙
果汁入りは邪道
果汁入りは邪道
37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:26:12.515 :uyulzc0f0.net
ワロタ
乙
乙
38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 22:34:06.914 :fzJUjBHq0.net
果汁入りだのクリーム入りだのは邪道
炎髪灼眼の人の言うことが全てに於いての基本
果汁入りだのクリーム入りだのは邪道
炎髪灼眼の人の言うことが全てに於いての基本
39:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 23:02:55.263 :aL/Qm9o60.net
タプリスはサバイバル
次回は日曜日
タプリスはサバイバル
次回は日曜日
40:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/05/05(金) 23:30:38.425 :2LH7v0e30.net
千咲ちゃんももう20回早いものだ乙。
千咲ちゃんももう20回早いものだ乙。