きたい

ロケ地：ウユニ塩湖

ってなんで俺くんが！？

親友「いやー、よかったよかった」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…

ライバル「見事だったぞ」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…

主人公「ありがとう！　主人公とヒロインが改めて決意表明するシーンだから気合入れたよ！」



悪の首領「フハハハ、素晴らしかったぞ！　ワシも年だから涙腺にきたわい！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…

仮面の男「我々悪役サイドも負けていられないな」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…

ヒロイン「敵陣営のみんなもありがとう！」

妄想キモいわ
アニメキャラだぞ？

監督「これより、本日ラストの撮影に入る」

主人公「なんのシーンの撮影ですか？」

監督「アニメOPの撮影だ」

主人公（アニメOP……オープニング映像か。そういやまだ撮ってなかったな）

監督「さっそく撮影を始めるぞ！　各自スタンバイしてくれ！」

主人公「はいっ！」

主人公「アニメOPか……どんなことやるんだろ」

親友「どうせ大したことないだろ」

親友「OPってせいぜい1分30秒程度らしいし、歌を流すからセリフも必要ない」

親友「本編の撮影に比べりゃすぐ終わるって！　楽勝、楽勝！」

主人公「そんなもんか」

ヒロイン「一発オーケーもらって、とっとと帰りましょ！」

主人公「そうだな」

フラグ

流石にスレタイが紛らわしすぎ
>>1の時点でOP撮影じゃねえのかよ

主人公「まず……どういうシーンを撮るんでしょう？」

監督「ん～……そうだな」

監督「走れ」

主人公「は？」

監督「走ってくれ」

主人公「わ、分かりました！」

主人公「こうですか？」ﾀｯﾀｯﾀ…

監督「ダメだダメだ！　全然ダメ！」

主人公「え？　ちゃんと走ってますけど……」ﾀｯﾀｯﾀ…

監督「そんなジョギングみたいなペースで走るOPがあるかよ！　もっと全力で走ってくれないと！」

主人公「は、はいっ！」ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

さぁカメラが下からグイッとパンしてタイトルロゴがドーン！

ほら走ってるよ～.

主人公「うおおおおおおおおっ！」ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

監督「おいおい、そんな歯を食いしばって走るなよ！　画面が暑苦しくなる！」

主人公「じゃあどうすれば……！？」ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

監督「もっとスマイル！　さわやかな笑顔をカメラに振りまいて走ってくれ！」

主人公「こ、こうですか？」ﾆｨｨｨ ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

監督「うん、まあまあかな」

主人公（これメチャクチャきついぞ……！）ﾆｨｨｨ ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

消してええええリライトしてええええのシーン好き

主人公「ところで監督……一つ質問していいですか？」ﾆｨｨｨ ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

監督「なに？」

主人公「なぜ走らなきゃならないんですか？」ﾆｨｨｨ ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

監督「アニメOPには、キャラが走るシーンがつきものだからだよ」

主人公「はぁ……（なんだその理由は……）」ﾆｨｨｨ ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

監督「ほらもっと笑いながら走って！　一番よく撮れたシーンを使うから！」

主人公「は、はいっ！」ﾆｨｨｨ ﾀﾀﾀﾀﾀｯ



ヒロイン「もう10kmは走ってるわ……」

親友「アニメOP撮影ってこんな過酷なのか……」

ライバル「見てるこっちも疲れてくるな」

10キロｗｗｗｗｗ

どうして俺くんが！？

主人公「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ハァ、ハァ、ハァ……」ｵｴｴｯ

ヒロイン「お疲れさま、はいポカリ」

主人公「あ、ありがと……」

監督「コラコラ、休んでる暇なんかないぞ！　今日中にOP撮らなきゃ放映に間に合わないんだから！」

主人公「は、はい……」

親友「次はなんの撮影です？」

監督「主人公と仲間の紹介パートだ」

監督「じゃあメインキャラの主人公、ヒロイン、親友、ライバルで適当にポーズや構え取って」


主人公「よっ！」ﾋﾞｼｯ

ヒロイン「えいっ！」ﾋﾞｼｯ

親友「おりゃ！」ﾋﾞｼｯ

ライバル「……」ﾋﾞｼｯ


監督「ま、こんなところか」

主人公（よかったぁ……また走るはめになったらどうしようかと）

ライバル「あの……監督、よろしいですか？」

監督「ん？」

主人公（ライバルの奴、どうしたんだ？）

ライバル「このOP映像は第一話から使われるんですよね？」

監督「当然だ」

ライバル「私は序盤は主人公の敵で、途中で主人公の仲間になるんですが……」

ライバル「こんなシーンがあると、私が仲間になることがOPで完全にネタバレしちゃいませんか？」

主人公（あ、そういえばそうだ！）

監督「たしかにそうだな」

ライバル「でしょう？」

監督「でも別にいいよ、ネタバレしちゃっても」

ライバル「え」

ライバル「なぜです！？　それだと視聴者の驚きが半減――」

監督「だってアニメ雑誌なんかじゃ、君はもう仲間キャラみたいな扱いされてるし。放映前なのに」

ライバル「なんですって……」

監督「それにネット上でも――」


≪来期放映のこのアニメに出てくるライバルって奴、絶対仲間になるよな≫

≪典型的な“お前を倒すのはオレだ”みたいなタイプなｗｗｗ≫

≪ビジュアル的にもどう見ても仲間キャラだし≫


監督「この通り、バレバレだし」

ライバル「そうですか……」ｼｭﾝ

主人公（なんかちょっと可哀想だな……）

監督「続いて、悪役パートに入る。準備いいか？」


悪の首領「うむ」

仮面の男「はい」

炎幹部「うおおおおっ！」

水幹部「お任せ下さい」

土幹部「……」

風幹部「いつでもオッケー！」


監督「構成としては、まず四幹部を紹介し、悪の首領、最後に因縁の宿敵ポジの仮面の男を登場させる」


悪の首領「お前がトリか。いいなぁ～」

仮面の男「へへへ……どうも」

監督「じゃあまず、四幹部の面々は流れるようにカメラ前に登場しつつ、ドヤ顔してくれ」

監督「“オレたちが敵幹部です”ってのを主張するようにな」


炎幹部「オレが炎幹部だ！」ﾄﾞﾔｯ

水幹部「私は水幹部！」ﾄﾞﾔｯ

土幹部「土幹部……」ﾄﾞﾔｯ

風幹部「オイラは風幹部さ！」ﾄﾞﾔｯ


監督「うーん……」

監督「ちょっとインパクトに欠けるな」

監督「そうだ！　一人ずつそれぞれの属性の技を出しながら登場してくれ！」

監督「そうすれば、ひとりひとりがどんな奴か分かりやすく伝わるしな」


炎幹部「えええ……！？」

水幹部「技出しながら四人が流れるように登場って、かなり危なくないですか？」

土幹部「技が他の者に当たる危険性がある……」

風幹部「やめた方がいいですって！」


監督「うるせえな！　監督命令は絶対なんだ！　とっととやれ！」


四幹部「は、はい……」

これはひどい

炎幹部「うおおおおっ！」ﾎﾞﾜｧｯ

水幹部「でやあああっ！」ｻﾞﾊﾞｧｧｧｧｧ

土幹部「……」ｽﾞｺﾞｺﾞｺﾞ…

風幹部「うりゃあああ！」ｽﾞﾊﾞｯ


監督「いいね～、だいぶ迫力のあるシーンが撮れたよ」

監督「きっと視聴者は“こいつら強そうだな”ってワクワクしてくれるに違いない！」



炎幹部「水かかった！　水かかった！　死ぬ、死ぬ！」

水幹部「あぢいいいっ！　炎がっ、炎がっ！」

土幹部「風で体が切れた……」

風幹部「地割れに落ちるぅぅぅぅぅ！」

水かかっただけで死ぬなよｗｗｗ

監督「じゃあ、次はラスボスの悪の首領」

悪の首領「うむ」

監督「マントをバサッてやって、高笑いして」

悪の首領「フハハハハハハハ……！」ﾊﾞｻｯ

監督「はいオッケー、撮影終了」

悪の首領「は？」

悪の首領「ちょ、ちょっと待ってくれ。もう終わりなの、ワシの出番」

監督「うん」

悪の首領「一瞬じゃん！」

監督「そりゃそうだよ」

悪の首領「だってワシ、ラスボスよ！？　90秒のうち10秒くらい登場シーンあってもよくね！？」

監督「アニメOPでのラスボスや黒幕の出番なんてそんなもんだよ。出ないことだって多い」

監督「一瞬でも出番があるだけマシだと思えや」

悪の首領「そんなぁ……」ｶﾞｸｯ

監督「いよいよサビのシーンに入る」

監督「サビの盛り上がりに同調するように、主人公と宿敵である仮面の男に一騎打ちしてもらう」

主人公「はいっ！」

仮面の男「はい」

主人公「じゃ、戦おうぜ、兄さん」

仮面の男「おいおい、私の正体が明かされるのは終盤だっての……」



どっ！！！　ﾌﾌﾌ…　ｱﾊﾊﾊ…

ワロタ

ていうかこいつら撮影のとき自分で技出してんのか

主人公「てりゃっ！」ﾄﾞｶｯ

仮面の男「とりゃあっ！」ﾊﾞｷｯ

主人公「おりゃ！」ﾌﾞｵﾝｯ

仮面の男「だりゃ！」ｽﾞﾊﾞｯ


監督「ダメ！　全然なってない！！！」


主人公「え！？」

主人公「ダメですか？　普段通り戦ってますけど」

監督「“普段通り”じゃダメなんだよ」

監督「アニメOPにおける戦闘シーンってのは、本編よりヌルヌル動くもんなんだ」

監督「だからもっと激しく、マジで殺し合う感じでやってくんないと」

主人公「本編よりも！？」

仮面の男「それって一種の詐欺じゃないですか？」

監督「いいんだよ、詐欺で。アニメOPがカクカクでいきなり視聴を切られたらたまんないし」

監督「それに、OPだけでもヌルヌルなら少なくとも『このアニメOPだけはよかったな』っていってもらえる」

主人公（志低すぎィ！）

主人公「じゃ……いくぞ、兄さん！」

仮面の男「来い、弟！」

バキッ！　ドカッ！　ズガッ！　ガッ！　ドゴッ！


監督「もっと激しく！　もっとヌルヌル！　相手を殺すつもりでやれ！　いや殺してしまえ！！！」


主人公「死ねや、このクソ兄貴ィィィィィ！！！」

仮面の男「ブチ殺してやる、クソ弟ォォォォォ！！！」

ドゴッ！　ズギャッ！　メキャッ！　ボゴッ！　グシャッ！


監督「いいね、いいねー！　こりゃおもしれぇや！！！」

監督…

全裸主人公はよ

主人公「し、死ぬ……」ﾋﾟｸﾋﾟｸ…

仮面の男「げほっ、げほっ……」ﾋﾟｸﾋﾟｸ…



監督「じゃあヒロインのソロシーンを撮ろうか」

ヒロイン「はいっ！」

監督「じゃあ脱いで」

ヒロイン「へ？」

監督「アニメOPには、ヒロインの裸がつきものなんだよ！　とっとと脱げ！」

ヒロイン「ううう……まるでAV堕ちした気分だわ」ﾇｷﾞﾇｷﾞ…

監督「大丈夫、ちゃんと局部は見えないようにCGで処理するから」

ヒロイン「脱ぎました！」ｽｯﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

監督「じゃあ泣いて」

ヒロイン「へ？」

監督「アニメOPには、ヒロインの涙がつきものなんだよ！」

ヒロイン「いきなり泣けっていわれても……」

監督「じゃあ玉ねぎを大量に切って、泣いてもらおう」ｻﾞｸｻﾞｸｻﾞｸ

ヒロイン「ぐえ"っ！！！」

やるじゃん

ヒロイン「目が痛い……しみる……最悪……」ｼｸｼｸ…


監督「お～、グッドグッド」

監督「“自身に課せられた過酷な運命に必死に抗おうとするが、堪え切れず涙を流してるヒロイン”っぽさが出てる」


ヒロイン（たしかに過酷だわ……）ｼｸｼｸ…

監督「最後に主人公と脇役含む仲間キャラの全員集合シーンを撮って……」

監督「撮影終了だ！！！」


主人公「や、やっと終わった……」ﾎﾞﾛｯ…

ヒロイン「疲れたぁ～……」ﾎﾞﾛｯ…

親友「たった1分30秒のOPなのに、半日ぐらいかかったな」ﾎﾞﾛｯ…

ライバル「本編の撮影よりよっぽどキツかった……」ﾎﾞﾛｯ…





監督（じゃ、出来上がった映像を確認してみるか）

監督「うーん……」

主人公「じゃあ、帰ろ――」

監督「いや、ちょっと待った！」

主人公「はい？」

監督「今、完成版のOP見たんだけど、やっぱりちょっと演出がベタすぎる気がするんだよな」

主人公「へ？」

監督「アニメOPといったら、看板みたいなもんだし」

監督「今は視聴者の目も肥えてるからもっと斬新にしないといけないと思うんだよ」

主人公「……それで？」

監督「ってわけで、全部撮り直し！」

主人公「……」

おい

主人公「斬新なOPですか……。オレも監督の意見に賛成です」

ヒロイン「だったらいいアイディアがあるわよ」

監督「ほう、どんなの？」

親友「どうやらみんな、同じ気持ちみたいだな」

ライバル「ああ、半日が一瞬でパーになっちゃったんだから当然だろう」

監督「……え？　どういうこと？」

悪の首領「斬新なOP……作ってやろうではないか」

仮面の男「善も悪もない。登場人物みんなの力を合わせよう」

主人公「じゃ、始めようか」ﾊﾟｷﾎﾟｷ…



――――

――

視聴者A「昨日始まったアニメ見たか？」

視聴者B「ああ、見た見た」

視聴者A「熱血主人公と不思議な力を持つヒロインが悪の首領に立ち向かうっていう今時珍しいベタアニメだよな」

視聴者B「だけど、OPだけはやたら斬新だよな」

視聴者A「たしかに……」

視聴者A「1分30秒かけてアニメの登場キャラに監督がボコボコにされるOPなんて初めて見た」






―　おわり　―

乙　良かった

エヴァのopは一瞬でいいな

乙
オチがなんか懐かしいノリだ

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