コナン「こんにちは～」

金田一「よっ」

俺（なんでコナンと金田一が俺の家に！？）

俺（こんな危険な奴らを部屋に入れてたまるか！　殺人事件が起こる！　ドア閉めなきゃ！）

俺「出てけ！」ｻｯ

これは期待せざるをえない

金田一「おっと、そうはいかないぜ」ｻｯ

俺「！？」

俺（こいつら、ドアに靴挟みやがった！）ｸﾞｸﾞｯ…

コナン「悪いけど、家に入れてもらうよ」

俺「ふざけんな！　帰れ、帰れぇっ！　俺は忙しいんだよ！」

コナン「あれれ～？　そのわりに目に涙が浮かんでるけど」

金田一「ああ……あれはあくびによる涙だ。目ヤニもついてるし、忙しかったとはとても思えない！」

俺「ぐっ！」

俺「か、家族がいるんだよ！」

コナン「だけど、玄関には靴が二足しかないよ？」

コナン「多分、ちょっとしたお出かけ用の靴とちゃんとした外出用の靴なんだろうけど」

コナン「どっちもサイズが同じだもん」

俺「う！？」

金田一「それに干してある洗濯物からしても、あんたはどう見ても一人暮らしだ！」

俺「ち、ちくしょう！」

これはひどい

俺「そ、そうだ……友達だ！　靴のサイズが同じ友達が来てるんだよ！　だから帰ってくれ！」

金田一「残念だったな」

金田一「あんたのスマホ、一件も友達の登録ないぜ？」ｻｯ

！？

俺「あ、俺のスマホ！　いつの間に！」

金田一「俺はスリが得意なんでね」

俺「く、くそっ……俺の完敗だ……！」

スリのくだりはひどいな

期待

死神が来た理由wktk

コナン「お邪魔しまーす！」

金田一「邪魔するぜ」

俺「ううう……どうしてこうなった」

コナン「ずいぶん狭いアパートだね」ｷｮﾛｷｮﾛ

金田一「もっとマシな物件はなかったのかよ」

コナン「フリーターっぽいし、ここが限界でしょ」

金田一「だな。多分、バイト先でも大して役に立ってないだろ」

俺「ほっとけ！」

ネタバレすると犯人は俺

俺「なにもないけど、くつろいでくれ」

コナン「ねえ、せっかく来たんだからお茶ぐらい出してよ」

金田一「気がきかない奴だな」

俺「すぐ入れます」ｻｻｯ

コナン「テレビでも見ようか」

金田一「液晶のあちこちに線が……ハードオフあたりで買った安物だな、こりゃ」

俺（なんて厚かましい奴らだ……！）

コナン「あれれ～？　おかしいぞ～？　このゴミ箱丸まったティッシュでいっぱいだ！」

金田一「どれもイカ臭いな」ｸﾝｸﾝ

俺「！？」ﾋﾞｸｯ

コナン「燃えるゴミの日は三日前……そして、このティッシュの量から察すると……」

金田一「一日当たり、五回は……」

俺「やめろぉぉぉぉぉ！　推理すんじゃねええええ！」

金田一「うわっ、パソコンの中、小さい女の子の画像だらけじゃん」ｶﾀｶﾀ

コナン「うわぁ～、しかも二次元ばっかり」

俺「ちょっ、勝手にパソコン見るんじゃねえよ！」

金田一「起動パスワードを誕生日なんかにしてるあんたが悪いんだろ」ｶﾀｶﾀ

コナン「お兄さん、典型的なロリコンだね」

金田一「あんた、いつきさんと趣味合うんじゃねーか？」

金田一「もっとも、いつきさんと違って彼女いたことねーだろうけど」

俺（その通りだよ！）

俺「おのれぇ～……コナンと金田一め……！　人のプライバシーにずかずかと……！」

俺「なんとか復讐してやれないものか……」

俺（そうだ！　奴らに出すジュースとコーヒーに鼻クソを入れてやろう！）

俺「うひひひ……」ﾎｼﾞﾎｼﾞ…

ﾎﾟﾁｬﾝ…

俺（きっと奴らは何も気づかず、これを飲み干すことだろう……）

俺（これぞ究極の完全犯罪！）

面白い

俺「どうぞ、ジュースとコーヒーです」ｽｯ

コナン「……」

金田一「……」

コナン「これさ……」

金田一「ああ、鼻クソ入ってるだろ」

俺「なぜバレた！？」

はえーよ

流石に登場人物がこいつらだけなら事件は起こらないだろう（希望的観測）

コナン「だって……鼻血出てるもん」

！？

俺「あ……」ﾀﾗ…

金田一「それに右手の人差し指の爪に、鼻クソのカスがついてるぜ！」

俺「あああ……」

俺（謎は全て……解かれた！）

金田一の犯人目線の漫画が面白いらしいね

金田一「ところであんた、漫画はよく読むのか？」

俺「読むよ（主にジャンプだけど）」

コナン「じゃあ当然、ぼくらの漫画も読んでくれてるよね？」

俺「もちろん」

コナン「ならさ、『名探偵コナン』と『金田一少年の事件簿』のそれぞれで」

コナン「一番好きなエピソードを教えてよ！」

俺「うーん、そうだなぁ……」

俺「コナンだと……ピアノソナタ月光のやつ。ほら、成実先生の」

俺「金田一だと……金田一少年の殺人かなぁ。スリリングだし」

金田一「おいおい、ちょっと　ベ　タ　すぎやしないか？」

コナン「うん……いかにもニワカって感じ！」

俺「悪かったな！　ベタでニワカで！」

俺（まあ、ぶっちゃけ金田一は最初のシリーズまでしか読んでないし）

俺（コナンも50巻ぐらいまでしか追いかけてないから、ニワカには違いない）

俺（今のガンダムモデルのキャラとか全然知らんし……）

金田一「んじゃ、しばらく厄介になるぜ」

俺「へ！？　なんで！？」

コナン「理由なんか聞いてねーで、早く夕食を出してくれよ」

俺「わ、分かりました」

俺「つっても、カップメンしかないけど……」

金田一「シケてんなー」

コナン「バーロー、こんな食生活じゃ不健康になっちまうぜ」

俺（コナンもだんだんと、本性を出してきやがって……）

俺（このままじゃ、俺の部屋で殺人事件が起きてしまう！）

バーローｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

俺「いい加減にしろ！　とっとと出ていけ！」

俺「出ていかないんなら……警察呼ぶぞ！」

金田一「想定通りの行動だな」

コナン「通報したけりゃやってみろよ」

俺「……！」

俺「後悔するなよ！」ﾋﾟｯﾎﾟｯﾊﾟｯ

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ…

電話『はい、110番です』

俺「あのー、俺のアパートにコナンと金田一が……！」

電話『警察は彼らの行動に関して一切文句をいえません』

俺「は！？」

ﾌﾟﾂｯ…　ﾂｰﾂｰ…

コナン「な？」

金田一「無駄だっただろ？」

俺「この国の警察は腐ってやがる！」

金田一「俺たちを追い出そうとしても無駄だってことが分かっただろ？」

コナン「オメーはもう詰んでんだ……」

俺「分かりました……」





俺（こうして奇妙な共同生活が始まった……）

もう既にこいつらが犯人みたいな扱い受けてるな

金田一「おい！」

金田一「お前がトイレから出た時、便座が下がったままだった！　まさかお前女か！？」

俺「クソしてたんだよ！」



コナン「ハンガーちゃんと片付けろよ！」ﾎﾟｲｯﾎﾟｲｯ

俺「痛い！　痛い！」

俺「やめろ、ハンガー投げるな！　あぶねえだろ！」

ハンガーブロス

一週間後……

金田一「今日は探偵同士、情報交換でもしないか？」

コナン「そりゃいいな！」

金田一「じゃあまずは毒物について話し合うか。青酸カリについて話そう」

コナン「青酸カリならちゃんと持ってきてあるぜ」ｻｯ

金田一「さすがコナン！」

金田一「とりあえず、そこらへんに青酸カリを塗りつけよう」ﾇﾘﾇﾘ…

コナン「どっちがより多く塗れるか競争だ！」ﾇﾘﾇﾘ…



俺（人んちで何やってんだ、こいつら……！）

俺（待てよ……）

俺（こいつらまさか……俺を殺す気じゃ！？）

俺（でも、動機はなんだ……！？）


金田一『おいおい、ちょっと　ベ　タ　すぎやしないか？』

コナン『うん……いかにもニワカって感じ！』


俺（そうか……コナンと金田一のニワカ読者である俺を抹殺する気だな！）


ヤラレルマエニヤラネバ・・・


俺（やられる前にやってやる！）

俺（どうせ、こいつらは大勢の人間の死に関わってる死神……殺したってかまやしねえ！）

オイオイオイ

死ぬわアイツ

俺「こっち向け！　コナン、金田一！」

コナン「！」

金田一「！」

俺「てめえら、二人ともブッ殺してやる！　この包丁でなァ！！！」ｷﾞﾗｯ

コナン「オメー、やっぱり犯罪者予備軍だったのか」

金田一「やっと正体をあらわしたな……怪人“地獄のロリコン”！」

俺（嫌な怪人名だな！）

俺「そうさ、俺は“地獄のロリコン”さ！」

俺「全ての幼女に代わって、殺人事件を巻き起こすお前らを成敗しにきたんだ！」


コナン「バーロー……そう簡単に行くと思うなよ？」

金田一「お前は必ず捕まえてみせる……ジッチャンの名にかけて！」


俺「ふん……」

俺（コナンはしょせん小学生！　シューズもはいてないし、麻酔針に気をつければいい！）

俺（金田一は頭脳やスリ能力はともかく、戦闘力自体は大したことない！）

俺（――勝てる！！！）

俺「死ねえええええええええっ！！！」

コナン「蘭姉ちゃん！」

金田一「オッサン！」


俺「え！？」


蘭「コナン君は私が守るわ！」ﾊﾞｯ

剣持「殺人未遂の現行犯で逮捕する！」ﾊﾞｯ


俺「お前らどっから出てきた！？」

剣持「ゆくぞ、毛利君！　コンビネーションだ！」

蘭「はい！」

剣持「俺が背負い投げして――」ｸﾞｲｯ

俺「うわわっ！」

蘭「投げられてる最中の犯人に、私が上段蹴り！　セヤァッ！」

俺「やめっ――」


バキィッ！！！


俺「ぐはぁぁぁぁぁっ……！」ﾄﾞｻｯ…

オーバーキルすぎる…

俺「……」ﾋﾟｸﾋﾟｸ…


コナン「やったな、金田一！」

金田一「ああ！」


俺（あーあ、前歯が全部折れちゃった……）

俺（やはり、ロリコンは名探偵には勝てない運命なのか……）

俺「殺せ……」

俺「いっそ殺してくれ……」

はよ

剣持「さぁ、署まで来い！」

俺「ううう……」ｽﾞﾙｽﾞﾙ…



服部「あいつ……死なせてやった方がよかったんやろか？」

コナン「バーロー、犯人を推理で追い詰めてみすみす自殺させちまうような探偵は……」

コナン「殺人者と変わんねーよ……」

金田一「耳が痛いぜ……」

コナン「いや、俺も一人……」

金田一「コナン……」

蘭「何してんの、みんな！　早く帰るわよ！」

美雪「そうよ、はじめちゃん！」

三人「はーい！」

こうして“地獄のロリコン”こと、“俺”は逮捕された。

今は刑務所に服役中だ。

逮捕された当初はコナンと金田一を恨んだこともあったが、今では感謝している。

だって、あの二人に止めてもらわなかったら、もっと大きな罪を犯していたかもしれないのだから……。


ありがとう、名探偵――







―　完　―

乙
塗りまくられた青酸カリで死人が出ないことを祈る