1:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:20:30 :BA8s88hk
注
・男性の登場人物がいます(セリフなし、名前もありませんが、梨子たちに関わりはします)
・スクスタ時空のため、同い年ですが、2人は初対面という設定です
注
・男性の登場人物がいます(セリフなし、名前もありませんが、梨子たちに関わりはします)
・スクスタ時空のため、同い年ですが、2人は初対面という設定です
2:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:21:56 :BA8s88hk
梨子「会場はここね…」
今日は学校も、スクールアイドル部もお休み。
同じステージに立つピアニストが、どんな人なのか。
それを知るために沼津からここ、東京に、
私はもう一度やってきた。
夏の、ラブライブ予備予選の裏で開催されたコンクールで、
私は千歌ちゃん達と見つけ出したあの曲を演奏した。
その演奏が都の音楽団体の目に留まり、
今度開かれる『高校生によるピアノ演奏会』の
演奏者のひとりとして招かれることになった。
あと、もう15分程で開演になる。
すこし道に迷ったけど、間に合いそう。
東京都出身の、私と同じ2年生の彼は、両親共にピアニスト。
好きでやっていた私と、全く違う境遇の人。
梨子「会場はここね…」
今日は学校も、スクールアイドル部もお休み。
同じステージに立つピアニストが、どんな人なのか。
それを知るために沼津からここ、東京に、
私はもう一度やってきた。
夏の、ラブライブ予備予選の裏で開催されたコンクールで、
私は千歌ちゃん達と見つけ出したあの曲を演奏した。
その演奏が都の音楽団体の目に留まり、
今度開かれる『高校生によるピアノ演奏会』の
演奏者のひとりとして招かれることになった。
あと、もう15分程で開演になる。
すこし道に迷ったけど、間に合いそう。
東京都出身の、私と同じ2年生の彼は、両親共にピアニスト。
好きでやっていた私と、全く違う境遇の人。
3:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:22:26 :BA8s88hk
今日はその両親のコンサートに、子息である彼も出演するのだ。
そんな彼の血統書付きの演奏を聴くことが、ちょっとだけ怖い。
受付から客席に向かうと、中は彼らの演奏を聴きにきた人でいっぱいで、チケットの番号を見なくても自分の席が分かった。
隣は…私と同じくらいの年の女の子。
おじさんや幼い子供じゃないことに内心、ほっとして着座する。
綺麗な髪を、くるっと頭の上で留めているその子は、
少し、退屈そうに見えた。
梨子(どうしたのかな… )
普段ならパンフレットを読んで、演奏を待つところが、
彼の演奏が怖いからか、隣の不思議な子が気になったからか、
私の視線はその子の方に向いていた。
今日はその両親のコンサートに、子息である彼も出演するのだ。
そんな彼の血統書付きの演奏を聴くことが、ちょっとだけ怖い。
受付から客席に向かうと、中は彼らの演奏を聴きにきた人でいっぱいで、チケットの番号を見なくても自分の席が分かった。
隣は…私と同じくらいの年の女の子。
おじさんや幼い子供じゃないことに内心、ほっとして着座する。
綺麗な髪を、くるっと頭の上で留めているその子は、
少し、退屈そうに見えた。
梨子(どうしたのかな… )
普段ならパンフレットを読んで、演奏を待つところが、
彼の演奏が怖いからか、隣の不思議な子が気になったからか、
私の視線はその子の方に向いていた。
4:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:23:05 :BA8s88hk
ことり(はぁ~あ、つまんないなぁ…)
今日は、お母さんの付き添いでピアノを聴きに来てるの。
穂乃果ちゃんと海未ちゃん今頃、楽しいんだろうなぁ…
ことり(こんなに人がいっぱいのコンサートなのに、隣はずっと空いてる…来れなくなっちゃったのかな…)
そう思ってると、赤い髪の女の子がこっちの方に早足で向かって来た。
ことり(真姫ちゃん…? じゃないよね…このあたりでは見ない感じの子…)
ことり(でも、なんだろう…… あの子を見てると、穂乃果ちゃん達に会いたくなるような…)
やっぱり、帰っちゃだめかな…………
ことり(はぁ~あ、つまんないなぁ…)
今日は、お母さんの付き添いでピアノを聴きに来てるの。
穂乃果ちゃんと海未ちゃん今頃、楽しいんだろうなぁ…
ことり(こんなに人がいっぱいのコンサートなのに、隣はずっと空いてる…来れなくなっちゃったのかな…)
そう思ってると、赤い髪の女の子がこっちの方に早足で向かって来た。
ことり(真姫ちゃん…? じゃないよね…このあたりでは見ない感じの子…)
ことり(でも、なんだろう…… あの子を見てると、穂乃果ちゃん達に会いたくなるような…)
やっぱり、帰っちゃだめかな…………
5:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:24:26 :BA8s88hk
『ねぇ、お母さん、ことり、帰っちゃだめ…?』
『ダメよ、たまにはこういう音楽も良いものなのよ?』
『それに、穂乃果ちゃんの宿題は「私が見ます」って海未ちゃんが言ってたじゃない。』
『むぅ…私も行きたかったのに…』
梨子(本当に聴きたくて来てる訳じゃないんだ…)
『ほら、もう少しで始まるわよ』
『はぁ~い…』
親に逆らえず、退屈そうな彼女は、ささやかな抵抗か、母親から顔を背ける。私は咄嗟に目を反らそうとしたが、間に合わない。
ばつが悪そうな表情のまま私を見つめる隣の子に、その子の金色の瞳に、釘付けになってしまった。
梨子(…!)
盗み聞きしている事がバレたかもしれない…!
でも、ごまかし様はないし…
梨子「コ、コンサート、楽しみですね」
ぎこちなく、自然な言葉になるように努めて、話しかける。
『……………。』
『ねぇ、お母さん、ことり、帰っちゃだめ…?』
『ダメよ、たまにはこういう音楽も良いものなのよ?』
『それに、穂乃果ちゃんの宿題は「私が見ます」って海未ちゃんが言ってたじゃない。』
『むぅ…私も行きたかったのに…』
梨子(本当に聴きたくて来てる訳じゃないんだ…)
『ほら、もう少しで始まるわよ』
『はぁ~い…』
親に逆らえず、退屈そうな彼女は、ささやかな抵抗か、母親から顔を背ける。私は咄嗟に目を反らそうとしたが、間に合わない。
ばつが悪そうな表情のまま私を見つめる隣の子に、その子の金色の瞳に、釘付けになってしまった。
梨子(…!)
盗み聞きしている事がバレたかもしれない…!
でも、ごまかし様はないし…
梨子「コ、コンサート、楽しみですね」
ぎこちなく、自然な言葉になるように努めて、話しかける。
『……………。』
6:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:25:35 :BA8s88hk
焦る私を見る彼女は、さっきよりも断然面白そうで。
梨子「えっ、……あっ、その……」
『……ふふっ♪』ニコッ
梨子「……すみませんっ///」
『……………♪』ジーッ
梨子(なにやってるんだろう私…! )
楽しそうに微笑む目の前の女の子。
彼女に遊ばれているうちに、演奏に対する怖い気持ちはいつの間にか無くなっていた。
初対面なのに、こんなに気持ちが落ち着くなんて……
もしかして、小さい頃に私と会ったことがあるのかな……
ブーーーーーーー
梨子「もう、始まりますね」
『そうですね♪』
お決まりのアナウンスの後、幕が上がり、壇上のピアニストは一礼する。
今日のコンサートのトップバッターは、例の彼のようだ。隣を気にしつつも、私は彼の演奏を聴き入ることにした。
焦る私を見る彼女は、さっきよりも断然面白そうで。
梨子「えっ、……あっ、その……」
『……ふふっ♪』ニコッ
梨子「……すみませんっ///」
『……………♪』ジーッ
梨子(なにやってるんだろう私…! )
楽しそうに微笑む目の前の女の子。
彼女に遊ばれているうちに、演奏に対する怖い気持ちはいつの間にか無くなっていた。
初対面なのに、こんなに気持ちが落ち着くなんて……
もしかして、小さい頃に私と会ったことがあるのかな……
ブーーーーーーー
梨子「もう、始まりますね」
『そうですね♪』
お決まりのアナウンスの後、幕が上がり、壇上のピアニストは一礼する。
今日のコンサートのトップバッターは、例の彼のようだ。隣を気にしつつも、私は彼の演奏を聴き入ることにした。
7:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:26:17 :BA8s88hk
お母さんはすっかり演奏に夢中……。
確かに演奏は綺麗だけど、真姫ちゃんほど詳しくないから楽しめないし…
ことりにとっては、特に興味のない演奏。
このまま聴いていると、眠くなりそう…
そうだ♪ 隣の面白い子を見てみようっと。
右に目をやると、さっきまでのあたふたしていた時と違って、真剣に、落ち着いた顔で演奏を聴いていた。まるで、別人みたい…
ことり(目が、きらきらしてる…きっと音楽が好きなんだ)
ことり(どうしてかな…あの子のことが気になっちゃう)
何曲かの演奏が終わり、休憩時間に。
ことり「音楽、好きなんですか?」
『えぇ、はい…』
ことり(…? ちょっと、悲しそう…?)
ことり「…どうか、しましたか…?」
『ううん、なんでもないんです…』
ことり「そう…ですかぁ」
お母さんはすっかり演奏に夢中……。
確かに演奏は綺麗だけど、真姫ちゃんほど詳しくないから楽しめないし…
ことりにとっては、特に興味のない演奏。
このまま聴いていると、眠くなりそう…
そうだ♪ 隣の面白い子を見てみようっと。
右に目をやると、さっきまでのあたふたしていた時と違って、真剣に、落ち着いた顔で演奏を聴いていた。まるで、別人みたい…
ことり(目が、きらきらしてる…きっと音楽が好きなんだ)
ことり(どうしてかな…あの子のことが気になっちゃう)
何曲かの演奏が終わり、休憩時間に。
ことり「音楽、好きなんですか?」
『えぇ、はい…』
ことり(…? ちょっと、悲しそう…?)
ことり「…どうか、しましたか…?」
『ううん、なんでもないんです…』
ことり「そう…ですかぁ」
8:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:27:01 :BA8s88hk
ことり(なんでもないはず、ないと思うけど… )
『実は…私もピアノを弾くんです』
ことり「そうなんですね♪ 部活動とかですか?」
『はい、趣味でもあるんですけどね』
『今度、さっきの男の子と同じコンサートに出ることになったんです。それで、どんな演奏をする人なのか、聴きにきていて…』
ことり「聴いてみて、どうでした…?」
『私よりも、上手…でした』
ことり(だから、悲しそうだったんだ…)
ことり「私、南ことり。高校2年生。あなたは?」
『桜内…梨子です。 同じ学年、だね』
ことり「よろしくね、梨子ちゃん♪」
梨子「うん、こちらこそ、ことりちゃん」
ことり(梨子ちゃんを見てると、力を貸してあげたくなる…ことりにはピアノは分からない…けど…)
ことり「梨子ちゃんのピアノも、聴いてみたいなぁ」
ことり(なんでもないはず、ないと思うけど… )
『実は…私もピアノを弾くんです』
ことり「そうなんですね♪ 部活動とかですか?」
『はい、趣味でもあるんですけどね』
『今度、さっきの男の子と同じコンサートに出ることになったんです。それで、どんな演奏をする人なのか、聴きにきていて…』
ことり「聴いてみて、どうでした…?」
『私よりも、上手…でした』
ことり(だから、悲しそうだったんだ…)
ことり「私、南ことり。高校2年生。あなたは?」
『桜内…梨子です。 同じ学年、だね』
ことり「よろしくね、梨子ちゃん♪」
梨子「うん、こちらこそ、ことりちゃん」
ことり(梨子ちゃんを見てると、力を貸してあげたくなる…ことりにはピアノは分からない…けど…)
ことり「梨子ちゃんのピアノも、聴いてみたいなぁ」
9:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:27:35 :BA8s88hk
梨子「私のなんて… さっきの子に比べれば、全然……」
ことり「でも、おんなじステージに立つんだよね?」
梨子「うん…」
ことり「それなら、自信持って良いと思うよ♪同じくらい、すごいってことだもん」
梨子「ありがとう、ことりちゃん…」
ブザーの後、またピアノの演奏が始まった。
曲目がすべて終わり、拍手喝采の中、3人の演奏者が一礼する。
ことり(梨子ちゃん、また落ち込んでないかなぁ…)
休憩前よりは、暗くはなかったけど…不安そうな表情で湿った拍手を送っていた…。
『ことり、お母さんちょっと他の学校の理事長さん見つけたから、挨拶してくるわね。ロビーで待ってるのよ』
ことり「あ、うん」
ことり「梨子ちゃん、ロビーでことりとお話、しない?」
梨子「えっ…うん、いいよ」
梨子「私のなんて… さっきの子に比べれば、全然……」
ことり「でも、おんなじステージに立つんだよね?」
梨子「うん…」
ことり「それなら、自信持って良いと思うよ♪同じくらい、すごいってことだもん」
梨子「ありがとう、ことりちゃん…」
ブザーの後、またピアノの演奏が始まった。
曲目がすべて終わり、拍手喝采の中、3人の演奏者が一礼する。
ことり(梨子ちゃん、また落ち込んでないかなぁ…)
休憩前よりは、暗くはなかったけど…不安そうな表情で湿った拍手を送っていた…。
『ことり、お母さんちょっと他の学校の理事長さん見つけたから、挨拶してくるわね。ロビーで待ってるのよ』
ことり「あ、うん」
ことり「梨子ちゃん、ロビーでことりとお話、しない?」
梨子「えっ…うん、いいよ」
10:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:28:19 :BA8s88hk
もうピアノは鳴ってないのに。
梨子ちゃんの意識はまだステージの上に行ってたみたい…。
ことり「座ろう?あそこ、空いてるよ」
梨子「うん…」
また隣同士で座ったことりと梨子ちゃんだけど、
言葉が、うまく出てこない…
こんなに助けたいのに、どうして…?
自分の気持ちも整理がつかなくなっちゃって、ことりまでちょっと暗くなっちゃった…
梨子「それで、お話って…?」
ことり「えっ、と…その…」
精一杯目を泳がせても、答えは見つからなくて。
梨子「…………?」
ことり「梨子ちゃん、元気にならないかなって…」
ことり「励まそうと…したんだけどぉ……」
梨子「…!」
もうピアノは鳴ってないのに。
梨子ちゃんの意識はまだステージの上に行ってたみたい…。
ことり「座ろう?あそこ、空いてるよ」
梨子「うん…」
また隣同士で座ったことりと梨子ちゃんだけど、
言葉が、うまく出てこない…
こんなに助けたいのに、どうして…?
自分の気持ちも整理がつかなくなっちゃって、ことりまでちょっと暗くなっちゃった…
梨子「それで、お話って…?」
ことり「えっ、と…その…」
精一杯目を泳がせても、答えは見つからなくて。
梨子「…………?」
ことり「梨子ちゃん、元気にならないかなって…」
ことり「励まそうと…したんだけどぉ……」
梨子「…!」
11:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:30:15 :BA8s88hk
梨子「………………♪」ジーッ
ことり(えっ…!)
梨子「……ふふっ♪ありがと」
ことり「あっ……もぉ~…」
梨子「ごめんなさいね、私の都合で…、今日初めて会ったことりちゃんにまで心配かけて……」
ことり「ううん、いいの」
ことり「梨子ちゃん、元気、出た…?」
梨子「うんっ 今は、私も頑張らなきゃ って気持ちだよ」
ことり「よかったぁ~~」
ことり「ごめんね、ことり、なんだか梨子ちゃんのこと放っておけなくって…」
梨子「もう謝らないで……嬉しかったよ」
梨子「…そうだ、ねぇ、ことりちゃん」
ことり「なぁに?」
梨子「私達、小さい頃に会ってたり、してないかな…どこかで…」
梨子「………………♪」ジーッ
ことり(えっ…!)
梨子「……ふふっ♪ありがと」
ことり「あっ……もぉ~…」
梨子「ごめんなさいね、私の都合で…、今日初めて会ったことりちゃんにまで心配かけて……」
ことり「ううん、いいの」
ことり「梨子ちゃん、元気、出た…?」
梨子「うんっ 今は、私も頑張らなきゃ って気持ちだよ」
ことり「よかったぁ~~」
ことり「ごめんね、ことり、なんだか梨子ちゃんのこと放っておけなくって…」
梨子「もう謝らないで……嬉しかったよ」
梨子「…そうだ、ねぇ、ことりちゃん」
ことり「なぁに?」
梨子「私達、小さい頃に会ってたり、してないかな…どこかで…」
12:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:30:55 :BA8s88hk
ことり「…うーん…、ことりは、覚えてないなぁ…」
ことり「でも、梨子ちゃんは他人の気がしないの」
梨子「なにそれ?」クスッ
ことり「あー!笑った~! むぅ~」
梨子「ふふっ、なんだかおかしいね」
ことり「そうだね♪」
ことりが梨子ちゃんに元気づけられちゃった。
梨子ちゃんには笑われちゃったけど、
他人の気がしないのは本当。
梨子ちゃんも、そんな気がしてたのかな♪
ことり(梨子ちゃん…?)
梨子ちゃんの視線の先には…さっきの高校生ピアニストが。
梨子ちゃんを見つけて、手を振って、手招きしてる…
ことり「あの人、今度一緒に演奏する人だよね…?」
ことり「…うーん…、ことりは、覚えてないなぁ…」
ことり「でも、梨子ちゃんは他人の気がしないの」
梨子「なにそれ?」クスッ
ことり「あー!笑った~! むぅ~」
梨子「ふふっ、なんだかおかしいね」
ことり「そうだね♪」
ことりが梨子ちゃんに元気づけられちゃった。
梨子ちゃんには笑われちゃったけど、
他人の気がしないのは本当。
梨子ちゃんも、そんな気がしてたのかな♪
ことり(梨子ちゃん…?)
梨子ちゃんの視線の先には…さっきの高校生ピアニストが。
梨子ちゃんを見つけて、手を振って、手招きしてる…
ことり「あの人、今度一緒に演奏する人だよね…?」
13:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:31:34 :BA8s88hk
梨子「う、うん、呼ばれてるみたい。ちょっとごめんね」
ことり「うんっ」
彼の方へ小走りで向かっていく梨子ちゃん。
ことり(どんなことお話ししてるんだろう…大丈夫かな…)
少し緊張した様子だった梨子ちゃんは、ぺこぺこしながらもその人と話していて、時には笑顔になったり、驚いたような顔もしてた……謙遜してる様にも見えた。
ことり(きっと、今度の演奏会についてかな…)
彼がバイバイ、と手を小さく振ると、梨子ちゃんはまたぺこりとお辞儀して、こっちに戻ってきた。
梨子「おまたせ」
ことり「演奏会、うまくいきそう?」
梨子「うんっ! 思ってたより怖い人じゃなかったし、実は私の演奏も聴いたことがあるって……お互いに自信無くしてたみたい」
さっきよりも、断然明るい表情で話す梨子ちゃん。
ことり「そうだったんだ!良かったね 梨子ちゃん♪」
『ことり、ここに居たのね!』
ことり「あっ、お母さん」
梨子「う、うん、呼ばれてるみたい。ちょっとごめんね」
ことり「うんっ」
彼の方へ小走りで向かっていく梨子ちゃん。
ことり(どんなことお話ししてるんだろう…大丈夫かな…)
少し緊張した様子だった梨子ちゃんは、ぺこぺこしながらもその人と話していて、時には笑顔になったり、驚いたような顔もしてた……謙遜してる様にも見えた。
ことり(きっと、今度の演奏会についてかな…)
彼がバイバイ、と手を小さく振ると、梨子ちゃんはまたぺこりとお辞儀して、こっちに戻ってきた。
梨子「おまたせ」
ことり「演奏会、うまくいきそう?」
梨子「うんっ! 思ってたより怖い人じゃなかったし、実は私の演奏も聴いたことがあるって……お互いに自信無くしてたみたい」
さっきよりも、断然明るい表情で話す梨子ちゃん。
ことり「そうだったんだ!良かったね 梨子ちゃん♪」
『ことり、ここに居たのね!』
ことり「あっ、お母さん」
14:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:32:13 :BA8s88hk
『その子、お友達?』
ことり「うん、梨子ちゃんっていうの」
梨子「あっ、どうも…」
『うちのことりがごめんねぇ、ほら、ことり、行くわよ』
ことり「うんっ 梨子ちゃん、またね」
ことり「これ、アドレス。あとで梨子ちゃんのも教えてね♪」
梨子「メールするね! じゃあ、またね」
それから、お母さんとお家に帰ってきたの。
梨子ちゃん、まだかなぁ…
【Eメール受信中…】
ことり「メール、梨子ちゃんからだ」
ことり「…良かった。もう大丈夫みたい…」
ことり「今度、東京に来たら、言ってね、遊びに行こう っと」
【Eメール送信中…】
『その子、お友達?』
ことり「うん、梨子ちゃんっていうの」
梨子「あっ、どうも…」
『うちのことりがごめんねぇ、ほら、ことり、行くわよ』
ことり「うんっ 梨子ちゃん、またね」
ことり「これ、アドレス。あとで梨子ちゃんのも教えてね♪」
梨子「メールするね! じゃあ、またね」
それから、お母さんとお家に帰ってきたの。
梨子ちゃん、まだかなぁ…
【Eメール受信中…】
ことり「メール、梨子ちゃんからだ」
ことり「…良かった。もう大丈夫みたい…」
ことり「今度、東京に来たら、言ってね、遊びに行こう っと」
【Eメール送信中…】
15:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:33:53 :BA8s88hk
偶然出会った、不思議な友達、桜内梨子ちゃん。
悩んでいたことも解決しそうで、二人で笑いあって、
また、会う約束もした。今日は楽しかったな♪
でも、どうしてかな……
胸のあたりが、すこし痛むの…………
偶然出会った、不思議な友達、桜内梨子ちゃん。
悩んでいたことも解決しそうで、二人で笑いあって、
また、会う約束もした。今日は楽しかったな♪
でも、どうしてかな……
胸のあたりが、すこし痛むの…………
16:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:35:35 :BA8s88hk
『はい、ワン、ツー、スリー…ことり、遅れてますよ!』
ことり「うんっ」
『海未、ちょっと止めて。』
『ことり、気分でも悪いの?』
ことり「なんともないよ、大丈夫、続けよう?」
『本当に大丈夫なわけ? 無理して続けられても迷惑だわ!』
『ちょっと、にこ…!』
『にこっち、言い過ぎやで…!』
ことり「ううん……いいの…ことり、邪魔だよね…今日はもう帰る…」
『あっ…』
『にこちゃん、反省しなさいよね…』
『何よ…私が悪いって言うの…?』
『だ、だれか……』
『かよちん、大丈夫にゃ……』
『みんな、やめやめ! 』
『はい、ワン、ツー、スリー…ことり、遅れてますよ!』
ことり「うんっ」
『海未、ちょっと止めて。』
『ことり、気分でも悪いの?』
ことり「なんともないよ、大丈夫、続けよう?」
『本当に大丈夫なわけ? 無理して続けられても迷惑だわ!』
『ちょっと、にこ…!』
『にこっち、言い過ぎやで…!』
ことり「ううん……いいの…ことり、邪魔だよね…今日はもう帰る…」
『あっ…』
『にこちゃん、反省しなさいよね…』
『何よ…私が悪いって言うの…?』
『だ、だれか……』
『かよちん、大丈夫にゃ……』
『みんな、やめやめ! 』
17:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:36:27 :BA8s88hk
『穂乃果…』
『今は、そっとしておいてあげよう…?誰にだって、調子の悪いときはあるよ…!』
『穂乃果の言う通りです。にこ、あなたには後で話があります!』
『うっ… 分かったわよ、にこが悪かったわ…』
ことり(ことり、どうしちゃったんだろう…)
ことり(ぜんぜん、集中出来ないよ…みんなにも迷惑かけて… )
ヴーッ ヴーッ
【Eメール受信中…】
ことり「梨子ちゃんだ!」
梨子[今度の週末、また東京に行くよ。普段は頻繁にはこれないけど、主催者の団体が交通費を出してくれるから…
顔合わせと練習が夕方頃終わるんだけど、ことりちゃん、空いてる? 良かったら、ご飯食べに行かない?]
ことり(また梨子ちゃんに会える…)
ことり[またこっちに来るんだね 嬉しいなぁ♪ 空いてるよ! ことりがおすすめのおいしいお店に案内するね!]
【Eメール送信中…】
ことり(楽しみだなぁ…梨子ちゃん、元気にしてたかな…心配だよ…)
『穂乃果…』
『今は、そっとしておいてあげよう…?誰にだって、調子の悪いときはあるよ…!』
『穂乃果の言う通りです。にこ、あなたには後で話があります!』
『うっ… 分かったわよ、にこが悪かったわ…』
ことり(ことり、どうしちゃったんだろう…)
ことり(ぜんぜん、集中出来ないよ…みんなにも迷惑かけて… )
ヴーッ ヴーッ
【Eメール受信中…】
ことり「梨子ちゃんだ!」
梨子[今度の週末、また東京に行くよ。普段は頻繁にはこれないけど、主催者の団体が交通費を出してくれるから…
顔合わせと練習が夕方頃終わるんだけど、ことりちゃん、空いてる? 良かったら、ご飯食べに行かない?]
ことり(また梨子ちゃんに会える…)
ことり[またこっちに来るんだね 嬉しいなぁ♪ 空いてるよ! ことりがおすすめのおいしいお店に案内するね!]
【Eメール送信中…】
ことり(楽しみだなぁ…梨子ちゃん、元気にしてたかな…心配だよ…)
18:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:37:09 :BA8s88hk
ことり「もう1通来てる、…にこちゃんだ」
[さっきは悪かったわね。また元気な姿見せなさいよ。]
ことり(にこちゃん…)
ことり[ことりもごめんなさい、明日はきっと大丈夫だから…]
ことり(まだ寝る時間じゃないけど…今日はもう寝ちゃおう…)
次の日、学校で授業を受けて、放課後の練習。
部室に入ってすぐ、にこちゃんに謝られたの…
ことりが、気にしてないよ って答えたら、
ちょっと安心したみたいで、にこちゃんもいつもの調子に戻って
練習の支度をしていた。
今日の練習はうまくいきそう♪
ことり(梨子ちゃんに明日会えるからかな…なんだか心が軽いの♪)
ことり「もう1通来てる、…にこちゃんだ」
[さっきは悪かったわね。また元気な姿見せなさいよ。]
ことり(にこちゃん…)
ことり[ことりもごめんなさい、明日はきっと大丈夫だから…]
ことり(まだ寝る時間じゃないけど…今日はもう寝ちゃおう…)
次の日、学校で授業を受けて、放課後の練習。
部室に入ってすぐ、にこちゃんに謝られたの…
ことりが、気にしてないよ って答えたら、
ちょっと安心したみたいで、にこちゃんもいつもの調子に戻って
練習の支度をしていた。
今日の練習はうまくいきそう♪
ことり(梨子ちゃんに明日会えるからかな…なんだか心が軽いの♪)
19:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:39:58 :BA8s88hk
今日は梨子ちゃんとご飯に行く日。
今ことりは、練習が終わった梨子ちゃんと待ち合わせ。
ことり(梨子ちゃん、どんな食べ物が好きかな…)
梨子「ことりちゃーん、おまたせ」
ことり「梨子ちゃん!」
梨子「ごめんね、待たせたでしょ…」
ことり「ううん、それより、練習はうまくいった?」
梨子「うん、お陰様で。」
ことり「良かった♪ 梨子ちゃん、今日は何の気分?」
梨子「そうだなぁ…私、サンドイッチが好きなんだけど、良いお店知らない?」
ことり「心当たりあるよ! ここから電車でちょっと行くと…」
梨子ちゃんと電車に乗って、美味しいパンが評判のお店に向かうことに。
今度の演奏会では、出演者がそれぞれ曲を作って、自分で披露するってお話になってるんだって。
すごいなぁ…ことりには作曲なんてとても…
今日は梨子ちゃんとご飯に行く日。
今ことりは、練習が終わった梨子ちゃんと待ち合わせ。
ことり(梨子ちゃん、どんな食べ物が好きかな…)
梨子「ことりちゃーん、おまたせ」
ことり「梨子ちゃん!」
梨子「ごめんね、待たせたでしょ…」
ことり「ううん、それより、練習はうまくいった?」
梨子「うん、お陰様で。」
ことり「良かった♪ 梨子ちゃん、今日は何の気分?」
梨子「そうだなぁ…私、サンドイッチが好きなんだけど、良いお店知らない?」
ことり「心当たりあるよ! ここから電車でちょっと行くと…」
梨子ちゃんと電車に乗って、美味しいパンが評判のお店に向かうことに。
今度の演奏会では、出演者がそれぞれ曲を作って、自分で披露するってお話になってるんだって。
すごいなぁ…ことりには作曲なんてとても…
20:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:41:37 :BA8s88hk
梨子「…美味しい!」
ことり「ふふっ、良かったぁ」
ことり「今度の演奏会、みんな自分で作曲した曲を披露するって言ってたけど、梨子ちゃんの曲はどう?」
梨子「うん、もう殆ど仕上がってるよ。そう、今日はその相談もしたかったんだ」
ことり「相談? ことりに出来ることなら何でも言ってね」
梨子「どうしても曲中に決められない部分があって、2パターンの候補があるんだけど、一緒に決めてほしいの…」
ことり(どうしよう、ことり、音楽のことなんて…)
梨子「ダメ…かな」
ことり「ううん! 聴いてみたい、ことりも一緒に考えるね」
梨子「ありがとう、じゃあ、まずこっちからね」
梨子ちゃんの音楽プレーヤーに繋がったイヤホンを両耳に着ける。
スイッチを押した瞬間、梨子ちゃんの優しいピアノの音が聞こえてきて、ついうっとりしちゃった。
梨子「どう…?」
ことり「うん…、綺麗で、整ってる感じがするね」
梨子「…美味しい!」
ことり「ふふっ、良かったぁ」
ことり「今度の演奏会、みんな自分で作曲した曲を披露するって言ってたけど、梨子ちゃんの曲はどう?」
梨子「うん、もう殆ど仕上がってるよ。そう、今日はその相談もしたかったんだ」
ことり「相談? ことりに出来ることなら何でも言ってね」
梨子「どうしても曲中に決められない部分があって、2パターンの候補があるんだけど、一緒に決めてほしいの…」
ことり(どうしよう、ことり、音楽のことなんて…)
梨子「ダメ…かな」
ことり「ううん! 聴いてみたい、ことりも一緒に考えるね」
梨子「ありがとう、じゃあ、まずこっちからね」
梨子ちゃんの音楽プレーヤーに繋がったイヤホンを両耳に着ける。
スイッチを押した瞬間、梨子ちゃんの優しいピアノの音が聞こえてきて、ついうっとりしちゃった。
梨子「どう…?」
ことり「うん…、綺麗で、整ってる感じがするね」
21:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:42:16 :BA8s88hk
梨子「今度は、こっちを聴いてみて…」
出だしはもちろん最初の音源と一緒。
途中からは、さっきのよりも少し明るめで、
ふんわり柔らかそうなメロディ。
いつの間にか、ふたつの旋律の判断よりも、
音源から伝わる、梨子ちゃんの真剣さと、ピアノに対する気持ちに気を取られちゃって…つい聴き惚れてしまっていた。
梨子「どうだった? どっちがいいかなぁ」
真剣な梨子ちゃんにちゃんとした答えを出したい…。
コンサートのお客さんが好きそうなのはどっちかな…
梨子ちゃんが弾きやすいのは、どっちだろう…
曲のイメージに合うのはどっちになるかな…
…どう考えればいいか分かっても、ことりには知識が無くてダメ…
梨子「今度は、こっちを聴いてみて…」
出だしはもちろん最初の音源と一緒。
途中からは、さっきのよりも少し明るめで、
ふんわり柔らかそうなメロディ。
いつの間にか、ふたつの旋律の判断よりも、
音源から伝わる、梨子ちゃんの真剣さと、ピアノに対する気持ちに気を取られちゃって…つい聴き惚れてしまっていた。
梨子「どうだった? どっちがいいかなぁ」
真剣な梨子ちゃんにちゃんとした答えを出したい…。
コンサートのお客さんが好きそうなのはどっちかな…
梨子ちゃんが弾きやすいのは、どっちだろう…
曲のイメージに合うのはどっちになるかな…
…どう考えればいいか分かっても、ことりには知識が無くてダメ…
22:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:43:06 :BA8s88hk
ことり(うーん… あ、そっか♪)
ことりが答えられるのは、今はこれしか無かった。
ことり「ことりは、後から聴いた方が好き♪」
梨子「ことりちゃんは、2つ目の方がいいのね…」
ことり「…?」
梨子「実はね、彼にも相談したんだけど、そっちは1つ目の方が良いって言ってるの…」
ことり(…ことりだけに相談してたんじゃ、ないんだ…)
梨子「うん、ありがとう 参考になったよ」
ことり「ごめんね、ことりはピアノやってないから、まともな意見じゃないかも…」
ことりなりに、好きな部分を感じて答えたのに、自信がなくなっちゃう… 梨子ちゃんも、1つ目の方が良いと思ってるのかな…
……………………今度は、はっきりと胸が痛かった。
ことり(うーん… あ、そっか♪)
ことりが答えられるのは、今はこれしか無かった。
ことり「ことりは、後から聴いた方が好き♪」
梨子「ことりちゃんは、2つ目の方がいいのね…」
ことり「…?」
梨子「実はね、彼にも相談したんだけど、そっちは1つ目の方が良いって言ってるの…」
ことり(…ことりだけに相談してたんじゃ、ないんだ…)
梨子「うん、ありがとう 参考になったよ」
ことり「ごめんね、ことりはピアノやってないから、まともな意見じゃないかも…」
ことりなりに、好きな部分を感じて答えたのに、自信がなくなっちゃう… 梨子ちゃんも、1つ目の方が良いと思ってるのかな…
……………………今度は、はっきりと胸が痛かった。
23:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:45:25 :BA8s88hk
レストランを出て、駅で梨子ちゃんをお見送り。
梨子「今日はありがとう。次会うときは、本番かな」
ことり「もうあと少しだもんね、応援してるよ♪」
梨子「うん!じゃあ、またね」
梨子ちゃんが改札の向こうに消えていく。
梨子ちゃん……ことりになんか聞かないで、その人だけに聞いた方が迷わなくていいのに……
久しぶりに梨子ちゃんに会えて、楽しかったはずなのに…
ひとりで歩く帰り道が、いつもより暗くて、冷たかった…
今日はついに、梨子ちゃんのステージ。
ことりは、今梨子ちゃんの控え室の方に向かっています。
梨子ちゃんの演奏がうまくいきますようにって、
おまじないをかけながら作った 桜色の髪飾り。
レストランを出て、駅で梨子ちゃんをお見送り。
梨子「今日はありがとう。次会うときは、本番かな」
ことり「もうあと少しだもんね、応援してるよ♪」
梨子「うん!じゃあ、またね」
梨子ちゃんが改札の向こうに消えていく。
梨子ちゃん……ことりになんか聞かないで、その人だけに聞いた方が迷わなくていいのに……
久しぶりに梨子ちゃんに会えて、楽しかったはずなのに…
ひとりで歩く帰り道が、いつもより暗くて、冷たかった…
今日はついに、梨子ちゃんのステージ。
ことりは、今梨子ちゃんの控え室の方に向かっています。
梨子ちゃんの演奏がうまくいきますようにって、
おまじないをかけながら作った 桜色の髪飾り。
24:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:49:02 :BA8s88hk
ピアノの演奏に相応しいような、派手すぎないで、
でもしっかりと主張のある、
梨子ちゃんにぴったりな髪飾り。
受け取ってくれるかな……
ことり(あれ…ドアが空いてる…)
『梨子ちゃーん!! ついに本番だね!!』
『緊張してるでありますか??』
『んもーぅ、今更梨子が緊張するわけナッシングでしょ?』
『そうよ!我がリトルデーモン、リリーには俗世の波動など届かぬわ!』
『東京って、すごいね…ルビィ達も招待客としてここまで来れちゃった…』
『大きな音楽団体なだけはあるね。今日は、私達がついてるからね!』
『いつもどおりやれば大丈夫ずら!』
ことり(梨子ちゃんが言ってた、友達が来てるんだ)
ことり(邪魔したら、悪いなぁ…)
ピアノの演奏に相応しいような、派手すぎないで、
でもしっかりと主張のある、
梨子ちゃんにぴったりな髪飾り。
受け取ってくれるかな……
ことり(あれ…ドアが空いてる…)
『梨子ちゃーん!! ついに本番だね!!』
『緊張してるでありますか??』
『んもーぅ、今更梨子が緊張するわけナッシングでしょ?』
『そうよ!我がリトルデーモン、リリーには俗世の波動など届かぬわ!』
『東京って、すごいね…ルビィ達も招待客としてここまで来れちゃった…』
『大きな音楽団体なだけはあるね。今日は、私達がついてるからね!』
『いつもどおりやれば大丈夫ずら!』
ことり(梨子ちゃんが言ってた、友達が来てるんだ)
ことり(邪魔したら、悪いなぁ…)
25:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:51:02 :BA8s88hk
ことり(でも、もう時間がないよ…)
『ほら、皆さん、もう梨子さんのスタンバイの時間が近付いてますわよ。 客席に向かいましょう?』
『じゃあね~梨子ちゃん、頑張ってね!』
女の子が8人、控え室から出てきて、私とすれ違った。
次はことりが部屋に入ろうとすると、中から梨子ちゃんが出てきた。
ことり「梨子ちゃん、おはよう」
梨子「おはよう、ことりちゃん」
ことり「梨子ちゃん、あのね…」
梨子「ごめんね、もう行かなきゃいけないの…」
ことり「あっ…うん…、頑張ってね!」
梨子「本当にごめんね…!」
ことり(でも、もう時間がないよ…)
『ほら、皆さん、もう梨子さんのスタンバイの時間が近付いてますわよ。 客席に向かいましょう?』
『じゃあね~梨子ちゃん、頑張ってね!』
女の子が8人、控え室から出てきて、私とすれ違った。
次はことりが部屋に入ろうとすると、中から梨子ちゃんが出てきた。
ことり「梨子ちゃん、おはよう」
梨子「おはよう、ことりちゃん」
ことり「梨子ちゃん、あのね…」
梨子「ごめんね、もう行かなきゃいけないの…」
ことり「あっ…うん…、頑張ってね!」
梨子「本当にごめんね…!」
26:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:51:45 :BA8s88hk
ことりは、渡すことが出来なかった髪飾りを箱に入れたまま、鞄にしまって、客席へ向かった…
受付でパンフレットを貰って、ホールのドアを抜けると、中はお客さんでいっぱい。
ことりの席は、真ん中少し後ろの、ぽつんと開いた通路側の席。
どうして、こんなに悲しいの…?
ピアノはあの人に相談して、
友達の応援なら地元の人が控え室に来て、
そうした方が梨子ちゃんにとって良いことなんだ、って
分かってるつもりなのに……
ことりは、渡すことが出来なかった髪飾りを箱に入れたまま、鞄にしまって、客席へ向かった…
受付でパンフレットを貰って、ホールのドアを抜けると、中はお客さんでいっぱい。
ことりの席は、真ん中少し後ろの、ぽつんと開いた通路側の席。
どうして、こんなに悲しいの…?
ピアノはあの人に相談して、
友達の応援なら地元の人が控え室に来て、
そうした方が梨子ちゃんにとって良いことなんだ、って
分かってるつもりなのに……
27:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:52:28 :BA8s88hk
ピアノも出来なくて、
知り合って半年にもならない私の励ましなんて…
梨子ちゃんには必要ないんだ…
なのに、なんでことりに曲のことを聞いたの…?
なんで、ことりに会いに来てくれたの…?
なんで、プレゼントを受け取ってくれなかったの…?
ことり、わかんないよ…
ブーーーーーー
会場にアナウンスが流れる。
ピアノも出来なくて、
知り合って半年にもならない私の励ましなんて…
梨子ちゃんには必要ないんだ…
なのに、なんでことりに曲のことを聞いたの…?
なんで、ことりに会いに来てくれたの…?
なんで、プレゼントを受け取ってくれなかったの…?
ことり、わかんないよ…
ブーーーーーー
会場にアナウンスが流れる。
28:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:54:26 :BA8s88hk
今日のために、全国から有望な高校生ピアニストが集められたことや、主催者の挨拶などが伝えられる。
梨子ちゃん……あなたは、ううん、
ことりは、梨子ちゃんにとってなんなの……?
ことりは、ひとりで勝手に舞い上がってただけなの……?
梨子ちゃん、梨子ちゃん…………
『では、続いての演奏者です。』
『静岡県、浦の星女学院からお越しいただきました。桜内 梨子さんです。桜内さんは、先の東京におけるーー』
今日のために、全国から有望な高校生ピアニストが集められたことや、主催者の挨拶などが伝えられる。
梨子ちゃん……あなたは、ううん、
ことりは、梨子ちゃんにとってなんなの……?
ことりは、ひとりで勝手に舞い上がってただけなの……?
梨子ちゃん、梨子ちゃん…………
『では、続いての演奏者です。』
『静岡県、浦の星女学院からお越しいただきました。桜内 梨子さんです。桜内さんは、先の東京におけるーー』
29:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:55:25 :BA8s88hk
梨子ちゃん………教えてよ…………
『更に音楽活動を続けながらも、スクールーー』
ことり、梨子ちゃんのこと…………
『それでは、桜内梨子さん作曲、【小鳥】です。』
…!!
ことり(今、司会の人、なんて………!)
慌ててパンフレットを確認する。
梨子ちゃんの曲目は、【小鳥】…。
ことりが、ステージに目を向けると、
滲んだ照明の下に立つ梨子ちゃんが居て、
客席に向かって一礼して、顔を上げた。
梨子ちゃん………教えてよ…………
『更に音楽活動を続けながらも、スクールーー』
ことり、梨子ちゃんのこと…………
『それでは、桜内梨子さん作曲、【小鳥】です。』
…!!
ことり(今、司会の人、なんて………!)
慌ててパンフレットを確認する。
梨子ちゃんの曲目は、【小鳥】…。
ことりが、ステージに目を向けると、
滲んだ照明の下に立つ梨子ちゃんが居て、
客席に向かって一礼して、顔を上げた。
30:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:56:50 :BA8s88hk
ピアノに向かう前、梨子ちゃんがこっちを見たような気がした…
梨子ちゃんの指が動き、鍵盤に触れていく。
その音のひとつひとつは、とっても綺麗で、
今まで聴いたどんな曲よりも、ことりの耳に、
心に、優しく溶けていった。
涙が、とまらないの………
こんなに素敵な曲で、梨子ちゃんのステージなのに、
ことりは、溢れてくる涙を止められなくて…
聞こえてくる、ふんわり柔らかそうなメロディが、
ことりの心を包んでくれてるからかな……?
ピアノに向かう前、梨子ちゃんがこっちを見たような気がした…
梨子ちゃんの指が動き、鍵盤に触れていく。
その音のひとつひとつは、とっても綺麗で、
今まで聴いたどんな曲よりも、ことりの耳に、
心に、優しく溶けていった。
涙が、とまらないの………
こんなに素敵な曲で、梨子ちゃんのステージなのに、
ことりは、溢れてくる涙を止められなくて…
聞こえてくる、ふんわり柔らかそうなメロディが、
ことりの心を包んでくれてるからかな……?
31:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:58:20 :BA8s88hk
梨子ちゃんの指が、最後の鍵盤を鳴らして、
透き通った残響が静まったあと、
梨子ちゃんは立ち上がって、客席に向かってお辞儀をした。
鳴り止まない拍手の中、梨子ちゃんは堂々と降壇して行った。
司会が次のアナウンスをしている最中だったけど、
ことりは席を立って、ホールから出た。
たくさん泣いてたからかな、ドアの係の人はことりを通してくれて…
すこしでも早く、梨子ちゃんに会いたい。
梨子ちゃん、ありがとう って
ごめんね って… 伝えたい。
控え室のドアをノックすると、梨子ちゃんが開けてくれた。
中には、出番を終えた例のピアニストと、梨子ちゃんが居て、話をしている様子だった。
梨子ちゃんの演奏を、誉めてたのかな。梨子ちゃんは少し嬉しそうで、恥ずかしそうな顔をしていて…
梨子ちゃんの指が、最後の鍵盤を鳴らして、
透き通った残響が静まったあと、
梨子ちゃんは立ち上がって、客席に向かってお辞儀をした。
鳴り止まない拍手の中、梨子ちゃんは堂々と降壇して行った。
司会が次のアナウンスをしている最中だったけど、
ことりは席を立って、ホールから出た。
たくさん泣いてたからかな、ドアの係の人はことりを通してくれて…
すこしでも早く、梨子ちゃんに会いたい。
梨子ちゃん、ありがとう って
ごめんね って… 伝えたい。
控え室のドアをノックすると、梨子ちゃんが開けてくれた。
中には、出番を終えた例のピアニストと、梨子ちゃんが居て、話をしている様子だった。
梨子ちゃんの演奏を、誉めてたのかな。梨子ちゃんは少し嬉しそうで、恥ずかしそうな顔をしていて…
32:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 22:59:25 :BA8s88hk
ことり「梨子ちゃん、」
梨子「ことりちゃん…!? どうしたの…!?」
そうだ、 ことり、泣いてたんだった…
ことり「ありがとう…梨子ちゃん…」
ことり「ごめんね……」
梨子「ごめんねって…私、何もことりちゃんに嫌なことされてないよ?」
ことり「うっ、うう…」
気付かないうちに、彼は部屋から出ていて、控え室はことりと梨子ちゃんの二人きりになっていた。
ことり「梨子ちゃん……!」
梨子「ことりちゃん…?」
ことり「梨子ちゃん、」
梨子「ことりちゃん…!? どうしたの…!?」
そうだ、 ことり、泣いてたんだった…
ことり「ありがとう…梨子ちゃん…」
ことり「ごめんね……」
梨子「ごめんねって…私、何もことりちゃんに嫌なことされてないよ?」
ことり「うっ、うう…」
気付かないうちに、彼は部屋から出ていて、控え室はことりと梨子ちゃんの二人きりになっていた。
ことり「梨子ちゃん……!」
梨子「ことりちゃん…?」
33:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 23:00:27 :BA8s88hk
梨子「………………。」
ぎゅっ
ことり「………!!」
梨子「ごめんね、ことりちゃん」
ことり「りこちゃん…」
ことり「うぇぇ…」
梨子「どうして、泣いてるの…?」
ことり「わかんないの…涙が…とまらなくて…」
梨子「……そっか。」
梨子「そういえば、演奏前は、ごめんね」
梨子「………………。」
ぎゅっ
ことり「………!!」
梨子「ごめんね、ことりちゃん」
ことり「りこちゃん…」
ことり「うぇぇ…」
梨子「どうして、泣いてるの…?」
ことり「わかんないの…涙が…とまらなくて…」
梨子「……そっか。」
梨子「そういえば、演奏前は、ごめんね」
34:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 23:01:30 :BA8s88hk
梨子「なかなかみんな帰らなくってさ…ことりちゃん、来てくれないかなって、ずっと思ってたんだよ」
梨子「だから、ことりちゃんが来てくれて本当に嬉しかった」
梨子「あの時、何か手に持ってなかった…?」
ことり「もう、いいの」
梨子「もういい?」
ことり「うん……」
梨子「そうなの…? 本当のこと、教えて…?」
ことり「……実はね、ことり、梨子ちゃんのために…」
ことり「開けて…?」
鞄から綺麗に包装した小箱を取り出して、梨子ちゃんに渡す。
梨子「なかなかみんな帰らなくってさ…ことりちゃん、来てくれないかなって、ずっと思ってたんだよ」
梨子「だから、ことりちゃんが来てくれて本当に嬉しかった」
梨子「あの時、何か手に持ってなかった…?」
ことり「もう、いいの」
梨子「もういい?」
ことり「うん……」
梨子「そうなの…? 本当のこと、教えて…?」
ことり「……実はね、ことり、梨子ちゃんのために…」
ことり「開けて…?」
鞄から綺麗に包装した小箱を取り出して、梨子ちゃんに渡す。
35:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 23:02:51 :BA8s88hk
薄いピンク色のリボンを解いて、白い箱を開けて……
中身を見る梨子ちゃんの目は、潤んでいて……
桜の花を模した、可憐な髪飾りに、
雫が一滴、二滴と落ちる。
梨子「ことりちゃん……これ…」
ことり「うん…梨子ちゃんに似合うように、今日うまくいくように、ことりが作ってきたの…。」
梨子「…ありがとう……!」
梨子「…ごめんね……!」
今度は梨子ちゃんの涙がとまらなくなっちゃった。
ぎゅっ…
薄いピンク色のリボンを解いて、白い箱を開けて……
中身を見る梨子ちゃんの目は、潤んでいて……
桜の花を模した、可憐な髪飾りに、
雫が一滴、二滴と落ちる。
梨子「ことりちゃん……これ…」
ことり「うん…梨子ちゃんに似合うように、今日うまくいくように、ことりが作ってきたの…。」
梨子「…ありがとう……!」
梨子「…ごめんね……!」
今度は梨子ちゃんの涙がとまらなくなっちゃった。
ぎゅっ…
36:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 23:04:14 :BA8s88hk
今日は、第2回の『高校生によるピアノ演奏会』。
梨子ちゃんは今回トップバッターを勤めるんだって。
梨子ちゃんが登壇してきて、お辞儀をした。
演奏、楽しみだなぁ…♪
綺麗な赤い髪に、桜色の髪飾りを添えた梨子ちゃん。
優しく構えた梨子ちゃんの指が、鍵盤に触れる。
おしまい
今日は、第2回の『高校生によるピアノ演奏会』。
梨子ちゃんは今回トップバッターを勤めるんだって。
梨子ちゃんが登壇してきて、お辞儀をした。
演奏、楽しみだなぁ…♪
綺麗な赤い髪に、桜色の髪飾りを添えた梨子ちゃん。
優しく構えた梨子ちゃんの指が、鍵盤に触れる。
おしまい
37:以下、名無しが深夜にお送りします:2019/04/22(月) 23:08:06 :BA8s88hk
楽しんで頂けたら幸いです
読んだあとにスクスタのキービジュアルを見に行くといいものが見れるかも
投稿もここでおしまい
楽しんで頂けたら幸いです
読んだあとにスクスタのキービジュアルを見に行くといいものが見れるかも
投稿もここでおしまい