1: ◆U7CecbhO/.:2016/08/25(木) 10:37:46.97 :ixs6WJ9M0
丑三つ時。予期せぬインターホンの音によって、静寂に沈んでいたぼくの意識は引き上げられた。
心臓が跳ね上がる。頭が重い。どうやら、眠りについてからそう時間は経っていないらしい。頭を掻きながら思考の回復を待つ。
「インターホン……」
呟いて、事実確認。カーテンの隙間から外を窺うと、当然、暗闇が広がっていた。後ろ髪を引かれたが、渋々ベッドから抜け出しそのままリビングへと向かう。
丑三つ時。予期せぬインターホンの音によって、静寂に沈んでいたぼくの意識は引き上げられた。
心臓が跳ね上がる。頭が重い。どうやら、眠りについてからそう時間は経っていないらしい。頭を掻きながら思考の回復を待つ。
「インターホン……」
呟いて、事実確認。カーテンの隙間から外を窺うと、当然、暗闇が広がっていた。後ろ髪を引かれたが、渋々ベッドから抜け出しそのままリビングへと向かう。
2: ◆U7CecbhO/.:2016/08/25(木) 10:40:21.34 :ixs6WJ9M0
リビングのテーブルに置きっぱなしだったペットボトルのキャップを開けて、水を呷る。半分ほどを呑み込んで、覚醒。
夢だったか、時間からしてその可能性は高い。玄関の方に視線を向けてみたけれど、異常は感じられない。まあ内側から見ても異常なんてわかるわけはないのだが。
最近眠りが浅いから、幻聴があってもおかしくはない。そう決めつけて寝室に戻ろうとすると、玄関の扉の辺りからカタカタと奇音が聴こえた。
耳を凝らすと、どうやら扉の向こう側に誰かいるらしいことがわかる。会話しているから二人以上。憤りを覚えつつ、ぼくは解錠し扉を開ける。
扉の前には二人の男が立っていた。予想通り知人ではない。片方は恰幅がよく坊主頭の若い男。コワモテからモテを抜いた感じ。
もう片方はストリート系のファッションに身を包んだ、チャラそうな若い男。粋がってるだけの奴。
たぶん、二人とも歳はぼくとそう変わらないだろう。
二人は扉が開いたことに驚きもせず、挨拶するわけでもなくぼくの顔を眺めて、ただただにやにやと不快な笑みを浮かべていた。頭の悪そうな二人組だ。
事実、真夜中にインターホンを鳴らしている時点で相当イッちゃってるけれど、かと言って放置するわけにもいかない。インターホンを連打なんてされたら殺したくなるし。
リビングのテーブルに置きっぱなしだったペットボトルのキャップを開けて、水を呷る。半分ほどを呑み込んで、覚醒。
夢だったか、時間からしてその可能性は高い。玄関の方に視線を向けてみたけれど、異常は感じられない。まあ内側から見ても異常なんてわかるわけはないのだが。
最近眠りが浅いから、幻聴があってもおかしくはない。そう決めつけて寝室に戻ろうとすると、玄関の扉の辺りからカタカタと奇音が聴こえた。
耳を凝らすと、どうやら扉の向こう側に誰かいるらしいことがわかる。会話しているから二人以上。憤りを覚えつつ、ぼくは解錠し扉を開ける。
扉の前には二人の男が立っていた。予想通り知人ではない。片方は恰幅がよく坊主頭の若い男。コワモテからモテを抜いた感じ。
もう片方はストリート系のファッションに身を包んだ、チャラそうな若い男。粋がってるだけの奴。
たぶん、二人とも歳はぼくとそう変わらないだろう。
二人は扉が開いたことに驚きもせず、挨拶するわけでもなくぼくの顔を眺めて、ただただにやにやと不快な笑みを浮かべていた。頭の悪そうな二人組だ。
事実、真夜中にインターホンを鳴らしている時点で相当イッちゃってるけれど、かと言って放置するわけにもいかない。インターホンを連打なんてされたら殺したくなるし。
3: ◆U7CecbhO/.:2016/08/25(木) 10:41:36.46 :ixs6WJ9M0
「なんすか」
ぼくは不機嫌かつ不愉快さを隠そうとはしない。こんな奴らに気を遣うのは馬鹿らしかった。
恰幅のいい男はぼくの気なんて関係なさそうに、にやけ面で応える。どうやらストリート系の男は取り巻きなようだ。
「いやね、隣の奴に用があるんだけど出ねえんだよ。三日経った林檎を食わされそうになったから、きたんだけど」
「はあ……、それぼくには関係ないよね」
「何か知らね」
「今のご時世、隣人と付き合いなんてないから」
確か若いカップルが住んでいたはずだが、ぼくはそれ以上のことを知らない。引っ越してきたときも挨拶にこなかったし。まあ、こないからと言ってどうとも思わないけれど。
「あっそう。じゃっいいや」
そう言って、恰幅のいい男はストリート系の男を促し、一緒に去っていった。せめて謝れよ、とは言わない。これ以上関わりたくなかった。
「なんすか」
ぼくは不機嫌かつ不愉快さを隠そうとはしない。こんな奴らに気を遣うのは馬鹿らしかった。
恰幅のいい男はぼくの気なんて関係なさそうに、にやけ面で応える。どうやらストリート系の男は取り巻きなようだ。
「いやね、隣の奴に用があるんだけど出ねえんだよ。三日経った林檎を食わされそうになったから、きたんだけど」
「はあ……、それぼくには関係ないよね」
「何か知らね」
「今のご時世、隣人と付き合いなんてないから」
確か若いカップルが住んでいたはずだが、ぼくはそれ以上のことを知らない。引っ越してきたときも挨拶にこなかったし。まあ、こないからと言ってどうとも思わないけれど。
「あっそう。じゃっいいや」
そう言って、恰幅のいい男はストリート系の男を促し、一緒に去っていった。せめて謝れよ、とは言わない。これ以上関わりたくなかった。
4: ◆U7CecbhO/.:2016/08/25(木) 10:46:31.27 :ixs6WJ9M0
二人が廊下の角を曲がったのを確認してから、嘆息しつつ扉を閉めて施錠する。
次きたら通報しよう。そう心に決めて、寝室に戻りベッドに横になった。
ああ眠い。瞼を閉じると次第に身体が沈んでいく。意識は墜落直前。これくらいが心地いい。
だけど、それは邪魔される。インターホンに。
がばっと勢いよく起き上がる。また鳴った。血管が膨張する感覚。力強く足音を立てながら玄関に向かう。
扉を開けると、隣人のカップルが立っていた。
男の方は細身の冴えない感じ。眼鏡をかけていて、緩いパーマのかかった髪は中途半端な長さ。たぶん手入れをしていないのだろう。
女はケバい、可愛くない、頭悪そうの三拍子。死ねばいいのに。
「うるせえよ」
「あっごめんなさい」
男が頭を下げる。女にも下げさせろよ。そういう意味を込めて、ぼくは舌打ちした。
それにしてもこの男も馬鹿だ。どうやら迷惑だということに今気づいたらしい。五日経った林檎を食べて死ねばいいのに。
「で、なに」
「林檎って何日まで大丈夫だと思いますか」
「三日は際どい。普通に考えたらわかるだろ。五日経ったら死ぬのに」
二人が廊下の角を曲がったのを確認してから、嘆息しつつ扉を閉めて施錠する。
次きたら通報しよう。そう心に決めて、寝室に戻りベッドに横になった。
ああ眠い。瞼を閉じると次第に身体が沈んでいく。意識は墜落直前。これくらいが心地いい。
だけど、それは邪魔される。インターホンに。
がばっと勢いよく起き上がる。また鳴った。血管が膨張する感覚。力強く足音を立てながら玄関に向かう。
扉を開けると、隣人のカップルが立っていた。
男の方は細身の冴えない感じ。眼鏡をかけていて、緩いパーマのかかった髪は中途半端な長さ。たぶん手入れをしていないのだろう。
女はケバい、可愛くない、頭悪そうの三拍子。死ねばいいのに。
「うるせえよ」
「あっごめんなさい」
男が頭を下げる。女にも下げさせろよ。そういう意味を込めて、ぼくは舌打ちした。
それにしてもこの男も馬鹿だ。どうやら迷惑だということに今気づいたらしい。五日経った林檎を食べて死ねばいいのに。
「で、なに」
「林檎って何日まで大丈夫だと思いますか」
「三日は際どい。普通に考えたらわかるだろ。五日経ったら死ぬのに」
5: ◆U7CecbhO/.:2016/08/25(木) 10:52:31.86 :ixs6WJ9M0
女がわざとらしくため息をついた。ため息をつきたいのはこっちだというのに、どうにも立ち場を理解していないようだ。
「そう……ですか。でも、三日経ってるからって検査は酷いと思いませんかね。四日経ったわけじゃないのに」
「知らん死ね」
ぼくはそう言って扉を思いっきり引いて閉める。そうして施錠して、チェーンをかけてからインターホンの電源を切った。
急いで寝室に戻り、充電中の携帯電話を開く。
番号を入力。三コール目に通じた。ぼくは名乗りもせず、相手の言葉を聴かず、いきなり話し出す。
「三日経った林檎を食わそうとして隣人が揉めてる。どうにかしてくれ」
「ああ、それは際どいですね。わかりました。住所、いいですか」
住所と隣人の部屋番号を告げると相手は、ありがとうございますと言って電話を切った。これでいい。
明日には静かになっていることだろう。きっと四日経った林檎を食べて。
ぼくは再び眠りについた。
女がわざとらしくため息をついた。ため息をつきたいのはこっちだというのに、どうにも立ち場を理解していないようだ。
「そう……ですか。でも、三日経ってるからって検査は酷いと思いませんかね。四日経ったわけじゃないのに」
「知らん死ね」
ぼくはそう言って扉を思いっきり引いて閉める。そうして施錠して、チェーンをかけてからインターホンの電源を切った。
急いで寝室に戻り、充電中の携帯電話を開く。
番号を入力。三コール目に通じた。ぼくは名乗りもせず、相手の言葉を聴かず、いきなり話し出す。
「三日経った林檎を食わそうとして隣人が揉めてる。どうにかしてくれ」
「ああ、それは際どいですね。わかりました。住所、いいですか」
住所と隣人の部屋番号を告げると相手は、ありがとうございますと言って電話を切った。これでいい。
明日には静かになっていることだろう。きっと四日経った林檎を食べて。
ぼくは再び眠りについた。
6: ◆U7CecbhO/.:2016/08/25(木) 10:53:23.22 :ixs6WJ9M0
終わりです。
依頼してきます。
終わりです。
依頼してきます。