1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:35:31.23 :o9TXSm7do
終業時刻となった。
俺の会社は今比較的ヒマな時期である。
会社の同僚達が一斉に席を立ち、帰り支度を始める。
「みんなでボーリングやろう!」
みんなやろうやろうと口にする。
終業時刻となった。
俺の会社は今比較的ヒマな時期である。
会社の同僚達が一斉に席を立ち、帰り支度を始める。
「みんなでボーリングやろう!」
みんなやろうやろうと口にする。
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:37:45.42 :o9TXSm7do
いつもだったら、俺は参加しなかった。
奴らの行く場所は大抵居酒屋やカラオケで、俺は酒も歌も大の苦手だからだ。
だが、ボウリングとなると話は別だ。
ボウリングは、俺の特技ランキングの中で二位、三位には間違いなく入る。
アベレージは180を越え、200以上のスコアを出したこともある。
俺の腕前を、一度みんなの前で披露してみたかった。
「俺も参加していいですか?」
いつもだったら、俺は参加しなかった。
奴らの行く場所は大抵居酒屋やカラオケで、俺は酒も歌も大の苦手だからだ。
だが、ボウリングとなると話は別だ。
ボウリングは、俺の特技ランキングの中で二位、三位には間違いなく入る。
アベレージは180を越え、200以上のスコアを出したこともある。
俺の腕前を、一度みんなの前で披露してみたかった。
「俺も参加していいですか?」
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:40:21.14 :o9TXSm7do
普段めったに誘いに乗らない俺からの申し出に、同僚達も驚く。
どういう風の吹き回しだ、と思ってるに違いない。
「いいけど、お前ボーリングできるの?」
「もちろん! ターキー狙うよ!」
この瞬間、誰かが吹き出す声が聞こえた。
「ぷっ!」
普段めったに誘いに乗らない俺からの申し出に、同僚達も驚く。
どういう風の吹き回しだ、と思ってるに違いない。
「いいけど、お前ボーリングできるの?」
「もちろん! ターキー狙うよ!」
この瞬間、誰かが吹き出す声が聞こえた。
「ぷっ!」
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:43:38.96 :o9TXSm7do
他の同僚達も冷笑まじりに、
「連れてくの?」
「ま、いいんじゃない?」
「参加するのは自由だけど」
と歯切れの悪い返事をする。
とにかく参加は認められた。
しかし、どこか不安を感じながら、俺は奴らについていくことにした。
他の同僚達も冷笑まじりに、
「連れてくの?」
「ま、いいんじゃない?」
「参加するのは自由だけど」
と歯切れの悪い返事をする。
とにかく参加は認められた。
しかし、どこか不安を感じながら、俺は奴らについていくことにした。
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:46:21.62 :o9TXSm7do
会社の近くにボウリング場は一つしかない。
巨大なピンが目印になっている建物だ。
なのに、同僚達はまるで見当違いの方向に歩いていく。
「みんな、ボウリング場はあっちだよ?」
俺が指摘しても、誰も方向を変えない。
ニヤニヤしてる奴もいる。
俺の知らない穴場があるのだろうか……?
とてもそうは思えないが、俺は奴らを追いかけた。
会社の近くにボウリング場は一つしかない。
巨大なピンが目印になっている建物だ。
なのに、同僚達はまるで見当違いの方向に歩いていく。
「みんな、ボウリング場はあっちだよ?」
俺が指摘しても、誰も方向を変えない。
ニヤニヤしてる奴もいる。
俺の知らない穴場があるのだろうか……?
とてもそうは思えないが、俺は奴らを追いかけた。
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:48:34.26 :o9TXSm7do
俺たちは辺り一面土しかない場所にたどり着いた。
入り口には『ご自由にお掘り下さい』の立て看板。
呆然と立ち尽くす俺を尻目に、同僚達はバッグから部品を取り出し、一人一人機械を組み立て始めた。
次々にドリルの化け物のような機械を完成させていく。
俺以外の全員がそれをできたことを確認すると、同僚のリーダー的な男がこういった。
「じゃあ、誰が一番深く穴を掘れるか競争だ!」
俺たちは辺り一面土しかない場所にたどり着いた。
入り口には『ご自由にお掘り下さい』の立て看板。
呆然と立ち尽くす俺を尻目に、同僚達はバッグから部品を取り出し、一人一人機械を組み立て始めた。
次々にドリルの化け物のような機械を完成させていく。
俺以外の全員がそれをできたことを確認すると、同僚のリーダー的な男がこういった。
「じゃあ、誰が一番深く穴を掘れるか競争だ!」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:52:31.96 :o9TXSm7do
轟音を立て、穴を掘っていく同僚達。
俺はその中の一人に、おそるおそる尋ねた。
「あの……ボウリングは?」
「だからみんなで今やってるだろ。ボーリングを」
「ストライクやスペアを狙うアレは……?」
「それは球を転がすボ、ウ、リ、ン、グだろ? 俺たちがやってるのは穴を掘るボ、ー、リ、ン、グ。
ここは自由に穴を掘っていい場所で、俺たちは自作の機械でボーリングするのが趣味なんだよ。
だからみんなでたまーにここに来るんだ」
説明を終えた同僚は、作業に集中すべく俺を追い払うような仕草をした。
ボウリングとボーリング。
どちらも英語のカタカナ化なので、表記が厳密に分かれているわけではないだろうが、
(たとえば球を転がす方を『ボーリング』と書いても必ずしも間違いとはいえないだろう)
一般的には球転がしは『ボウリング』、穴掘りは『ボーリング』と表記されていると思う。
俺は勘違いをしていたのだ。
同僚達がやろうとしてたのは“穴掘り”で、“球転がし”ではなかったのだ。
この場所は、俺が知らないという意味と、穴掘り自由という意味で、二重の意味で≪穴場≫だった。
轟音を立て、穴を掘っていく同僚達。
俺はその中の一人に、おそるおそる尋ねた。
「あの……ボウリングは?」
「だからみんなで今やってるだろ。ボーリングを」
「ストライクやスペアを狙うアレは……?」
「それは球を転がすボ、ウ、リ、ン、グだろ? 俺たちがやってるのは穴を掘るボ、ー、リ、ン、グ。
ここは自由に穴を掘っていい場所で、俺たちは自作の機械でボーリングするのが趣味なんだよ。
だからみんなでたまーにここに来るんだ」
説明を終えた同僚は、作業に集中すべく俺を追い払うような仕草をした。
ボウリングとボーリング。
どちらも英語のカタカナ化なので、表記が厳密に分かれているわけではないだろうが、
(たとえば球を転がす方を『ボーリング』と書いても必ずしも間違いとはいえないだろう)
一般的には球転がしは『ボウリング』、穴掘りは『ボーリング』と表記されていると思う。
俺は勘違いをしていたのだ。
同僚達がやろうとしてたのは“穴掘り”で、“球転がし”ではなかったのだ。
この場所は、俺が知らないという意味と、穴掘り自由という意味で、二重の意味で≪穴場≫だった。
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:55:34.76 :o9TXSm7do
これで、奴らの「ぷっ!」や歯切れの悪い返事の理由も分かった。
俺がターキーを狙うといった時点で、奴らは気づいてたのだ。俺の勘違いに。
そう思うと、無性に腹が立ってきた。
だったら説明してくれればいいじゃないか。俺たちは穴掘りに行くんだよ、と。
きっと奴らは今、俺を置いてきぼりにしてることを内心楽しんでるに違いない。
球転がしするつもりの奴が、あそこで所在なく立ち尽くしてるよー、と。
俺に説明しなかったのは、日頃付き合いの悪い俺への制裁かなにかのつもりなのだ。
見返してやる、と俺の心に火が灯った。
これで、奴らの「ぷっ!」や歯切れの悪い返事の理由も分かった。
俺がターキーを狙うといった時点で、奴らは気づいてたのだ。俺の勘違いに。
そう思うと、無性に腹が立ってきた。
だったら説明してくれればいいじゃないか。俺たちは穴掘りに行くんだよ、と。
きっと奴らは今、俺を置いてきぼりにしてることを内心楽しんでるに違いない。
球転がしするつもりの奴が、あそこで所在なく立ち尽くしてるよー、と。
俺に説明しなかったのは、日頃付き合いの悪い俺への制裁かなにかのつもりなのだ。
見返してやる、と俺の心に火が灯った。
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 15:58:00.30 :o9TXSm7do
「俺もボーリングに参加する!!!」
同僚全員に聞こえるような大声で宣言すると、俺は地面の土に目をやった。
ここに来るのは初めてだが、なるほど掘りやすそうないい土だ。
しゃがみ込むと、俺は奴らの目では視認できないであろうスピードで土を掘り始めた。
道具も使わず無我夢中で一メートル、二メートル、三メートル……と下へ下へ突き進む。
同僚達の驚く顔が目に浮かぶが、もはや奴らのことはどうでもよかった。
俺はそれほどに穴掘りが大好きなのだ。
そう、俺の特技ランキング、ブッチギリの第一位はボーリング(穴掘り)なのだ。
「俺もボーリングに参加する!!!」
同僚全員に聞こえるような大声で宣言すると、俺は地面の土に目をやった。
ここに来るのは初めてだが、なるほど掘りやすそうないい土だ。
しゃがみ込むと、俺は奴らの目では視認できないであろうスピードで土を掘り始めた。
道具も使わず無我夢中で一メートル、二メートル、三メートル……と下へ下へ突き進む。
同僚達の驚く顔が目に浮かぶが、もはや奴らのことはどうでもよかった。
俺はそれほどに穴掘りが大好きなのだ。
そう、俺の特技ランキング、ブッチギリの第一位はボーリング(穴掘り)なのだ。
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 16:00:32.10 :o9TXSm7do
俺は地面を凄まじい勢いで掘り進める。より速く、より深く、より美しく。
温度や圧力がきつくなるが、俺の鍛えた体ならばコアにだって耐えられる。
このままいけば、おそらく日本の裏側――ブラジル(実際は違うらしいが)あたりに
たどり着くことになるだろう。
だが、それじゃ少しつまらない。
俺は軌道を変え、北アメリカに向かうことにした。
俺は地面を凄まじい勢いで掘り進める。より速く、より深く、より美しく。
温度や圧力がきつくなるが、俺の鍛えた体ならばコアにだって耐えられる。
このままいけば、おそらく日本の裏側――ブラジル(実際は違うらしいが)あたりに
たどり着くことになるだろう。
だが、それじゃ少しつまらない。
俺は軌道を変え、北アメリカに向かうことにした。
11: ◆F1G3qx/na6:2017/12/30(土) 16:03:21.30 :o9TXSm7do
地球を掘って掘って掘りまくり、俺はやっとこさ北アメリカにたどり着いた。
なぜ目的地を北アメリカにしたのかというと、あの鳥が生息してるからだ。
いきなり地面から顔を出した俺に、野生の七面鳥は仰天していた。
その様子を見て、俺はにっこりと微笑んだ。
「やった、ターキーだ!」
― 終 ―
地球を掘って掘って掘りまくり、俺はやっとこさ北アメリカにたどり着いた。
なぜ目的地を北アメリカにしたのかというと、あの鳥が生息してるからだ。
いきなり地面から顔を出した俺に、野生の七面鳥は仰天していた。
その様子を見て、俺はにっこりと微笑んだ。
「やった、ターキーだ!」
― 終 ―
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 16:17:45.88 :bCy5IlYSO
クズのせいで地球滅亡
クズのせいで地球滅亡
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/12/30(土) 16:26:46.50 :5J6fReLIo
ターキーなんて鳥いねーよ
ターキー鳥かよ
ターキーなんて鳥いねーよ
ターキー鳥かよ