1: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:54:58.26 :/P3BZDh50
ある日のことでした。
モバPが事務所に入ると、一人のアイドルがソファに浅く腰掛けていました。
そのアイドルは、テーブルの上に置かれた何か小さなモノを一心不乱に見つめています。
「……愛海?」
それは、棟方愛海でした。
「……」
愛海は何も反応せず、テーブルの上をじっと見つめています。
ある日のことでした。
モバPが事務所に入ると、一人のアイドルがソファに浅く腰掛けていました。
そのアイドルは、テーブルの上に置かれた何か小さなモノを一心不乱に見つめています。
「……愛海?」
それは、棟方愛海でした。
「……」
愛海は何も反応せず、テーブルの上をじっと見つめています。
2: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:55:28.18 :/P3BZDh50
「どうしたんだ、一体」
心配になったモバPは、愛海の後ろに回ると、愛海の眺めているモノを観察します。
小さな、丸いモノ。
可愛いピンク色です。
「……プロデューサー」
ようやく、愛海が口を開きました。
「おう、どうした、愛海。悩み事か?」
「どうしたんだ、一体」
心配になったモバPは、愛海の後ろに回ると、愛海の眺めているモノを観察します。
小さな、丸いモノ。
可愛いピンク色です。
「……プロデューサー」
ようやく、愛海が口を開きました。
「おう、どうした、愛海。悩み事か?」
3: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:56:00.26 :/P3BZDh50
「乳首、取れちゃった」
「そうか、そりゃ……ちょっと待て」
モバPは、首をぐるりと回して天井を見上げます。
そしてゆっくりと十秒数えると、再び愛海を見ました。
「もう一度聞くぞ」
「うん」
「何があったんだ、愛海」
「乳首、取れた」
「乳首、取れちゃった」
「そうか、そりゃ……ちょっと待て」
モバPは、首をぐるりと回して天井を見上げます。
そしてゆっくりと十秒数えると、再び愛海を見ました。
「もう一度聞くぞ」
「うん」
「何があったんだ、愛海」
「乳首、取れた」
4: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:56:29.52 :/P3BZDh50
「取れたのか」
「うん」
「取れちゃったのか」
「取れちゃったんだよ」
「どっちだ」
「左」
「左の乳首か」
「取れたのか」
「うん」
「取れちゃったのか」
「取れちゃったんだよ」
「どっちだ」
「左」
「左の乳首か」
5: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:56:56.39 :/P3BZDh50
「うん」
「なんでだよ」
「お山をね、最近誰も登らせてくれないの」
「登らせてくれないのか」
「仕方ないから、最近自分のを登っているんだよ」
「自分のを」
「うん」
「うん」
「なんでだよ」
「お山をね、最近誰も登らせてくれないの」
「登らせてくれないのか」
「仕方ないから、最近自分のを登っているんだよ」
「自分のを」
「うん」
6: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:57:23.25 :/P3BZDh50
「それで?」
「毎日登っていたらね」
「おう」
「取れた」
「なんでだよ」
「プロデューサー」
「おう」
「乳首って取り外しできたのかな」
「それで?」
「毎日登っていたらね」
「おう」
「取れた」
「なんでだよ」
「プロデューサー」
「おう」
「乳首って取り外しできたのかな」
7: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:57:50.21 :/P3BZDh50
「取り外しできる乳首は聞いたことないなぁ」
「あたし、もしかしたら地球人じゃないのかな」
「可能性はあるかも知れないな」
「ウサミン星人は取れるのかな?」
「それは菜々に聞かないとわからないなぁ」
「聞いてきてよ」
「ちょっと待ってろ」
モバPはレッスン場へ向かいました。
「取り外しできる乳首は聞いたことないなぁ」
「あたし、もしかしたら地球人じゃないのかな」
「可能性はあるかも知れないな」
「ウサミン星人は取れるのかな?」
「それは菜々に聞かないとわからないなぁ」
「聞いてきてよ」
「ちょっと待ってろ」
モバPはレッスン場へ向かいました。
8: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:58:17.50 :/P3BZDh50
そして、10分後。
「おかえり、プロデューサー」
「おう」
「どうだった?」
「取れないって、菜々さん言ってた」
「菜々さんなら間違いないね」
「おう」
「プロデューサー、ほっぺた赤いよ」
そして、10分後。
「おかえり、プロデューサー」
「おう」
「どうだった?」
「取れないって、菜々さん言ってた」
「菜々さんなら間違いないね」
「おう」
「プロデューサー、ほっぺた赤いよ」
9: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:58:43.96 :/P3BZDh50
「殴られた」
「菜々さんに?」
「おう」
「ごめんね」
「いや、それは別にいいよ」
「ありがとう」
「地球人もウサミン星人も乳首は取れないとわかったが、どういうことなんだ」
「あたしにもわからない」
「殴られた」
「菜々さんに?」
「おう」
「ごめんね」
「いや、それは別にいいよ」
「ありがとう」
「地球人もウサミン星人も乳首は取れないとわかったが、どういうことなんだ」
「あたしにもわからない」
10: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:59:10.88 :/P3BZDh50
「よし、もう一度整理してみよう」
「うん」
「状況を説明してくれ」
「誰もお山に登らせてくれないから、自分のお山を登っていたんだよ、毎日」
「ふむ、そこまではさっきも聞いた」
「それで、今日もいつものように登ろうとしたらね」
「うん」
「乳首が取れた」
「よし、もう一度整理してみよう」
「うん」
「状況を説明してくれ」
「誰もお山に登らせてくれないから、自分のお山を登っていたんだよ、毎日」
「ふむ、そこまではさっきも聞いた」
「それで、今日もいつものように登ろうとしたらね」
「うん」
「乳首が取れた」
11: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/23(金) 23:59:38.07 :/P3BZDh50
「よし、わからん」
「地球人もウサミン星人も乳首は取れないんだよね」
「そうだな」
「ウサミン星人には聞いたんだよね」
「おう。菜々にな」
「地球人には?」
「……それは盲点だったな」
「聞いてくる?」
「よし、わからん」
「地球人もウサミン星人も乳首は取れないんだよね」
「そうだな」
「ウサミン星人には聞いたんだよね」
「おう。菜々にな」
「地球人には?」
「……それは盲点だったな」
「聞いてくる?」
12: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:00:09.33 :Ya+UTVVe0
「ああ、ちょっと待ってろ」
「どこ行くの?」
「この時間なら……美波がボイストレーニング中かな」
「いってらっしゃい」
「おう、行ってくる」
モバPはトレーニングルームへ向かいました。
「ああ、ちょっと待ってろ」
「どこ行くの?」
「この時間なら……美波がボイストレーニング中かな」
「いってらっしゃい」
「おう、行ってくる」
モバPはトレーニングルームへ向かいました。
13: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:00:33.20 :Ya+UTVVe0
そして、10分後。
「愛海、絆創膏持ってないか」
「あるよ、ほら」
「ありがとう」
「どうしたの?」
「ものすごいジャンプからきれいな弧を描いて蹴られた」
「美波さんに?」
「アーニャに」
そして、10分後。
「愛海、絆創膏持ってないか」
「あるよ、ほら」
「ありがとう」
「どうしたの?」
「ものすごいジャンプからきれいな弧を描いて蹴られた」
「美波さんに?」
「アーニャに」
14: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:00:59.28 :Ya+UTVVe0
「ああ」
「うん、仕方ないな」
「蹴られただけで済んだならね」
「そうだな、その通りだ」
「きれいだったの?」
「きれいだった。通りすがりの南条が見とれてたよ」
「ジャンプキックを見慣れている光ちゃんが見とれるなんて、本物だね」
「おう、アクションにも挑戦させたいな」
「ああ」
「うん、仕方ないな」
「蹴られただけで済んだならね」
「そうだな、その通りだ」
「きれいだったの?」
「きれいだった。通りすがりの南条が見とれてたよ」
「ジャンプキックを見慣れている光ちゃんが見とれるなんて、本物だね」
「おう、アクションにも挑戦させたいな」
15: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:01:26.49 :Ya+UTVVe0
「乳首の謎は残ったね」
「そうだな、謎は未解明だな」
「ねえ、プロデューサー」
「うん」
「乳首のないあたしでも、アイドル続けられるのかな」
「……何言いだすんだ、お前」
「だって、あたしの乳首、取れちゃったんだよ? 乳首のとれるアイドルなんて聞いたことないよ」
「いないってのは、やっちゃいけないって意味じゃない」
「乳首の謎は残ったね」
「そうだな、謎は未解明だな」
「ねえ、プロデューサー」
「うん」
「乳首のないあたしでも、アイドル続けられるのかな」
「……何言いだすんだ、お前」
「だって、あたしの乳首、取れちゃったんだよ? 乳首のとれるアイドルなんて聞いたことないよ」
「いないってのは、やっちゃいけないって意味じゃない」
16: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:01:58.63 :Ya+UTVVe0
「だって、だって」
「なあ、愛海。俺には、乳首がとれるお前の気持ちはわからないかもしれない。しかしなあ、アイドルを頑張っているお前は本物だ」
「プロデューサー……」
「なあ、愛海」
「うん。なんだか吹っ切れたような気がする。プロデューサー、あたし、頑張るよ」
「そうだ、その意気だ。乳首なんてアイドルに関係ないことを証明してやれ」
「うん!」
「おっと、だけど、一つ約束してくれ」
「だって、だって」
「なあ、愛海。俺には、乳首がとれるお前の気持ちはわからないかもしれない。しかしなあ、アイドルを頑張っているお前は本物だ」
「プロデューサー……」
「なあ、愛海」
「うん。なんだか吹っ切れたような気がする。プロデューサー、あたし、頑張るよ」
「そうだ、その意気だ。乳首なんてアイドルに関係ないことを証明してやれ」
「うん!」
「おっと、だけど、一つ約束してくれ」
17: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:02:26.81 :Ya+UTVVe0
「なに?」
「もうセルフ登山は止めるんだ」
「え」
「右の乳首まで無くしてしまうわけには行かないだろう」
「そっか……でも、寂しいな」
「寂しいか」
「他の人のお山はやっぱりダメなんでしょう?」
「そうだな、アイドルのお山はな」
「なに?」
「もうセルフ登山は止めるんだ」
「え」
「右の乳首まで無くしてしまうわけには行かないだろう」
「そっか……でも、寂しいな」
「寂しいか」
「他の人のお山はやっぱりダメなんでしょう?」
「そうだな、アイドルのお山はな」
18: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:02:53.54 :Ya+UTVVe0
「アイドルで、無ければ?」
「なに?」
「たとえば……」
「いや、皆まで言うな。たしか、ちひろさんが受付にいたな……ちょっと待ってろ」
モバPは受付へ向かいました。
「アイドルで、無ければ?」
「なに?」
「たとえば……」
「いや、皆まで言うな。たしか、ちひろさんが受付にいたな……ちょっと待ってろ」
モバPは受付へ向かいました。
19: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:03:21.04 :Ya+UTVVe0
そして、10分後。
「すまん、やっぱダメだって」
「そっか。ところで、救急車呼ぶ?」
「あ、いや、このくらいの怪我なら大丈夫だ」
「すごいね」
「ありがとう。……まあ、というわけで、セルフ登山は禁止、替わりのお山も無しだ」
「……うー」
「だがな、愛海。お前が何か大きな仕事を成功させると、登山を考えてもいいってちひろさんが」
そして、10分後。
「すまん、やっぱダメだって」
「そっか。ところで、救急車呼ぶ?」
「あ、いや、このくらいの怪我なら大丈夫だ」
「すごいね」
「ありがとう。……まあ、というわけで、セルフ登山は禁止、替わりのお山も無しだ」
「……うー」
「だがな、愛海。お前が何か大きな仕事を成功させると、登山を考えてもいいってちひろさんが」
20: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:04:13.23 :Ya+UTVVe0
「え、本当!?」
「ただし、本当に大きな仕事だし、そんなにたくさんは困ると」
「うん、わかった。それは我慢するよ、多分」
「そうか、わかってくれたか」
「うん、セルフ登山は我慢我慢」
「おう、頑張ろうな」
「我慢我慢」
二人は一緒に頑張ろうと、改めて誓ったのでした。
「え、本当!?」
「ただし、本当に大きな仕事だし、そんなにたくさんは困ると」
「うん、わかった。それは我慢するよ、多分」
「そうか、わかってくれたか」
「うん、セルフ登山は我慢我慢」
「おう、頑張ろうな」
「我慢我慢」
二人は一緒に頑張ろうと、改めて誓ったのでした。
21: ◆NOC.S1z/i2:2018/03/24(土) 00:04:57.04 :Ya+UTVVe0
その数日後。
モバPが事務所に入ると、愛海がソファに浅く腰掛けていました。
愛海は、テーブルの上に置かれた何かの塊を一心不乱に見つめています。
「……愛海?」
「登山はね、我慢してたんだよ?」
「おう」
「……」
「愛海?」
「陰毛、全部抜けちゃった」
「そっち方面に行ったかぁ」
終われ
その数日後。
モバPが事務所に入ると、愛海がソファに浅く腰掛けていました。
愛海は、テーブルの上に置かれた何かの塊を一心不乱に見つめています。
「……愛海?」
「登山はね、我慢してたんだよ?」
「おう」
「……」
「愛海?」
「陰毛、全部抜けちゃった」
「そっち方面に行ったかぁ」
終われ