m9

ドーン

お前ら絶対喪黒の約束守らずに報復されるだろ

―自宅―

ｶﾞﾀﾝｺﾞﾄﾝ…　ﾌﾟｵｰﾝｯ

一郎「……」ｲﾗｲﾗ

一郎「あーもう、うるさい！　しょっちゅう電車が通って勉強に集中できない！」

一郎「父さん、なんでもっと静かな場所に家建てなかったんだよ！」

父「しょうがないだろ。安かったんだから」

一郎「これじゃちっとも勉強できないよ！　この年で自分の部屋すらないし！」

父「そんなことないだろ。集中してれば、どんな環境でだって勉強できるはずだ」

父「昔の人は雪明かりや蛍の光でも勉強できたというし……」

一郎「もういいよ！」

一郎（家じゃ勉強できない。外に出かけるか）

一郎「母さん、参考書買うから金ちょうだい」

母「家のローンもまだ終わってないのに、そんなお金あるわけないでしょ」

一郎「ええっ！？」

母「それに参考書なんて現役の頃使ってたのを使えばいいじゃない」

一郎「参考書はすぐ古くなっちゃうんだよ。最新のじゃなきゃ意味がないんだ」

母「とにかく、お金は出せないわ。いっとくけど、二浪なんて許さないからね」

一郎「うぐ……」

―カフェ―

一郎「コーヒー一つ」

店員「かしこまりました」

一郎（カフェで勉強してみても……）

一郎「……」ｶﾘｶﾘ

ﾜﾊﾊﾊ…　ｵﾎﾎﾎ…　ﾜｲﾜｲ…

一郎（今日は客が多くて騒がしい……くそっ、これじゃ集中できない！）

一郎（もっといい家に生まれてたら、こんなことには……）

一郎「ん？」

学生「今度海外旅行行くんだ。一ヶ月ぐらいヨーロッパを楽しんでくるよ」

女学生A「へぇ～、すごーい！」

女学生B「だけど単位大丈夫なの？」

学生「留年しちゃうだろうなぁ。だけど親は一年や二年留年したっていいっていってくれてるし」

学生「どうせ将来的には親の会社継ぐからね。就職にも困ることはないんだ」

女学生A「わっ、素敵～！」

女学生B「親ガチャ大当たりってやつね！」

ｷｬｯｷｬｯ



一郎「……」ｲﾗｲﾗ

一郎（親ガチャか……俺は大外れだな）

一郎（あんな恵まれた奴がいる一方、参考書すら買えない俺がいる。世の中不公平だ）

一郎（やってやれるか！　とっととコーヒー飲んで出よう！）ｸﾞﾋﾞｯ

喪黒「あ、それ私のコーヒーです」

一郎「ぶっ！　うわあっ！？」

喪黒「これは失礼、驚かせてしまいましたね」

一郎「なんだあんた……いつの間に隣に……」

喪黒「わたくし、こういう者です」ｻｯ

一郎「ココロのスキマお埋めします……？」

喪黒「はい、あなたを見ていたら、どうも心が満たされていないようでしたので」

喪黒「お近づきになりたくて、ついお隣に座ってしまいました」

一郎「はぁ……」

喪黒「いかがです？　場所を変えてちょっとお話ししませんか？」

一郎「うーん、たまには気分転換もいいかな。お付き合いしますよ」

―BAR魔の巣―

マスター「……」ｷｭｯｷｭｯ

喪黒「どうです。ここ私の行きつけなんです」

一郎「落ちついた雰囲気で、いいお店ですね」

喪黒「オッホッホ、ありがとうございます」

喪黒「あなたは未成年のようですから、今日はソフトドリンクで乾杯といきましょうか」

一郎「はい」

喪黒「なるほど、親ガチャに外れたせいで受験に苦しんでいると」

一郎「そうなんです。家は騒音でうるさいし、金がないおかげで予備校通いどころか参考書すら買えない」

一郎「こんな環境じゃ、大学合格なんてできっこありませんよ」

一郎「一方、親に恵まれたおかげで努力しなくても何でも手に入る奴もいる……」

一郎「こんなの不公平だと思いませんか！？」

喪黒「おっしゃる通りです。特に受験勉強は長く険しい戦い、周囲のサポートが不可欠です」

喪黒「環境に恵まれなければ、いい結果を出すことはなかなか難しいでしょう」

一郎「そうでしょう、全部親のせいです！」

ほ

一郎「はぁ……親ガチャが当たってれば、快適に勉強して浪人なんかせず一流大学に入れたのに……」

一郎「このままじゃまた大学落ちて、就職活動するはめに……」

喪黒「いい両親に恵まれさえすれば、大学に合格できるというのですね？」

一郎「そりゃもう！　どんな大学だって入れますよ！」

喪黒「よろしい。ではあなたに素晴らしい環境をご提供しましょう」

一郎「へ？」

喪黒「明日、このメモの場所に来て下さい。あなたのご要望叶えて差し上げます」

一郎「はぁ……」

こういうSSが毎日投稿されてたのが昔のVIPなんだよなあ

オーッホッホ期待

次の日――

一郎（喪黒さんに渡されたメモの通りの場所にやってきたけど……）

喪黒「お待たせしました」

一郎「あ、喪黒さん」

喪黒「ご案内します。ささ、どうぞ」

一郎「一体どこへ行くんです？」

喪黒「あなたの新しい両親の場所です」

一郎「？　なにいってんです？」

喪黒「あの家です」

一郎「え……」

一郎（大きい……大豪邸じゃないか！）

喪黒「ではお入り下さい」

一郎「じゃあインターホンを……」

喪黒「そんなの押す必要はありませんよ」

一郎「いや、でも……」

喪黒「なぜなら、あなたはもうこちらの家の息子さんなのですから」

一郎「えええ……？」

一郎「お邪魔します……」ｶﾞﾁｬｯ

新父「お帰り、一郎」

新母「お帰りなさい、一郎」

一郎「！？」

新父「私たちはお前の受験勉強を全力でサポートするつもりだ」

新母「そのために最高の環境を用意したわ。ほら、来て」

一郎「は、はい」

新母「ここがあなたの部屋よ」

一郎「広い……！　それに景色もいい……」

新父「なにしろ最上階だからなぁ、ハッハッハ」

一郎「本棚には参考書がいっぱい！」

新母「もちろん、全部最新のものよ」

新父「それだけじゃない。この部屋は防音になってるから外の雑音などまず入ってこない」

新父「さらに最高の音楽プレーヤーを用意してるから、好きな曲を聴きながら勉強することができる」

新母「あなたが望めば、いくらでも家庭教師を雇うことも、予備校に通うこともできるわ」

一郎「すごい、すごいや！」

支援

このシリーズ久し振りに観たよ

一郎「ありがとうございます！」

新父「おいおい、敬語などよしてくれ。私たちは家族じゃないか」

新母「そうよ」

一郎「そうだね。父さん母さん、ありがとう！」

新父「いいんだよ、これぐらいお安いご用さ」

新母「私たち、あなたが大学に合格するためなら何でもするわ！」

一郎（本物の親とは大違いだ！　そうだよ、受験生の親ってのはこうあるべきなんだ！）

新母「一郎、ご飯よ」

一郎「え、ご飯までいただけるんですか？」

新母「そりゃそうよ。私たち家族なんだから」

新父「母さんは料理もプロ級だからな」

新母「まあ、おだてちゃって！」

一郎「（どれもおいしそうだ……）いただきまーす！」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

一郎「うん、おいしい！」

新母「一郎の口にあってよかったわ！」

SSスレまじで久しぶりに見た
生きてたんだな

>>4
言っておくが喪黒は約束を破らなかったり相手が何の落ち度もないような奴でも
無理矢理酷い目に合わせてくるからな

生の生きてるSsじゃん。VIP3年目で多分初めてだわ

一郎「勉強頑張らなくちゃ……」ｶﾘｶﾘ

喪黒「いかがですか？　新しいご両親は？」

一郎「最高ですよ！　しかし、家に連絡しなくて大丈夫なのかなぁ」

喪黒「その点はご心配なく。ちゃんと話はつけてありますから」

一郎「それを聞いて安心しました」

喪黒「しかし、一つだけ約束して下さい」

一郎「なんでしょう？」

喪黒「彼らはあくまであなたを大学合格に導くための両親です」

喪黒「くれぐれもサボったりせず、しっかり勉強して下さいね」

一郎「もちろんです！　これだけ恵まれた環境を与えられてサボるなんてありえませんよ！」

……

一郎（いい曲を聴きながら、最新の参考書で勉強する）

一郎（はかどるなぁ～）

ｶﾘｶﾘ…　ｶﾘｶﾘ…



新父「一郎、どうだ勉強は？」

一郎「バッチリ。一ヶ月後の模試が楽しみだよ」

新母「じゃ、今夜は高級お肉のステーキよ。精をつけてね」

一郎「わっ、すごい！」

一郎「あー……疲れた」

一郎「わっ、マッサージチェアもあるのか！　使っちゃおう！」

ｺﾞｳﾝｺﾞｳﾝ…



一郎「お風呂も大きいや！」

一郎「よーし、上がったらもうひとふんばりするぞー！」

ｻﾞﾌﾞﾝ…

……

一郎「……」ｶﾘｶﾘ

一郎（ふぅ、今日もだいぶやったな）

一郎（だけど、いくら環境がよくても、こう毎日勉強勉強じゃ流石に気が滅入る）

一郎（たまには息抜きしたいけど……）

……

一郎「あ、あのさ母さん」

新母「なあに？」

一郎「ちょーっと息抜きにゲームをやりたくてさ……お金を……」

新母「たまには息抜きも必要だものね。もちろんいいわよ」

一郎「ありがとう、母さん！」

一郎「……」ｶﾁｶﾁｯ

一郎（さすが最新のゲーム……おもしれー）

一郎「しまった、今日は一日中ゲームやっちゃった」

一郎（まあいいだろ、たまには……。ずっと勉強して体壊したら意味ないもんな）

……

一郎「ちょっと出かけてくるからお金ちょうだい」

新母「いいけど、何に使うの？」

一郎「部屋にもない参考書をどうしても欲しくてさ……」

一郎（なーんて、ホントは遊び歩いてくるだけだけど……なあに、気分転換さ）

見てる

……

一郎「買っちゃったー、最新のゲーム機！」

一郎（もう全然勉強してないけど、かまやしないよな）

一郎（だって、こんな恵まれた環境で両親に甘えなかったらそれこそアホだ！）

一郎（なあに、あの両親ならきっと、俺が頼めば裏口入学だってさせてくれそうだし……）

喪黒「約束破りましたね」

一郎「！　も、喪黒さん！」

喪黒「あなたは親ガチャさえ当たれば、自分はしっかり勉強できるとおっしゃってました」

喪黒「しかし、これはどういうことですか？　とても勉強してるようには見えませんが」

一郎「ち、違うんです！　後でちゃんとやるつもりで……」

喪黒「嘘おっしゃい。残念ながらこうなってしまっては、もうどうすることもできません」

一郎「あ……ああ、あ……」

喪黒「ドーン！！！」





一郎「うぎゃああぁぁぁぁぁっ！！！」



あぁぁぁぁぁ……

ゾーーーーーーン

……

…………

一郎「ただいまー」

新父「……」

新母「……」

一郎「あれ？　どうしたんだい二人とも、怖い顔して」

新父「一郎、これはどういうことだ」

一郎「それは……模試の成績！」

新母「ひどい成績じゃない！　あんた本当に勉強してたの！？」

一郎「もちろんしてたよ……」

新母「してたのになんでこんな点数なのよ！」

一郎「！」ﾋﾞｸｯ

新父「どの教科もひどいもんだ！　こんなんじゃ入れる大学なんてないぞ！」

一郎「ご、ごめんなさ……」

新母「ごめんで済んだら誰も受験勉強で苦労しないわよッ！」

あーあ

新父「俺たちがこれだけいい環境を整えてやってるのに、こんなふざけた成績取りやがって！」

新母「そうよ！」

一郎「ちょ、ちょっと待っ……」

新父「許さんッ！」

新母「許さないッ！」

一郎「ひいっ！」ﾀﾞｯ

新父「待てェ！」

新母「待ちなさい！」

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ…　ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ…

新父「自分の部屋に逃げ込んだが、もう逃げられんぞ……」

新母「覚悟なさい！」

一郎「あ……あああ……」

新父「出来の悪い我が子に制裁を！」

新母「制裁を！」

一郎（捕まったら、何されるか分からない……！）

一郎（そうだ、窓から逃げれば！）

ｶﾞﾁｬｯ

一郎「あ……」

一郎（ここは……最上階……）

一郎「うわあああああああっ……！　父さん！　母さぁん……！」



…………

……

ﾋﾟｰﾎﾟｰ…　ﾋﾟｰﾎﾟｰ…

ﾜｲﾜｲｶﾞﾔｶﾞﾔ…　ｻﾞﾜｻﾞﾜﾄﾞﾖﾄﾞﾖ…

ﾅﾝﾀﾞﾅﾝﾀﾞ…　ﾋﾄｶﾞｵﾁﾀﾝﾀﾞｯﾃ…　ｳﾜｰ…





喪黒「おやおや……大学に落ちるどころか、自分の体が落ちてしまうとは……」

喪黒「せっかく素晴らしい両親を用意したのに残念な結果になってしまいました」

喪黒「それにしても、“親ガチャ”ですか」

喪黒「たしかに自分の生まれた環境に不満を持つお気持ちは分かります」

喪黒「しかし、それも程々にしておきませんと、こうして大ハズレな目にあってしまうんですねえ」

喪黒「オ～ッホッホッホッホッホ……」







―おわり―

くぅ～乙
次書くときは笑うセールスマン以外の題材にしてくれ

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　　　　 　 　 　 　 　 　 　 (,ﾟДﾟ,) 　　超良スレ>>1乙！
　　 　 　 　 　 　 　 　 　　ＵθＵ
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　(　　　)(　　　) オオオ！！！！（　　　)(　　　)(　　　）(
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