1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 19:38:49.50 :OC8luprgO
はじめに
ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くスレです。全て地の文で進行します。
実在の店にウマ娘とトレーナーが行き食レポします。店ごとに食べるウマ娘は変わります。
ウマ娘の口調などはうろ覚えなので、その点ご容赦下さい。
なお、レギュラーの専属ウマ娘を最初に設定します。
下1~5でコンマが最も大きいものとします。よろしくお願いいたします。
はじめに
ウマ娘とトレーナーがラーメンを食べに行くスレです。全て地の文で進行します。
実在の店にウマ娘とトレーナーが行き食レポします。店ごとに食べるウマ娘は変わります。
ウマ娘の口調などはうろ覚えなので、その点ご容赦下さい。
なお、レギュラーの専属ウマ娘を最初に設定します。
下1~5でコンマが最も大きいものとします。よろしくお願いいたします。
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 19:41:53.52 :coRSnfui0
サクラバクシンオー
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 19:43:20.12 :83HBnB5Uo
ファインモーション
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 20:01:46.22 :IoaNE9Z5o
ファインモーション
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 20:07:25.24 :c6m6yTm70
エイシンフラッシュ
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 20:10:51.22 :xVquxxpno
ダイワスカーレット
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 21:27:01.46 :OC8luprgO
ではサクラバクシンオーとします。
続いてトレーナーを設定します。
下1~3でコンマの最も大きいものを採用します。
ではサクラバクシンオーとします。
続いてトレーナーを設定します。
下1~3でコンマの最も大きいものを採用します。
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 21:27:28.29 :OC8luprgO
上げ忘れました。
上げ忘れました。
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 21:30:52.73 :IoaNE9Z5o
メッチャ鍛えてて生身でウマ娘と渡り合える系
チートデイ(どか食いしていい日)はラーメン一択のラーメン狂でもある
チートデイ(どか食いしていい日)はラーメン一択のラーメン狂でもある
10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 21:47:33.25 :TYP145p50
大人しく無口だが、聞き上手で色んなタイプの人と仲良くできるタイプ
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 22:14:17.70 :B29ip7ato
ノリのいい[ピザ]
12:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 22:23:42.01 :OC8luprgO
では>>9で決定します。
初回まで少々お待ちください。
では>>9で決定します。
初回まで少々お待ちください。
13:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 22:24:34.77 :IoaNE9Z5o
おつ
きたい
おつ
きたい
14:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 22:44:34.05 :OC8luprgO
トレセン学園の朝は早い。
ウマ娘にとって、トレーニングは早朝に行うものだ。朝露が落ちる前から彼女たちはダートを、ウッドチップを、そして坂路を駆ける。
午前6時ともなれば、薄闇の中に彼女たちの靴音……もとい、蹄鉄の音が響き渡る。
そして大抵のウマ娘は、静かに、そして精一杯走るものだ。そう、大抵の場合は。
バクシンバクシン……
バクシンバクシンバクシンバクシン………
坂の下から、その声は段々と近く、大きくなる。そして。
「バックシーン!!」
得意気な、満面の笑顔とともに、彼女は私の前を通り過ぎていった。タイムは……52秒2。良い。
「どうでしたか!トレーナーさんっ!!」
ピコピコと尻尾を揺らしながら、彼女は小走りで駆け寄ってきた。
「素晴らしいぞ。恐らくは今日1のタイムだ」
「ワッハッハ!!そうでしょう、そうでしょう!!なぜなら、私は学級委員長ですからっ!!」
彼女……サクラバクシンオーは両手を腰に当て、胸をそらして笑う。いつも通り、元気で結構。
「うむ。君の毎日の鍛練の成果だ。もっとも、無理は禁物だぞ。オーバートレーニングほど、良くないものはない。
坂路練習の後は丁寧なストレッチとクールダウンだ。水分補給をした上で、食堂に来たまえ。朝食を用意してある」
「はいっ!!トレーナーさんの朝ごはん、楽しみですっ!!」
バクシンオーはそう言うと、またハッハッハと元気に笑い始めた。
手元のメモに視線を落とす。……次のレースまで、あと3週間か。
彼女は元気そうだが、少々無理をさせている自覚はある。体重も、ベストより少し落ちている。
これは……そろそろだな。
トレセン学園の朝は早い。
ウマ娘にとって、トレーニングは早朝に行うものだ。朝露が落ちる前から彼女たちはダートを、ウッドチップを、そして坂路を駆ける。
午前6時ともなれば、薄闇の中に彼女たちの靴音……もとい、蹄鉄の音が響き渡る。
そして大抵のウマ娘は、静かに、そして精一杯走るものだ。そう、大抵の場合は。
バクシンバクシン……
バクシンバクシンバクシンバクシン………
坂の下から、その声は段々と近く、大きくなる。そして。
「バックシーン!!」
得意気な、満面の笑顔とともに、彼女は私の前を通り過ぎていった。タイムは……52秒2。良い。
「どうでしたか!トレーナーさんっ!!」
ピコピコと尻尾を揺らしながら、彼女は小走りで駆け寄ってきた。
「素晴らしいぞ。恐らくは今日1のタイムだ」
「ワッハッハ!!そうでしょう、そうでしょう!!なぜなら、私は学級委員長ですからっ!!」
彼女……サクラバクシンオーは両手を腰に当て、胸をそらして笑う。いつも通り、元気で結構。
「うむ。君の毎日の鍛練の成果だ。もっとも、無理は禁物だぞ。オーバートレーニングほど、良くないものはない。
坂路練習の後は丁寧なストレッチとクールダウンだ。水分補給をした上で、食堂に来たまえ。朝食を用意してある」
「はいっ!!トレーナーさんの朝ごはん、楽しみですっ!!」
バクシンオーはそう言うと、またハッハッハと元気に笑い始めた。
手元のメモに視線を落とす。……次のレースまで、あと3週間か。
彼女は元気そうだが、少々無理をさせている自覚はある。体重も、ベストより少し落ちている。
これは……そろそろだな。
15:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 22:57:54.83 :OC8luprgO
*
彼女が食事に出ている間は、私のトレーニングの時間だ。
「1、2、3……」
レッグプレス、ベンチプレス、スクワットマシーン……決められた負荷で、決められた回数を忠実にこなす。
そして、決められた時間を休み、決められた分量の水分とプロテインを採る。
これが私の、日々のルーティーンだ。
彼女にレースがあるように、私にもコンテストがある。これは、そのために筋肉を育てる重要なプロセスだ。
1日たりとも休んではならない。盆栽が日々の手入れを必要とするように、筋肉もまた日々丁寧に手入れをしなければならない。
それは、日々走ることを求められている、ウマ娘と同じだ。私の生業は、彼女たちのそれと、とても、とても良く似ている。
だから、私はトレーナーになったのだ。
私は天王寺定光。
世界で最もストイックで、最も苦しく、最も美しいスポーツ……ボディービルディングに生涯を捧げた男だ。
*
彼女が食事に出ている間は、私のトレーニングの時間だ。
「1、2、3……」
レッグプレス、ベンチプレス、スクワットマシーン……決められた負荷で、決められた回数を忠実にこなす。
そして、決められた時間を休み、決められた分量の水分とプロテインを採る。
これが私の、日々のルーティーンだ。
彼女にレースがあるように、私にもコンテストがある。これは、そのために筋肉を育てる重要なプロセスだ。
1日たりとも休んではならない。盆栽が日々の手入れを必要とするように、筋肉もまた日々丁寧に手入れをしなければならない。
それは、日々走ることを求められている、ウマ娘と同じだ。私の生業は、彼女たちのそれと、とても、とても良く似ている。
だから、私はトレーナーになったのだ。
私は天王寺定光。
世界で最もストイックで、最も苦しく、最も美しいスポーツ……ボディービルディングに生涯を捧げた男だ。
16:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 23:22:41.57 :OC8luprgO
ピピピピ…………
タイマーの音が鳴った。そろそろ、バクシンオーが戻ってくる頃だろう。
私はシャワーを手早く済ませ、汗を流し落とす。そして制汗剤を吹き掛け、軽く香水を付ける。
バクシンオーは大雑把な性格だが、それでも年頃の娘だ。漢の汗の臭いで、不快にさせてはいけない。
「バックシーン!!トレーナーさんっ、ただいま戻りました!!」
「うむ。食事は全部食べられたかな」
「花丸、ですっ!!」
満足そうに笑う彼女を見てホッとする。万事トラブルなし、良いことだ。
「そうか、なら良かった。時に、今晩は予定があるかな?」
「予定、ですか?」
「そうだ。君の体重は、少々落ちている。私も、そろそろ動かねばなら……」
「ハワワワワ!!デートのお誘いですか!?いかにトレーナーさんでも、不純異性交遊はいかがなものかと……」
顔を真っ赤にしながら慌てるバクシンオーに、私は苦笑した。
「話は最後まで聞きたまえ。君も私とはそれなりに長い付き合いだろう。月に1度の、あれだよ」
「アレ、ですか?」
バクシンオーの頭上に、?が幾つも浮かんでいるのが見えるようだ。
「そうだ。『チートデイ』だよ」
「ちーとでい?」
私は軽く溜め息をついた。彼女は走ることにおいては非常に優秀で、文句のない優等生なのだが、残念なことに物覚えはあまり良くはない。
「そうだ。いい加減覚えてほしいものだが……。
トレーニングをしていると、身体がそれに慣れてしまう。そして的確な栄養素を採っていても、身体がそれを当然のものと感じてしまうようになる。
だから、定期的に好きなものを、思い切り食べて、身体を『自分は不健康だ』と騙すのだよ。そうすることで、トレーニングの効果は高まるのだ。
その、何でも食べていい日こそ『チートデイ』だ。私と君の場合、それは月1回だな」
「はわー。良く分かりませんが、とてもいい日なのですね!!でも、普段からトレーナーさんは考えて美味しい食事を準備してますよね?」
「健康にいいだけで不味い食事ほど害悪はないからな。ストレスを感じさせないよう、そこは考えて作っている。
だが、どんなに美味くしようとしても、栄養素に配慮している以上限界はある。美味いものは健康に悪い。それは悲しいが真実だ。
故に、チートデイでは極力健康に悪いものを食う必要がある。炭水化物、塩分、脂分……多量のそれを摂取できる、最も効率が良く、かつ美味く、しかも安価な食事……それを食べに行こう」
「ハイッ!!で、何を食べるのですか?」
私はニヤリと笑う。……そう、誰より私自身、この日を待ち望んでいたのだ。
「決まっているだろう、ラーメンだよ」
ピピピピ…………
タイマーの音が鳴った。そろそろ、バクシンオーが戻ってくる頃だろう。
私はシャワーを手早く済ませ、汗を流し落とす。そして制汗剤を吹き掛け、軽く香水を付ける。
バクシンオーは大雑把な性格だが、それでも年頃の娘だ。漢の汗の臭いで、不快にさせてはいけない。
「バックシーン!!トレーナーさんっ、ただいま戻りました!!」
「うむ。食事は全部食べられたかな」
「花丸、ですっ!!」
満足そうに笑う彼女を見てホッとする。万事トラブルなし、良いことだ。
「そうか、なら良かった。時に、今晩は予定があるかな?」
「予定、ですか?」
「そうだ。君の体重は、少々落ちている。私も、そろそろ動かねばなら……」
「ハワワワワ!!デートのお誘いですか!?いかにトレーナーさんでも、不純異性交遊はいかがなものかと……」
顔を真っ赤にしながら慌てるバクシンオーに、私は苦笑した。
「話は最後まで聞きたまえ。君も私とはそれなりに長い付き合いだろう。月に1度の、あれだよ」
「アレ、ですか?」
バクシンオーの頭上に、?が幾つも浮かんでいるのが見えるようだ。
「そうだ。『チートデイ』だよ」
「ちーとでい?」
私は軽く溜め息をついた。彼女は走ることにおいては非常に優秀で、文句のない優等生なのだが、残念なことに物覚えはあまり良くはない。
「そうだ。いい加減覚えてほしいものだが……。
トレーニングをしていると、身体がそれに慣れてしまう。そして的確な栄養素を採っていても、身体がそれを当然のものと感じてしまうようになる。
だから、定期的に好きなものを、思い切り食べて、身体を『自分は不健康だ』と騙すのだよ。そうすることで、トレーニングの効果は高まるのだ。
その、何でも食べていい日こそ『チートデイ』だ。私と君の場合、それは月1回だな」
「はわー。良く分かりませんが、とてもいい日なのですね!!でも、普段からトレーナーさんは考えて美味しい食事を準備してますよね?」
「健康にいいだけで不味い食事ほど害悪はないからな。ストレスを感じさせないよう、そこは考えて作っている。
だが、どんなに美味くしようとしても、栄養素に配慮している以上限界はある。美味いものは健康に悪い。それは悲しいが真実だ。
故に、チートデイでは極力健康に悪いものを食う必要がある。炭水化物、塩分、脂分……多量のそれを摂取できる、最も効率が良く、かつ美味く、しかも安価な食事……それを食べに行こう」
「ハイッ!!で、何を食べるのですか?」
私はニヤリと笑う。……そう、誰より私自身、この日を待ち望んでいたのだ。
「決まっているだろう、ラーメンだよ」
17:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 23:24:55.01 :OC8luprgO
以上、プロローグ終わりです。
ゲストキャラを1人決定します。下1~3で、最もコンマが大きいものとします。
決定後、ラーメンのジャンルを決めて本日は終了です。
以上、プロローグ終わりです。
ゲストキャラを1人決定します。下1~3で、最もコンマが大きいものとします。
決定後、ラーメンのジャンルを決めて本日は終了です。
18:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 23:28:25.48 :83HBnB5Uo
オグリキャップ
19:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 23:30:13.95 :TYP145p50
ライスシャワー
20:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/19(日) 23:30:43.05 :Io0fTeMDO
ハルウララ
21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/20(月) 00:00:37.37 :ASFNLDnCO
ゲストキャラはライスシャワーです。
ラーメンのジャンルを決めます。
下1~3で最もコンマの大きいものとします。
ゲストキャラはライスシャワーです。
ラーメンのジャンルを決めます。
下1~3で最もコンマの大きいものとします。
22:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/20(月) 00:10:40.21 :rKom41EUo
二郎系
23:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/20(月) 00:13:21.87 :IwJvJv9Zo
アッサリ目のやつ
24:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/20(月) 00:17:07.34 :5WAAH2rl0
富山ブラック
25:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/20(月) 00:23:43.22 :ASFNLDnCO
ではあっさり淡麗系とします。
初回ということもあり、まずはメジャーな店とします。ヒントはミシュランです。
ではあっさり淡麗系とします。
初回ということもあり、まずはメジャーな店とします。ヒントはミシュランです。
26:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/20(月) 00:26:08.31 :IwJvJv9Zo
おつ
きたい
おつ
きたい
27:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/23(木) 22:01:11.75 :5sgTx3NQO
*
「お待たせしました!!」
いつものデニムの上に薄手のコートを羽織い、バクシンオーが小走りに駆けてきた。年の瀬で夜はかなり冷えるのだが、それでも短パンは崩さないのが彼女らしい。
「うむ。では行くか……!?」
学園を出ようとすると、門の前に女性2人がいるのが見えた。
1人は身長165cmほどで、困惑した表情を浮かべている。そして、あの小柄なウマ娘は……しかも、しくしくと泣いている。……これはどうしたことか。
「ごめんなさい……!!ライスのせいで、折角のお祝いが……」
「いや、ライスのせいじゃないわよ。今日は運が悪かっ」
「違うの!ライスが、またお姉さまに不幸を……」
あれはライスシャワーと、担当トレーナーの三田村嬢か。少し話を聞k
「どうしたのですか!?ライスさん!」
私が話しかけようとする前に、バクシンオーがいつもの調子で彼女たちに訊いた。相変わらず、判断が速い。
「あ……バクシンオーさん……」
「困ったことがあったらなんでも言ってください!学級委員長ですからっ!!」
しょぼんとうつむくライスに代わり、三田村嬢が答える。
「あ……今日は私の誕生日だったの。それで、ライスと2人でちょっと贅沢しようと思ってたのだけど……予約してたお店が、急にお休みになっちゃって……」
「ライスがお店を選んだからこうなっちゃったんだ……本当に、ごめんなさい……!」
「はわわ、これは困りましたね!あ、トレーナーさんっ!」
私が近付くと、ライスシャワーが「ひゃいっ!?」と後退りしてしまった。どうにもこの身長190cmの図体は、威圧感を与えていけない。
三田村嬢が、私を見上げる。
「天王寺トレーナー!?」
「失敬。少しお話は聞かせていただきました。ディナーが中止になってしまった、ということですか」
「え、ええ。今日はしょうがないので、日を改めようかと」
「いやいや、それはいけない。折角の記念日だ。ちょうど我々も食事に出ようかと思ってましてな。よろしかったら、ご一緒にどうですか?」
「……え、いいんですか?」
私は白い歯を見せる。
「無論。今日はチートデイの日でしてな。記念日に相応しい店にご案内しましょう」
「ち、ちーとでい?」
説明しようとした私に、バクシンオーが割り込んできた。
「はいっ!美味しいものを、幾らでも食べていい日だそうです!!今日はラーメンを食べに行きます!!」
「ら、ラーメン……?」
三田村嬢とライスシャワーが、困惑気味の表情になる。これはガッカリさせてしまったか。
だが、この天王寺定光が、チートデイにただのラーメン屋に行こうはずもない。
「心配無用ですよ。行き先は銀座。ミシュラン一ツ星、紛うことなき日本のラーメンの極みです」
*
「お待たせしました!!」
いつものデニムの上に薄手のコートを羽織い、バクシンオーが小走りに駆けてきた。年の瀬で夜はかなり冷えるのだが、それでも短パンは崩さないのが彼女らしい。
「うむ。では行くか……!?」
学園を出ようとすると、門の前に女性2人がいるのが見えた。
1人は身長165cmほどで、困惑した表情を浮かべている。そして、あの小柄なウマ娘は……しかも、しくしくと泣いている。……これはどうしたことか。
「ごめんなさい……!!ライスのせいで、折角のお祝いが……」
「いや、ライスのせいじゃないわよ。今日は運が悪かっ」
「違うの!ライスが、またお姉さまに不幸を……」
あれはライスシャワーと、担当トレーナーの三田村嬢か。少し話を聞k
「どうしたのですか!?ライスさん!」
私が話しかけようとする前に、バクシンオーがいつもの調子で彼女たちに訊いた。相変わらず、判断が速い。
「あ……バクシンオーさん……」
「困ったことがあったらなんでも言ってください!学級委員長ですからっ!!」
しょぼんとうつむくライスに代わり、三田村嬢が答える。
「あ……今日は私の誕生日だったの。それで、ライスと2人でちょっと贅沢しようと思ってたのだけど……予約してたお店が、急にお休みになっちゃって……」
「ライスがお店を選んだからこうなっちゃったんだ……本当に、ごめんなさい……!」
「はわわ、これは困りましたね!あ、トレーナーさんっ!」
私が近付くと、ライスシャワーが「ひゃいっ!?」と後退りしてしまった。どうにもこの身長190cmの図体は、威圧感を与えていけない。
三田村嬢が、私を見上げる。
「天王寺トレーナー!?」
「失敬。少しお話は聞かせていただきました。ディナーが中止になってしまった、ということですか」
「え、ええ。今日はしょうがないので、日を改めようかと」
「いやいや、それはいけない。折角の記念日だ。ちょうど我々も食事に出ようかと思ってましてな。よろしかったら、ご一緒にどうですか?」
「……え、いいんですか?」
私は白い歯を見せる。
「無論。今日はチートデイの日でしてな。記念日に相応しい店にご案内しましょう」
「ち、ちーとでい?」
説明しようとした私に、バクシンオーが割り込んできた。
「はいっ!美味しいものを、幾らでも食べていい日だそうです!!今日はラーメンを食べに行きます!!」
「ら、ラーメン……?」
三田村嬢とライスシャワーが、困惑気味の表情になる。これはガッカリさせてしまったか。
だが、この天王寺定光が、チートデイにただのラーメン屋に行こうはずもない。
「心配無用ですよ。行き先は銀座。ミシュラン一ツ星、紛うことなき日本のラーメンの極みです」
28:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/23(木) 22:01:55.00 :5sgTx3NQO
第1R 銀座「ハ五」
第1R 銀座「ハ五」
29:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/23(木) 22:02:21.76 :5sgTx3NQO
本編は週末に。
本編は週末に。
30:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/23(木) 22:12:33.15 :Pmz6c/5go
おつおつ
トレーナーも付いてくるのかこれはお得()
おつおつ
トレーナーも付いてくるのかこれはお得()
31:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/24(金) 00:12:12.79 :uQAwlPV40
ライスはラーメン好きだったような希ガス
ライスはラーメン好きだったような希ガス
32:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/24(金) 00:58:42.61 :/zfJkOwkO
>>31
お祝いの席の代わりにラーメン?ということと解釈してください。
>>31
お祝いの席の代わりにラーメン?ということと解釈してください。
33:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/26(日) 20:42:52.77 :I6xYV6WtO
今日更新できるかちょっと微妙です。
今日更新できるかちょっと微妙です。
34:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/29(水) 22:17:02.75 :PfUYSjUvO
*
「運転手さん、ここで結構」
タクシーを歌舞伎座の前で停めてもらう。暮れの銀座の夜は、忘年会に向かうサラリーマンで賑わっていた。
私たちは灯りで彩られた表通りから離れ、静かな小道を歩く。
「銀座、来るのははじめてです!ラーメン屋さんもあるのですね!」
目をキラキラさせながら、バクシンオーがスキップするように私の後ろをついてくる。三田村嬢とライスシャワーはというと、まだ少し戸惑い気味だ。
「ミシュラン一ツ星って……割烹、ですか?」
「いやいや、値段は少し高めのラーメン屋ですよ。ミシュランはラーメンも美食として評価しておりましてな。東京では確か、一ツ星ラーメン店は3店あるそうです」
三田村嬢の後ろに、ピタッとライスシャワーがくっついている。彼女も銀座は初めてなのだろうか、どこか所在なさげだ。
「ライス、ラーメン好きだよ。どんなラーメン、なの?」
「そうだな……ジャンルを言うのは難しいな。塩でも醤油でも、豚骨でも味噌でもない。つけ麺でもない。『食えば分かる』としか、言いようがないな。
ただ、洋食党の君には、きっと気に入ってもらえるはずだ。……と、見えてきたぞ」
行列はざっと20人弱、といったところだろうか。夜ならば多少は並びが少ないと思っていたが、それでもかなりの人数だ。
「ややっ?どこにお店があるのですか?」
「そこの角だよ。まあ、見た目は小料理屋にしか見えないだろうな。
三田村トレーナーとライス君には少々悪いが、しばし待とう。待つことに伴うストレスも、チートデイには有効なのだ」
バクシンオーの頭にまた?が浮かんでいる。
「はて?どういうことですか??」
「チートデイとは、苦痛からの解放のためにある。それによって身体を騙すのだよ。
簡単に言えば、我慢して精一杯やったトレーニングの後の水は美味いだろう?それと同じだよ」
「むむ……分かったような、分からないような……でもとにかく美味しいラーメンなのは分かりました!!」
行列はゆっくりと進む。ある程度進むと、店内の券売機で食券を買うよう促された。
*
「運転手さん、ここで結構」
タクシーを歌舞伎座の前で停めてもらう。暮れの銀座の夜は、忘年会に向かうサラリーマンで賑わっていた。
私たちは灯りで彩られた表通りから離れ、静かな小道を歩く。
「銀座、来るのははじめてです!ラーメン屋さんもあるのですね!」
目をキラキラさせながら、バクシンオーがスキップするように私の後ろをついてくる。三田村嬢とライスシャワーはというと、まだ少し戸惑い気味だ。
「ミシュラン一ツ星って……割烹、ですか?」
「いやいや、値段は少し高めのラーメン屋ですよ。ミシュランはラーメンも美食として評価しておりましてな。東京では確か、一ツ星ラーメン店は3店あるそうです」
三田村嬢の後ろに、ピタッとライスシャワーがくっついている。彼女も銀座は初めてなのだろうか、どこか所在なさげだ。
「ライス、ラーメン好きだよ。どんなラーメン、なの?」
「そうだな……ジャンルを言うのは難しいな。塩でも醤油でも、豚骨でも味噌でもない。つけ麺でもない。『食えば分かる』としか、言いようがないな。
ただ、洋食党の君には、きっと気に入ってもらえるはずだ。……と、見えてきたぞ」
行列はざっと20人弱、といったところだろうか。夜ならば多少は並びが少ないと思っていたが、それでもかなりの人数だ。
「ややっ?どこにお店があるのですか?」
「そこの角だよ。まあ、見た目は小料理屋にしか見えないだろうな。
三田村トレーナーとライス君には少々悪いが、しばし待とう。待つことに伴うストレスも、チートデイには有効なのだ」
バクシンオーの頭にまた?が浮かんでいる。
「はて?どういうことですか??」
「チートデイとは、苦痛からの解放のためにある。それによって身体を騙すのだよ。
簡単に言えば、我慢して精一杯やったトレーニングの後の水は美味いだろう?それと同じだよ」
「むむ……分かったような、分からないような……でもとにかく美味しいラーメンなのは分かりました!!」
行列はゆっくりと進む。ある程度進むと、店内の券売機で食券を買うよう促された。
35:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/29(水) 22:25:29.86 :NKasLOiho
来たぁ!
来たぁ!
36:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/29(水) 22:37:25.16 :PfUYSjUvO
店内は薄明かりで照らされ、サラ・ブライトマンの曲が流れている。
ここをラーメン屋だと知らず入った人は、ここが高級小料理屋だとしか思わないだろう。
「天王寺トレーナー、何を頼めば……って、メニューは中華そばだけですか?」
「そうです。それだけです。トッピングで味玉を入れるか、チャーシューを増量するかだけですな」
「あ……じゃあ特製で」
「ライスも……」
せっかくのお祝いだ、私たちも特製中華そばを注文することにした。
食券を店員に渡してさらに外で待つこと10分弱。ようやく、私たちはカウンター席についた。
「いらっしゃいませ……天王寺さん!?久し振りですね」
頭の禿げ上がった初老の男が、カウンター越しに呼び掛ける。
「半年振りですね。今日は私の教え子たちも一緒ですが、宜しいですか?」
「ああそれはもう。しかしウマ娘さんたちだと、少々量が少ないかもしれませんね……大盛りができればよかったのですが、今は休止中で」
「構いませんよ。チートデイで重要なのは量より質。その観点からは、こちら以上の店はそうはない」
「いえいえ……それは恐縮です。ともあれ、精一杯作らせて頂きます」
一礼して、店主が寸胴に向かった。三田村嬢が、驚いたように私を見る。
「お知り合いなんですか?」
「いやまあ、古い付き合いですよ。彼は昔、某大ホテルチェーンを取りまとめていた総料理長でしてな。引退後にラーメン職人に転じ、開いたのがここというわけです」
奥から芳しいスープの香りが漂ってくる。胃が、そして筋肉が、待ちきれんとばかりに蠢くのが分かった。
そして、程なくして、4つの丼が私たちの前に供された。
「お待たせしました、特製中華そばです」
店内は薄明かりで照らされ、サラ・ブライトマンの曲が流れている。
ここをラーメン屋だと知らず入った人は、ここが高級小料理屋だとしか思わないだろう。
「天王寺トレーナー、何を頼めば……って、メニューは中華そばだけですか?」
「そうです。それだけです。トッピングで味玉を入れるか、チャーシューを増量するかだけですな」
「あ……じゃあ特製で」
「ライスも……」
せっかくのお祝いだ、私たちも特製中華そばを注文することにした。
食券を店員に渡してさらに外で待つこと10分弱。ようやく、私たちはカウンター席についた。
「いらっしゃいませ……天王寺さん!?久し振りですね」
頭の禿げ上がった初老の男が、カウンター越しに呼び掛ける。
「半年振りですね。今日は私の教え子たちも一緒ですが、宜しいですか?」
「ああそれはもう。しかしウマ娘さんたちだと、少々量が少ないかもしれませんね……大盛りができればよかったのですが、今は休止中で」
「構いませんよ。チートデイで重要なのは量より質。その観点からは、こちら以上の店はそうはない」
「いえいえ……それは恐縮です。ともあれ、精一杯作らせて頂きます」
一礼して、店主が寸胴に向かった。三田村嬢が、驚いたように私を見る。
「お知り合いなんですか?」
「いやまあ、古い付き合いですよ。彼は昔、某大ホテルチェーンを取りまとめていた総料理長でしてな。引退後にラーメン職人に転じ、開いたのがここというわけです」
奥から芳しいスープの香りが漂ってくる。胃が、そして筋肉が、待ちきれんとばかりに蠢くのが分かった。
そして、程なくして、4つの丼が私たちの前に供された。
「お待たせしました、特製中華そばです」
37:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/29(水) 23:38:03.96 :PfUYSjUvO
丼には黄金色のスープ。その中を細ストレート麺が、行儀よく漂っている。
さらにその上にはチャーシュー。チャーシューに乗せられた茶色の粒々からは、えもしれぬ刺激的な香りが広がっている。
「やや、美味しそうですね!しかしこれは……何ラーメンなのですか?」
ライスシャワーが、蓮華でスープを掬い、一口飲む。その刹那、ハッしたように目を見開いた。
「これ……コンソメ!?でも、何か違う……複雑で、でもとても深い……」
三田村嬢も、「美味しい!」と言ったまま少し固まった。
「……なんでしょう、これ。天王寺トレーナーの言う通り、塩でも醤油でもない。もちろん味噌でも豚骨でもない……」
店主が微笑みながら彼女に語りかけた。
「うち、『かえし』を使ってないんですよ」
「『かえし』?」
私は頷く。
「ラーメンの味、ひいてはジャンルを決定づけるタレのことですな。塩タレなら塩ラーメン、醤油ベースなら醤油ラーメンになる。それをここでは使っていない」
「えっ、何でですか?」
「それはこのスープにある。極めて複雑かつ深い旨味。このスープの力を生かすには、かえしはむしろ邪魔。……そういうことですな?」
店主が微笑み、私に同意した。
「そこまで理解して頂けると光栄です」
私は寸胴の方を見た。表面は香味野菜で覆われている。
「彼が昔、某大ホテルチェーンの総料理長だったのは説明しましたな。そして彼の専門はフレンチ。スープを取るのにも、その技法は使われている。
ライス君の言った通り、コンソメに近い味わいなのはそこから来ているわけですな。
味の決め手は、スープの出汁を取るのに使われているプロシュート」
「ぷろしゅーと?」
「高級生ハムのことだよ、バクシンオー君。スープをハムで取るのは、高級中華ではよくあることだ。
ただ、そこで使われる金華ハムはあまりに高い。ラーメンで金華ハムを使っているのは、『家元』がスペシャルでやるくらいしか聞いたことがない。
そこでここ『八五』は、プロシュートを使った。それがフレンチに通じる独特のスープを作り上げたわけだよ」
「むむむ……よく分かりませんがとにかくすごいのですね!麺が伸びてしまいますから早く食べましょう!」
「ははは、つい熱が入ってしまったな。バクシンオー君の言う通りだ、頂くとしようか」
私は箸を取り、勢いよく麺を啜る。パツパツとした細麺にスープが絡む。
上品、かつ個性的。どこにもありそうで、しかしどこにもない。
ただ、旨味のみが、喉を通り抜けていく。旨味は筋肉の隅々まで広がり、「飢え」を満たしていく。
……うむ、満足。
「バックシーン!!!」
バクシンオーが大声で叫ぶと同時に、私のワイシャツのボタンが全て弾け飛んだ。
丼には黄金色のスープ。その中を細ストレート麺が、行儀よく漂っている。
さらにその上にはチャーシュー。チャーシューに乗せられた茶色の粒々からは、えもしれぬ刺激的な香りが広がっている。
「やや、美味しそうですね!しかしこれは……何ラーメンなのですか?」
ライスシャワーが、蓮華でスープを掬い、一口飲む。その刹那、ハッしたように目を見開いた。
「これ……コンソメ!?でも、何か違う……複雑で、でもとても深い……」
三田村嬢も、「美味しい!」と言ったまま少し固まった。
「……なんでしょう、これ。天王寺トレーナーの言う通り、塩でも醤油でもない。もちろん味噌でも豚骨でもない……」
店主が微笑みながら彼女に語りかけた。
「うち、『かえし』を使ってないんですよ」
「『かえし』?」
私は頷く。
「ラーメンの味、ひいてはジャンルを決定づけるタレのことですな。塩タレなら塩ラーメン、醤油ベースなら醤油ラーメンになる。それをここでは使っていない」
「えっ、何でですか?」
「それはこのスープにある。極めて複雑かつ深い旨味。このスープの力を生かすには、かえしはむしろ邪魔。……そういうことですな?」
店主が微笑み、私に同意した。
「そこまで理解して頂けると光栄です」
私は寸胴の方を見た。表面は香味野菜で覆われている。
「彼が昔、某大ホテルチェーンの総料理長だったのは説明しましたな。そして彼の専門はフレンチ。スープを取るのにも、その技法は使われている。
ライス君の言った通り、コンソメに近い味わいなのはそこから来ているわけですな。
味の決め手は、スープの出汁を取るのに使われているプロシュート」
「ぷろしゅーと?」
「高級生ハムのことだよ、バクシンオー君。スープをハムで取るのは、高級中華ではよくあることだ。
ただ、そこで使われる金華ハムはあまりに高い。ラーメンで金華ハムを使っているのは、『家元』がスペシャルでやるくらいしか聞いたことがない。
そこでここ『八五』は、プロシュートを使った。それがフレンチに通じる独特のスープを作り上げたわけだよ」
「むむむ……よく分かりませんがとにかくすごいのですね!麺が伸びてしまいますから早く食べましょう!」
「ははは、つい熱が入ってしまったな。バクシンオー君の言う通りだ、頂くとしようか」
私は箸を取り、勢いよく麺を啜る。パツパツとした細麺にスープが絡む。
上品、かつ個性的。どこにもありそうで、しかしどこにもない。
ただ、旨味のみが、喉を通り抜けていく。旨味は筋肉の隅々まで広がり、「飢え」を満たしていく。
……うむ、満足。
「バックシーン!!!」
バクシンオーが大声で叫ぶと同時に、私のワイシャツのボタンが全て弾け飛んだ。
38:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:03:25.18 :7W+mlsx/O
「ひいっ!!?」
ライスシャワーが驚いた声をあげる。バクシンオーも目を丸くした。
「ちょわっ!?これはどうしたことですかっ!?」
「ハッハッハ、すまないね。美味さで筋肉が満足すると、こうなるのだよ」
カウンターの奥の店主も苦笑する。
「天王寺さんのそれ、久々に見ました」
「お恥ずかしい。チートデイで美味いものを食うと、どうしてもこうなってしまうのですよ。
ともあれ皆、私のことは気にせず食べたまえ」
バクシンオーは一心不乱に麺を啜り始めた。
「美味しいっ!美味しいでふトレーナーさんっ!!こんな美味しいラーメンは初めてです!!」
「ライスも同じだよ?本当に、今まで食べたことのないラーメン……
それに、この粒々。胡椒みたいだけど、とても複雑な味がする」
三田村嬢が首を縦に振る。
「それ、気になってたの。何なのですか?」
「マダガスカル産の最高級胡椒『ペッパーキャビア』ですよ。これもフレンチならではの薬味ですな」
端麗系のラーメンは、往々にして味が単調になりがちだ。そしてえてして、上品なだけの味になり、印象がぼやけやすい。
それをペッパーキャビアが封じている。しかも、食べ進めるごとにそれはスープに溶け出し、スープ自体の味を変えていく。故に、飽きない。
「チャーシューも、柔らかくて美味しいです!」
バクシンオーはほとんどスープも飲み干そうとしている。脚だけでなく、食べるのも速い。
ライスシャワーはというと、味わうようにゆっくりと食べている。これもスプリンターとステイヤーの違いというものか。
「本当に、美味しい……!天王寺トレーナーさん、ありがとうございます」
「いやいや、礼には及ばないよ。お祝いの穴埋めにはなったかな?」
「うんっ……!」
嬉しそうなライスシャワーを見て、私も思わず笑顔になる。そうしていると、私たちの前にグラスが出された。
「これは……?」
「ほうじ茶です。よろしければ」
「……!!」
三田村嬢が絶句した。バクシンオーも「ややっ!!」と声をあげる。
「これは濃い、美味しいお茶ですね!」
「スープの味を、クリアに流していく……まるで完成された、フルコースの最後のデザートみたい」
三田村嬢に私は頷いた。
「その通り。それこそが、この店のコンセプトですからな」
「コンセプト……あっ!!確か、フレンチ出身って……」
「そういうことです。元々、フレンチレストランに行くおつもりだったのでしょう?
ここを選んだのには、然るべき理由があったわけですよ」
「そういうことでしたか……!心遣い、本当にありがとうございます!」
「いやいや、たまたまチートデイにラーメンをと思っただけですよ。そして狙い通り、筋肉も満足した。
あまり長居すると、待っているお客さんに悪いですな。そろそろ出ましょうか」
「ひいっ!!?」
ライスシャワーが驚いた声をあげる。バクシンオーも目を丸くした。
「ちょわっ!?これはどうしたことですかっ!?」
「ハッハッハ、すまないね。美味さで筋肉が満足すると、こうなるのだよ」
カウンターの奥の店主も苦笑する。
「天王寺さんのそれ、久々に見ました」
「お恥ずかしい。チートデイで美味いものを食うと、どうしてもこうなってしまうのですよ。
ともあれ皆、私のことは気にせず食べたまえ」
バクシンオーは一心不乱に麺を啜り始めた。
「美味しいっ!美味しいでふトレーナーさんっ!!こんな美味しいラーメンは初めてです!!」
「ライスも同じだよ?本当に、今まで食べたことのないラーメン……
それに、この粒々。胡椒みたいだけど、とても複雑な味がする」
三田村嬢が首を縦に振る。
「それ、気になってたの。何なのですか?」
「マダガスカル産の最高級胡椒『ペッパーキャビア』ですよ。これもフレンチならではの薬味ですな」
端麗系のラーメンは、往々にして味が単調になりがちだ。そしてえてして、上品なだけの味になり、印象がぼやけやすい。
それをペッパーキャビアが封じている。しかも、食べ進めるごとにそれはスープに溶け出し、スープ自体の味を変えていく。故に、飽きない。
「チャーシューも、柔らかくて美味しいです!」
バクシンオーはほとんどスープも飲み干そうとしている。脚だけでなく、食べるのも速い。
ライスシャワーはというと、味わうようにゆっくりと食べている。これもスプリンターとステイヤーの違いというものか。
「本当に、美味しい……!天王寺トレーナーさん、ありがとうございます」
「いやいや、礼には及ばないよ。お祝いの穴埋めにはなったかな?」
「うんっ……!」
嬉しそうなライスシャワーを見て、私も思わず笑顔になる。そうしていると、私たちの前にグラスが出された。
「これは……?」
「ほうじ茶です。よろしければ」
「……!!」
三田村嬢が絶句した。バクシンオーも「ややっ!!」と声をあげる。
「これは濃い、美味しいお茶ですね!」
「スープの味を、クリアに流していく……まるで完成された、フルコースの最後のデザートみたい」
三田村嬢に私は頷いた。
「その通り。それこそが、この店のコンセプトですからな」
「コンセプト……あっ!!確か、フレンチ出身って……」
「そういうことです。元々、フレンチレストランに行くおつもりだったのでしょう?
ここを選んだのには、然るべき理由があったわけですよ」
「そういうことでしたか……!心遣い、本当にありがとうございます!」
「いやいや、たまたまチートデイにラーメンをと思っただけですよ。そして狙い通り、筋肉も満足した。
あまり長居すると、待っているお客さんに悪いですな。そろそろ出ましょうか」
39:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:15:48.67 :7W+mlsx/O
*
「本当に今日は、ありがとうございます……!ご馳走にまでなってしまって」
「いやいや、困った時はお互い様ですからな。当然のことをしたまでです」
三田村嬢に続いて、ライスシャワーも一礼した。
「トレーナーさん、ありがとう……!とってもいいお祝いになったよ……!」
「そう言ってもらえるとありがたい。……ところで、どうして急に店が休みになったのかな?」
「ライスも分からな「ちょわーっ!!」」
横でバクシンオーが奇声を挙げた。何やらスマホを見ているが……
「どうかしたのかな?」
「トレーナーさんっ!!これを見て下さいっ!!」
私は彼女の桜色のスマホを覗き込む。ニュースサイトのようだが……
「何々……?」
『オグリキャップ、とんだ優勝祝い 店の食材を食べ尽くす』
まさか、これは……
スマホを見せると三田村嬢とライスシャワーの顔色が青ざめ、引きつった笑いが浮かんだ。
「「あ、ああ、そういう……」」
「やはり、行く予定のお店でしたか……」
私は、あの時門の前にいたのがオグリキャップではなく、彼女たちだったことに深く感謝するのであった。
第一話 完
*
「本当に今日は、ありがとうございます……!ご馳走にまでなってしまって」
「いやいや、困った時はお互い様ですからな。当然のことをしたまでです」
三田村嬢に続いて、ライスシャワーも一礼した。
「トレーナーさん、ありがとう……!とってもいいお祝いになったよ……!」
「そう言ってもらえるとありがたい。……ところで、どうして急に店が休みになったのかな?」
「ライスも分からな「ちょわーっ!!」」
横でバクシンオーが奇声を挙げた。何やらスマホを見ているが……
「どうかしたのかな?」
「トレーナーさんっ!!これを見て下さいっ!!」
私は彼女の桜色のスマホを覗き込む。ニュースサイトのようだが……
「何々……?」
『オグリキャップ、とんだ優勝祝い 店の食材を食べ尽くす』
まさか、これは……
スマホを見せると三田村嬢とライスシャワーの顔色が青ざめ、引きつった笑いが浮かんだ。
「「あ、ああ、そういう……」」
「やはり、行く予定のお店でしたか……」
私は、あの時門の前にいたのがオグリキャップではなく、彼女たちだったことに深く感謝するのであった。
第一話 完
40:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:17:56.48 :7W+mlsx/O
以上です。このために今日1時間半並んで食べてきました。
久々なので記憶をリフレッシュするためでしたが、やはりハ五は美味いですね。
早速次回のお題です。まず、ゲストのウマ娘を決めます。
安価下1~5で、最もコンマが大きいものとします。
以上です。このために今日1時間半並んで食べてきました。
久々なので記憶をリフレッシュするためでしたが、やはりハ五は美味いですね。
早速次回のお題です。まず、ゲストのウマ娘を決めます。
安価下1~5で、最もコンマが大きいものとします。
41:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:30:15.42 :lIMH2DI6o
セイウンスカイ
セイウンスカイ
42:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:39:04.27 :SaqYcGMpO
ファインモォォーーションッッッ!
ファインモォォーーションッッッ!
43:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:41:34.83 :Tn5CMADBo
おつおつ
ファインモーション
おつおつ
ファインモーション
44:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:56:22.13 :PJyCGCD7o
オグリキャップ
オグリキャップ
45:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 00:57:12.38 :7KG988H5o
ミホノブルボン
ミホノブルボン
46:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 01:12:07.98 :7W+mlsx/O
それではファインモーションとします。
続いてラーメンのジャンルを決めます。同じく安価下1~5で最も大きいものとします。
それではファインモーションとします。
続いてラーメンのジャンルを決めます。同じく安価下1~5で最も大きいものとします。
47:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 01:45:51.48 :7KG988H5o
二郎系
二郎系
48:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 02:23:27.32 :hhnTll5S0
一風堂みたいな博多系とんこつラーメン
一風堂みたいな博多系とんこつラーメン
49:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 02:25:16.63 :7KG988H5o
えん寺
固有店名はあれならつけ麺系
えん寺
固有店名はあれならつけ麺系
50:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 02:26:04.09 :7KG988H5o
書き込めてたすまん
書き込めてたすまん
51:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 03:22:45.79 :uXmy1Lkjo
ファインといえば札幌記念
北海道ラーメン系
ファインといえば札幌記念
北海道ラーメン系
52:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2021/12/30(木) 05:21:23.70 :Tn5CMADBo
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