一ヶ月前のある日の放課後、いつものように部活が始まったが、その部活の内容は普段の部活とはだいぶ異なっていた。

魅音「よーし！今日の部活は、たまには文化的に映画鑑賞をするよー！」

圭一「魅音！視聴覚室は借りておいたぜ！」

レナ「はうぅ！なんの映画かな？かな？」

魅音「そーれーわー、ぐふ、ぐふふふふ」

沙都子「この笑い方は絶対まともな映画ではありませんわ…」

梨花「い、嫌な予感がするのですよ、にぱー」

この雛見沢分校にも一応視聴覚室というものがある。最も、使われていない教室に黒のカーテンを張ってプロジェクターとスクリーンを用意した簡易的なものだが。それでもこの村の中においては1番大きな映像視聴設備であった。

魅音「みんなー、カーテンしめるよー」がらがら

梨花「みー、真っ暗なのです」

さわさわ

レナ「は、はうぅ！もしかして圭一くん触ったね！」ボコォ！ドゴォ！

圭一「ぐはっ！お、俺じゃねぇ！」

沙都子「をーっほっほっ！」

圭一「沙都子ぉぉぉ！ちくしょぉぉぉ！」

魅音「あはははは！じゃあそろそろ始めるよ！」

魅音がVHSを再生し、映像が始まるとジーッというプロジェクターの音が聞こえるほどみんな静かになった。なんだかんだみんな楽しみなのだ。

そして、ついに映画が始まった。目まぐるしく都会(おそらく東京だろうか？)の風景が足早に切り替わる映像が流れ始めた。たまに男の写真が映るのはなんだろう。

圭一「お、小田原線だ。あれは南新宿だな。あれは…」

どうやら東京であっていたらしい。しばらくして映画のタイトルが表示された。タイトルは…

「真夏の夜の淫夢」

たしかそんな小説だか舞台があったような。どこかで見たことがあるようなタイトルだ。それに、淫って…

圭一「淫ッ！？」ごくりっ

レナ「はうはうはうはうはうはうはう///」

圭一が唾を飲み、レナが沸騰している。やはりそういうことか。

魅音「えっ！な、なな、なにこれ！」

梨花「魅ぃ、この映画は誰の映画なのですか？」

魅音「知らない知らない！詩音に貰っただけで中身は知らなかったんだよ～！」わたふた

沙都子「でもここまで来てしまったのですから見るしかありませんわね」ドキドキ

詩音のビデオ…ますます嫌な予感しかしない。殺人ビデオじゃなかろうか。

私の心配をよそに、映画は物語の始まりまで来ていた。若い男が2人並んで歩いている光景が映っていて、その右に章題が記されている。

第4章
「昏睡レ◯プ！野獣と化した先輩」

いきなり4章なのか。
そして、昏睡………レ◯プッ！？

沙都子「レ◯プ？」

魅音「れれれ、れ、れれれれれ！///」

レナ「ははははははうううううう！！！」

圭一「うおぉぉぉぉ！！来たぜぇぇぇ！！」ガッツポ

梨花「みぃ！？」

驚きのあまり思わず声がでる。やはりそういうビデオであった。沙都子はわからなかったようだが。

圭一「野獣と化した先輩ってことは、きっとあの2人が後輩の女の子をって展開だな」わくわく

レナ「むりやりはよくないかな…かな///」

魅音「れれれれれ！？れれれれれ！！？？」

沙都子「レ◯プ…文字打つ機械のことですの？」

圭一が予想をたて、レナが満更では無さそうな顔をする。魅音は壊れてしまった。
沙都子よ、おそらくタイプライターのことを言いたいのだろうが。それではレ◯プライターという卑猥な機械になってしまう。

みんな各々が違う反応をした。
ただ、誰もビデオを止めようとは言わなかった。

物語は進み、2人の男が大きな家に入り談笑するシーンまで来た。会話から察するに2人は水泳部らしい。

圭一「おおお！スク水か！？競泳水着かぁ！！」

圭一が興奮している。無理もない。私も内心そうだからだ。かつてのループで父のビデオを見たことがあったが、流石にこの手の物は初めてである。

しかし、この期待は次の台詞で打ち砕かれた。




「まずうちさぁ、屋上、あんだけど…焼いてかない？」

「あーいいっすねー」



梨花「えっ？」

………。理解が追いつかない。
屋上で焼く？バーベキューでもするのだろうか。その疑問だけはすぐに解消された。次のシーンで男2人が日光浴を始めたからだ。しかし何故男2人で？


圭一「あ、あれ？スク水のおねいさんは？」

レナ「こ、これってまさか…？」

魅音「れぇぇぇ！？れぇぇぇ！？」

沙都子「屋上付きとはいいとこに住んでますのね」

みんな困惑している。それはそうだ。
男の1人がもう1人にサンオイルを塗ろうかと言い、塗り始めた。やたらいやらしい手付きで。
目付きも、そう、まさに野獣の目付きであった。

圭一「これ、もしかして男どうしの…」

圭一が呟く。みんなももう薄々気が付いているだろう。これがそういうビデオだということに。

男がアイスティーを飲まないかと提案し、台所まで移動して、サッー！っと迫真ささえも感じられる勢いでアイスティーに何か粉を混ぜた。おそらくは、もう1人を章題通り昏睡させるための薬だろう。そうなると次は…

魅音「みみみみんな！もうやめよう！おわりー！おわりぃー！！！」

というところで、魅音がストップをかけた。きっと沙都子もいるしこれ以上はと配慮をかけたのだ。しかし、

レナ「ダメッッッ！！！！！！」

魅音「ッ！？」びくん

レナがさらに待ったをかけた。

魅音「れ、レナ？」

レナ「勉強だよ、きっとこんなの見る機会なんて多分二度とこないよ。こういう世界もあるんだって知るのは悪いことじゃないんじゃないかな？かな？」

魅音「え、えーと」

圭一「ああ、おれも賛成だ。同性愛ってどういうものか全然しらないんだ。だから、一回は見ておきたい。俺も知っておきたい。」

梨花「圭一に同じくなのです」

沙都子「この物語の着地点が気になりますわ、どうか止めないで下さいまし」

みんな考えてる事は同じだった。魅音も本当は見てみたいに決まっている、ただ部長という立場がそうさせたのだろう。

魅音「分かった。ただ、見るからには最後までみんなで見ること。いいね！」


ただ、この決断を私達はのちに深く後悔することになる。

皆の覚悟が決まり魅音は再生を押した。
案の定薬を盛られたトカゲ似の男がふらつき、もう1人の汚い男に抱えられた所でシーンが切り替わる。次のシーンは…ベッドシーンだ。汚い男がトカゲ男に覆い被さりもう1人にキスをする。この絵面は強烈だ。


「先輩！何してるんですか！？」

「暴れんなよ！暴れんなよ！」

「お前の事が好きだったんだよ！」


レナ「あんな無理矢理…かわいそうだよ」

圭一「でも、襲っている男の表情を見てくれ。何処か悲しそうな表情をしていないか？」　

そうだろうか？

沙都子「きっと相手を思う気持ちが抑えられなくて、どうしようもなくなっているのですわ。やり切れませんわ…」ぐすっ

泣くところだろうか？

そして、遂に行為が始まった！
それは余りにも凄まじい光景で…
全ては語りたくないのである程度割愛するが、


「ふぅん！ほぉん！怨！」

「胸にかけて胸に！」

「イキスギィ！」


…とやたらと後半は何故か耳に残る台詞が多く、圭一と沙都子は常に笑いを堪えて見ていた。特に「イキスギィ！」の場面ではそれまで真面目に見ていたレナが。

レナ「イキスギって何のかな…w」

と素の感じで呟いてしまったがために私を含めみんな笑ってしまった。確かになんだろう、イクならわかるけどイキスギって。ちなみに魅音はずっと絶句していた。

どんなものにも終わりはある。この映画もいよいよを持って2人の男が幸せそうにキスをするシーンで終わりを迎えた。始めは無理矢理だったがまあ終わりよければいいんじゃない？知らないけど。

「…」

みんなしゃべらない。余韻に浸っているか、何を話していいかわからないのだろう。おそらく後者だ。最初に口を開いたのは圭一だ。

圭一「おもしろかった」

小学生低学年レベルの感想を口にした。

レナ「イキスギって…wこの木なんの木いき杉ってこと？…w」

レナはよくわからないことを言った。
よほどイキスギが気に入ったのか。

沙都子「素晴らしい芸術作品でしたわ。非常にユーモアとコメディ性に富みながら、それでいて男同士の複雑な恋愛感情を行為を通して表現する。これ以上の芸術は存在し得ないでしょう」

沙都子は何かを見出したようだ。

梨花「2人が幸せなキスをして終了できたのでよかったのです」

私も一応感想を言っておく。
魅音は顔を真っ赤にして黙っていた。

それから皆で片付けをし、その日は解散となった。帰り道、当然の如くあの映画の話題になる。
そこで始まったのが、

レナ「なんかさ…やたらベッドの枕がデカくなかったw？」

圭一「ぶはッ！やめてくれレナw笑ってしまうw」

梨花「んあー??」

圭一「くっそwwwwそうきたか梨花ちゃんwww」

沙都子「あら？圭一さんの道はこ↑こ↓ではありませんでしたか？」

圭一「しまった！イキ杉ィッ！！！」

レナ「あはははwやめてよ圭一くんwww」

みんなであの映画の台詞を混ぜて遊ぶ『淫夢ごっこ』(後日命名)が始まったのだ。

さらには魅音が、

魅音「ねえみんな！実は詩音のビデオ、まだあるんだ。だから、ま、まずうちさぁ、ビデオぉ、あんだけど、明日も見て行かない？」

圭一「ああ！いいっすねぇ！」

レナ「あーいいっすねぇ！すねぇ！」

梨花「アーいいのですよ、にぱー??」

沙都子「嗚呼なんと良き事で御座いましょうよ」

と、たどたどしい感じでまだビデオがあってみんなで見ようといい、それにみんなも賛同するのであった。今思えば、ここが最後の運命の分岐点だったのかもしれない。

それからは、部活で映画をみて、その映画の台詞で淫夢ごっこをする日が続いた。今思えば、なんて馬鹿な遊びだったのだろう。いわゆる同性愛のビデオを馬鹿にして、それを語録として言葉遊びしていたのだ。それでも当時の私達はとても面白く感じた。それもそうだ、初めてみるものだったんだから。自分たち内輪にしか伝わらない言葉を使って、仲間の結束が強まった感じがしたんだから。でも、それはきっといけないことだった。

始めにビデオを見てから一ヶ月がたった。結論から言おう。みんな淫夢ごっこはやめた。皆飽きたのだ。魅音が詩音から貰ったビデオが尽きたのも大きい。それに他に遊べる物があるのに同じもので遊び続けるのも難しいものだ。そんなわけで、この雛見沢で(そもそも部活内だけであったが)淫夢ブームは終焉を迎えたのであった。



只、1人を除いて…

朝
雛見沢分校

がらがらっ

沙都子「みなさま！オッスオッスですわ！今日も一日ハイ、よろしくぅ！お願いいたしますわ」

梨花「沙都子、もうやめるのですよ、部活内ならまだしも最近は人前でも…」

沙都子「をーほっほっ！冗談はよしてくれさいまし。こんな素晴らしい語録を使わないなんて、みなさんおかしい…(小声)ですわ！ほら、RKも一緒にイクゾオオオオオオ！！！！ワン・ツー・スリー・フォー！」

沙都子「イキスギィ！イクイクですわ！ンアッー！枕がデカすぎますことよ！」

梨花「みぃ…(苦笑)」

魅音「沙都子！淫夢はもうやめなって！雛見沢では淫夢ごっこは恥ずかしいんだよ！」

圭一「そうだぞ！沙都子！」

沙都子「おっ大丈夫か大丈夫か バッチェ冷えてますですわ！淫夢は雛見沢で流行ってるってはっきりわかんですわね～」

レナ「沙都子ちゃん…」

梨花「…」

沙都子「はい！サンタナぁですわ！三角州ですわ！」


沙都子だけが淫夢ごっこを頑なに続けていたのだ。

はっきり言って今の沙都子は浮いてしまっている。部活内だけであった淫夢ごっこを部活外でもしてしまっている始末だ。このままでは折角無くなりつつあった北条家への差別が別の意味で再びできてしまうのではないかと私は懸念していた。

圭一「なあ沙都子！せめて場所を選んでくれ！語録はところ構わず使っていいものじゃない！」

沙都子「は？(威圧)」

魅音「沙都子…村で浮いちゃてるよ今の沙都子は。部活でなら好きなだけ言っていいからさ、ね！今はやめよう？」

沙都子「おじさんやめちくりませんこと？語録は好きな時に使ってこそ。あたりまえですわよねぇ」

皆が声をかけるが聞く耳をもたない。

レナ「みんな、私に任せて」

圭一「レナ！？」

そして、最後にレナが強めに説得にかかった。

レナ「ねえ、沙都子ちゃん。ごめんね、今から酷いこというね」

沙都子「お、どうしました？(煽り)」

レナ「………北条沙都子…貴女…卑怯だよ。」

沙都子「なんでしょうこのおばさん！？(驚愕)」

レナ「いいよね、楽で。語録を使って喋れば会話した気になれるもん。コミュニケーション取れてる気になれるもん。本当はそんなもの蝉の鳴き声と変わらないのに。鳴き声だよ、鳴き声。怖いんでしょ、自分の言葉で喋って否定された時が、失敗したときが。だから語録を盾にしているんだ」

沙都子「…」

レナ「レナ、それでも沙都子ちゃんと沙都子ちゃんの言葉で話したい。みんなそう思ってる。絶対馬鹿になんてしない。だから、安心して…普通に喋って欲しいな」



沙都子「うう…」

レナ「沙都子ちゃん…！」







沙都子「うーうー！(ひで)うーうー！(ひで)」

レナ「………ごめん…みんな…無理だったよ」

だが、その声が届くことはなかった。

結局、懸念通りになってしまった。最も、今までの迫害のような物ではなく、触ってはいけない物のような扱いであった。まさに腫れ物扱いだ。

八百屋「いっぱい買ったね、おだいは全部で1400円だよ」

梨花「みぃ、二千円で払うのです」

沙都子「14万！？ぼったくりですわぞそれ！？」

八百屋「へぇ！？」

梨花「ご、ごめんなさいなのです！沙都子も悪気があっていったわけじゃ…」

八百屋「いやいいんだよ。沙都子ちゃんはオヤシロさまにあてられてしまったんだってね。梨花ちゃまもたいへんだねぇ。はいお釣り」

梨花「は、はい…、かえるのです沙都子」

沙都子「じゃけん夜お帰り致しましょうですわね～」

最早私と一緒でなければ買い物もままならない状態になっていた。ひとまずは少しでも沙都子に影響がないようにと、沙都子がこんな事になってしまったのはオヤシロさまのせいにしてある。羽入ももういないし、死人(？)に口無しで丁度いい。

夜
梨花ちゃんハウス

バンッババンッバン！

沙都子「ふー！あっつーですわ！ビールッビールッ！おいっ冷えてますのー？」

梨花「はい沙都子、おこさまビールなのですよ」

沙都子「Foo↑！！あっそうだ（唐突）RKぁ！夜中腹減りませんの？このへんにぃ美味いラーメン屋の屋台来てるらしいですのよ！」

梨花「こんな田舎にラーメンの屋台なんてあるわけないのですよ…」

沙都子「ふぁっ！？それマジ？ですの？くぅーんですわぁ…」

梨花「…」

だんだんと現実と淫夢の区別がつかなくなってきている。下北沢症候群とでも言うべきか。沙都子の将来が不安であった。私と雛見沢で住み続けるならどうにかなるが、そればかりは今後どうなるかわからない。別の高校に行くかもしれない、別の大学に行くかもしれない。結婚だってするかも。そうしたら沙都子はどうなってしまうのか。漠然とした不安が私を襲い続けた。

ある日、沙都子が入江の健診でいない時に他のみんなで相談する時間ができた。

梨花「…と最近は家ではこういう感じなのです」

圭一「そうか、買い物のときまで…」

魅音「いいたくないけど、重症だねぇ」

レナ「一体どうしたらいいのかな、かな…」

仲間の声が届かない。絆だけでは解決できないことに、みな打ちひしがられていた。それもそうだ、今回の場合だと沙都子と私達の絆にヒビが入った訳ではないのだから。

魅音が重い口を開いた。

魅音「多分、雛見沢にいる限りは治らないと思う」

レナ「…うん」

圭一「俺たち出来ることはできるだけフォローしてあげることぐらいか…」

梨花「みぃ…」

そう、雛見沢にいる限り治らない。きっと大きく環境が変わらなければ沙都子も変わらないのだ。もし、環境を変えるチャンスがあるとすれば。

………そうだ！

梨花「高校！」

魅音「どうしたの梨花ちゃん？」

梨花「ボク、沙都子と一緒に遠い高校にいくのです！」

この村でそういったチャンスがあるとすればこれしかない！長い戦いにはなるが…私には仲間がいる！

圭一「本気か！？梨花ちゃん！」

梨花「荒療治かもしれないのですが、遠い高校なら大きく環境が変わって、きっと沙都子も今の自分の異常さに気づいてくれるはずなのです」

魅音「遠い高校か…ルチーアなんてどう？今は詩音曰くだいぶフレンドリーになってるみたいだし」

梨花「寮もあるので丁度良さそうなのです」

レナ「でも、沙都子ちゃん乗り気になってくれるかな？」

梨花「そこはちゃーんと考えがあるのですよ。にぱー??」

圭一「そういうことなら俺も全力でフォローするぜ！勉強で分からないことがあったらなんでも聞いてくれ！」

梨花「ありがとうなのです。高校にいって、沙都子が治ったら、またみんなで大学生活をおくるのですよ！」

レナ「梨花ちゃん！」

魅音「そういうことなら、おじさんがまず大学に受かってみんなが来れる場所を作らないとねぇ！」

梨花「絶対行きますのです。なんなら留年して待っててほしいのです」

圭一「おい！留年はまずいだろ！」

「「「「あはははは！」」」」

久しぶりに心の底から笑いあった。ここに沙都子がいないのが残念だが。でもきっと沙都子も一緒に笑いあえるようにしてあげるからね、待ってて沙都子！

こうして、私は沙都子とルチーア学園への入学を目指すことにした。沙都子には、

梨花「高校はルチーアに行くのです。あそこには迫真淫夢研究部なるものがあるらしいのですよ」

沙都子「ファッ！！！？？？イキタスギィ！！！いきますわよぉぉ！いくいく！」

と、文字に色の観念があるならばきっと紫色になるだろう大きな嘘で沙都子を釣った。

それからは、圭一や知恵から2人で勉強を教わって、自宅で復習をするルーチンが続く。
勉強が嫌いな沙都子であったが嘘が功を制し、私より真剣に勉強に取り組んでさえいた。

沙都子「おかしいですわ、計算があわないですわゾ…」

圭一「あれ？そこは普通に円周率をかければ大丈夫なんだが」

沙都子「ばっちぇかけましたのよ！ちゃんと3.1145141919893を！」

圭一「おい3.14だ！それにπでいいんだよ！πで！」

沙都子「ﾊﾟｲﾊﾟｲﾊﾟｰｲﾊﾟﾊﾟｲﾆ"ﾁｰｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯﾁｯｽﾞｵｫ！」

圭一「沙都子ぉ！戻ってこおおい！」
　
梨花「みい(苦笑)」

勉強にならないときもあったが…

そんなこんなで早3年。私と沙都子で一緒にルチーアまで来ている。今日は合格発表の日だ…手答えはあったが緊張が止まらない。あれだけ勉強したんだから大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせる。

沙都子「やべぇですわよやべぇですわよ…」がたがた

梨花「みい…きっと大丈夫なのです、きっと…」

沙都子「うぅ～やっぱりこえぇ！！！(レ)」

梨花「と、とりあえずボクから見るのです」


私の番号は173、ヒナミとはなんたる偶然か。100番から順番に見ていく。恐い！恐い！153、158、恐い！169、、173、、、、173ッ！！

梨花「あった！あったよ！沙都子ぉ！！」

やった！やった！やった！
頭の中で葉っぱ一枚の男たちが小躍りする！
そのぐらい嬉しいッ！

沙都子「やりますわねぇ！わ、わたしも見ますわよみるみる」

梨花「はいなのです…！」

次は沙都子だ。自分のでないのに手が震える。

沙都子「810、810、810、810…な、ないのですわぁ(泣)」

梨花「沙都子の番号は212でしょ！」

こんな時まで淫夢か！思わず素がでてしまった。

沙都子「そ、そうでしたわ。212、212、212、にいに、にいに、にいに、、、あった！にーにーあった！ありましたわぁ！にーにー！にーにー！」

梨花「良かったぁ！よかったね沙都

沙都子「FOOOOOOOOOOOOOOOO↑↑↑↑↑↑↑！！！！！！！！！！！！！！！！？オーーー↑オーーー↓オーーー→オーーー↑！！！！！！！！(ほろびのうた)イェイイェイイェイイェイイェイェ～エ～！鷹野さーーーん！！！鷹野さーーーん！！前原圭一！！！！前原圭一みてますのおお！！？？！！イリエさんありがとう！！！！フラッシュッッッ！！！！！！」

梨花「…」

キメてはいけない物をキメてしまったのかの様に狂喜乱舞する沙都子。…まあ、こんなときくらいいいか。

何はともあれこうして、私と沙都子は無事にルチーアに入学することが出来たのであった。

入学式行われ、いよいよクラスで自己紹介となった。どうせ淫夢で自己紹介するんでしょ？さあ、沙都子よ存分に大恥をかくがいい！そして過ちを自覚し私と…

ーーーーーーーー

沙都子「梨花ぁ！私が間違えていましたわ！こんな小っ恥ずかしいクソみたいなステロイド語録二度と使いませんのよ！」

梨花「誰にでも過ちはあるのです。もし過去の過ちを一生取り戻せなかったらボク達は何のために生き続けるのか…だれがそう言ったのです。ゆっくり治していくのですよ、一緒に」

沙都子「梨花ぁ！梨花ぁ！」

梨花「沙都子！」

ーーーーーーーー

んちゅんちゅ
2人は幸せなキスをして終了…
我ながら完璧な予定立てだ。

梨花「鹿骨市、雛見沢村から来た古手梨花と申します。よろしくお願いします」

私がそつなく挨拶を済ませて、次は沙都子の番。さあ、どんな赤っ恥をかくだろうか…

沙都子「オッハー！オッハーーーーー！！！！！（死語）前のRKと同じクッッッソど田舎から来たHUJUSTKと申しますわゾ！！！みなさまハイッ！よろしくぅ！ですわっ！！一番好きな語録はこれですわ」

梨花「…」




沙都子「イキスギィィィ！！！！イクイクですわぁぁぁぁぁ！！！ンアアアアアアアアアアッーーーーーーー！！！！！！（目力）枕がデカすぎますことよっっっ！！！！！」

しーん…

あたりが静まり返る。
決まった…
コレで沙都子はボッチ確定だ
私はすかさずフォローを入れた。


梨花「沙都子！淫夢はもうやめるのです！聖ルチーアでは淫夢ごっこは恥ずかしいのですよ！」

生徒A「おっ大丈夫か大丈夫か？バッチェ冷えてますですわ。淫夢は聖ルチーアで流行ってるってはっきりわかんですから平気平気平気だから安心しろって」

梨花「ほら、クラスの人もこうやって…」


………………………………
…………？？？？？？

梨花「………えと？」

生徒A「STKさん感動しましたわ！クッソ立派なンアア！誇らしくありませんこと？」

沙都子「ありがとナスですわ！」

生徒A「STKさんがいれば今年の迫真クラスは安泰ですわね」

梨花「…え？…迫真？特進じゃなくて…？」

生徒B「3年前にSNZKSON大先輩が立ち上げた迫真淫夢部が巨大になり過ぎて今年から特進クラスが迫真クラスになったんだゾ。部員が特進クラスが多かったからしょうがないね」

梨花「はあぁッッッ！！？？？！！！」

ッッッ…！？
どういうことなの？
嘘から出た真ってこと……？
いや違う…
魅音から聞いた詩音のフレンドリーって…
まさか、嘘でしょ………！？
というか詩音なんてことを！
よくよく考えたらビデオの出どころも…！



生徒C「ていうかお前ノンケかよ（驚愕）」

梨花「っ！？」

生徒D「うっっっそだろお前wwwww」

生徒E「お、大丈夫か？大丈夫か？」

生徒F「お前ここ初めてか？力抜けよ」

生徒G「悪い子はお仕置きだどー！」

生徒H「これもうわかんねぇな」

生徒I「とりあえず土下座しろこのやろう」

私が正しくて、コイツらがおかしいはずなのに、最早私が狂ってしまったのかの様に思えていた。

ガシィ！

生徒D「ちょっと眠ってろお前！」

梨花「ちょ、ちょっと！放して！」

先生「FRDさん！迫真クラスなのにノンケはまずいですよ！なので、まずうちさぁ、教育部屋ぁ、あんだけど、見ていかない？」

おさげ髪をしてサングラスをかけた生徒に首に手をかけられ羽交い締めにされる。まずい！このままだと大変な事になりそう！

梨花「沙都子！助けて！」

沙都子「あ、おいお待ちくださいまし。梨花が嫌がっていますわ！放して、どうぞ。あくしませんこと」

沙都子！
信じてたわ！
やっぱり沙都子は私の一番のしんゆ…

先生「うまくいけばRKさんをSTKさんの淫夢のリストにブチ込めますよ？」

沙都子「あっ、そっかぁ…（諦め）」

おいいいいいいいいい！！！！！

梨花「そんな…！だれか！羽入！神さま！」

生徒D「神なんか必要ねぇんだよ！！」

ずるずる

梨花「そんな、そんなっ！いやああああ！！！」

教育部屋

羽交い締めにされたまま
教育部屋と言う名の独房に連行された私は、
電気椅子のような椅子に固定され
身動きが取れずにいた。
目の前には50インチくらいの巨大なテレビが鎮座している。まさか…

梨花「離して！開放しなさい！」

生徒D「従順になるまでやるからなオイ」

先生「えーこれからRKさんに行う更生プログラムは72時間耐久淫夢ビデオ祭りですわゾ。」

梨花「はあッ！！！？？？」

先生「これが終わればきっと貴女にも淫夢の素晴らしさが理解できますよ～できるできる」

生徒D「お前を芸術品に仕立てや・・・仕立てあげてやんだよお前をげいじゅつし・・・品にしたんだよ！ お前を芸術品にしてやるよ（妥協）」

梨花「あっ…あああ……」がたがた

先生「大まかな流れを説明するわ。まず最初の24時間、COATとACCEED無修正ほんへをリピートで垂れ流すぞ」

生徒D「糞喰漢ももちろんあるからな、ヴォエ！」

先生「次の24時間は野獣先輩新設を流すゾ。私が顧問の淫夢部謹製の作品だからクッソ寒い作品はあるわけないんだよなぁ…」

生徒D「個人的にムーンライト伝説が見所さん！何してるんですか！やめて下さいよほんとに！」

先生「最後の24時間は音mad500選。系列高校からも取り寄せた迫真淫夢部の三年間の集大成、見たけりゃみせてやるよ（震え声）」

生徒D「fuck/Youと奈落の菊の花だけは聞き逃してはいけない（戒め）」

梨花「ひぃいいい…！！！」ガクブル

先生「早速ヘッドホンを。目を瞑っても無駄ですよ。このプログラムは音だけでも効果がありますねぇ！」かぽっ

生徒D「おめでとう。君の人格は消去された」

だめだ、コレが終わって
正気でいられる気がしない。
ごめんなさいみんな。
きっと私が私でなくなってしまう。
涙が止まらない。
思わず感情が溢れかえってしまう。

梨花「いやいやいやいや゛だや゛だいやだぁぁぁ！！！！どうして！？どうしてこうなるのよぉぉ！！100年じゃ足りなかったの！？いや゛ぁぁぁぁぁぁ！！！！！！」じたばた ずびーずびー！

生徒D「こいつ泣きながらソバすすってますよ。やっぱ好きなんすねぇ～」

先生「それじゃあいくぞ、ビデオのスイッチ、ハイよろしくー！」

生徒D「オッスお願いしまーす！」ピッ

や゛だぁぁぁぁぁぁあああああ！！！！！！

梨花「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！！！！！！」





ヴォー……

ーーーーー
ーーー
ー

3日後
教室

沙都子（梨花は大丈夫ですの？大丈夫ですの？）


梨花「」ふらふら

沙都子「梨花ぁ！」

梨花「あ、……沙都、子………」ふらふら

沙都子「だ、大丈夫ですの？目がガンギマリでどうみてもヤバいですのよヤバいですのよ…」

梨花「…」

梨花「…」








梨花「ぬわああああああああああああああああああああああああん疲れたもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん！！！」

沙都子「ふぁっ！？！？」

梨花「でもチカレタ甲斐があったって、はっきりわかるのですよ！んあぁぁぁぁ（迫真）！！！やっぱり…淫夢を…最高なのです！！！GO is GOD！HNYU is DUST！雛見沢で淫夢を流行らせコラ！！オヤシロさまよりアクシロさま！ボクも迫真淫夢部の仲間にいれてくれなのです～あうあう（痴呆）」



沙都子「梨花ぁ！すっかり淫夢に染まってしまいましたのね！素晴らし菓子ですわ！」

先生「おめでとう！」ぱちぱち

生徒D「おめでとう！」ぱちぱち

沙都子「おめでとございますわ！」ぱちぱち

生徒s「「「「「「おめでとう！」」」」」」」

ぱちぱちぱちぱち

梨花「みんな…！ありがとナスなのです…！」

嗚呼…世界はこんなにも明るかった
知らなかったわ、淫夢がこれほど素晴らしい
モノだったなんて！
ホモで繋がる絆が、
語録で通じあう絆が、
今の私を満たしている！
決めたわ。私、沙都子と一緒に淫夢を
布教していくの。もちろん圭一達にも…ね。
大丈夫、きっとうまくいくわ。

梨花「沙都子ぉ…///」

沙都子「梨花ぁ…///」

ぶちゅぅぅぅぅぅぅ！！！！！　
んちゅ！んちゅ！んちゅ！

生徒s「「「「「きゃあああ！！！」」」」」

先生「なんと幸せなキス！やりますわねぇ！」

生徒D「Fooooooo↑↑↑↑↑！！！！！」


淫夢を通じてようやく出来た
私と沙都子との初めてのキスは
ほんのりアイスティーの味がした。

ホモガキのなく頃に　業
完

おわりですのよ
何休みつぶして馬鹿なss書いてるんでしょう？

乙ー
久しぶりにSSで笑ったわw